失われた記憶を探す闇の魔法使い(The dark wizard searching for lost memories)

無似死可

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第3章 記憶を求めて

第21話 赤色の光の先

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 ムーンライト・ウィザードのメンバーに、リリアが黒魔導士として加わり、パーティも、5人になった。そして、ついに、中級ダンジョンを制覇して、Bクラス冒険者パーティになった。

 私達は、旅を急いだ。夜になっても、光魔法で、光球ライト・ボールを常に出して、明るくしながら、北に向かった、進んで行った。

 漸く辿り着いた村では、村長らしき人物から村の外で休むように言われた。争いごとは避けたいので、言われるままに、村から離れた所に、土魔法で、小屋を創り、1夜を過ごした。

 夜が明けてから、もう一度、村を訪れた。

 「すみません。少し聞きたいことがあるのですが?」

 「何かな?」

 昨日の村長らしき人物が、今回も、我々を出迎えた。しかし、昨日のような、明らかな敵対視では無く、温和な眼差しで、少しビックリした。

 「昔の事で、恐縮ですが、ここに、光に関する伝説は無いですか?」

 「どういうことかな?」

 私は、どうのように聞けばいいのか、よく分からなかった。光の矢が飛んできたとでも、聞いたらいいのだろうか?

 「昔、光がこの村に向かって、飛んできませんでしたか? あるいは、そのような言い伝えがありませんか?」

 「うーん、私も、それほど古くからこの村に住んでいるわけではないが、光に関する祠がある。それのことかな?」

 「それを見に行ってもいいですか?」

 「構わないが、何もないぞ!」

 「構いません。教えてください」

 「分かった。私についてきなさい」

 光の方向に旅をし来た。そして、漸く、その1つの到達点に来ることが出来た。尋ねた村では光の進んだ先に遺跡が作られていた。
 
 そして、光が落ちた場所には、大きな穴が出来ており、その穴の中には、何か埋まっているようだったが、触ろうとしても弾かれて、触れることが出来なかった。そこで、何か特別なものだと村人たちが考えて、その上に遺跡を作ることになったようだ。その場所が特別な場所として、皆が認識できるように。

 村長のような人物に案内されて、ついに遺跡の前に来ることが出来た。

 「すみませんが、掘り起こしてもいいですか?」

 「構わないが、元通り戻して貰うぞ!」

 「はい」

 私は、急いで、土魔法で、遺跡の下を掘り起こした。そして、赤い光を放つ物体を見ることが出来た。

 「ラズ、触ってごらん」

 リリアが、私に声を掛けて来た。

 正当な所有者でなければ、触れることが出来ないのだろう。これまで、多くの村人が触れようとしたが、失敗したという。

 その物体は、透明な水晶の中に輝く宝石が埋め込まれている。私は、ゆっくりと穴の中に入り、その透明な水晶ごと宝石を抱きかかえて、元の場所に出て来た。

 「おぉ、取り出せた!」

 村長らしき人物は、驚いたように、大きな声を出した。いつの間にか、村人たちが、遺跡を取り囲む形で、私を見つめていた。

 私は、水晶の中の宝石を取りだ章と、水晶の中に手を入れた。そして、宝石に触れると、宝石は赤い光を放ちながら輝き、私の身体の中に吸い込まれていった。

 すると、私は、忘れていた記憶がよみがえって来た。まるで、映画でも見るように、自分の記憶が再生されていく。そして、忘れていた魔法が、蘇って来た。だが、火魔法に関するものだけで、それ以外の魔法に関する知識は依然として、不明なままだ。

 私は、ついに記憶を取り戻すことが出来た。しかし、それは、すべて出ななかった。今から、75年前までの記憶が消えている。つまり、失った記憶の内の約25年分が、蘇って来ただけだった。

 まだ、どのように現在の状態になったのかは、まだ、わからない。

 そして、火魔法のすべてを思い出した。これまでは、使えているが、正確には、覚えていなかった。つまり、他の者の魔法を真似て行っていただけだった。理解してはいなかった。しかし、今は違う。火魔法に関しては、すべて、思い出した。そして、理解もしている。

 私は、土魔法で、遺跡を元に戻しておいた。

 「ありがとうございました」

 私は、村長らしき人物に声を掛けた。

 「役に立てたようだ。良かった。できれば、話を聞かせてほしいのだが?」

 「すみません。私は、記憶を失っているのです。そのため、旅を続けています。今回の事で、少しは記憶を取り戻すことが出来たのですが、それは、一部で、まだ、すべてを取り戻したわけではありません」

 「そうか。残念だ」

 「すみません」

 私達は、村を後にした。

 「ラズ、次は、どこに行くの?」

 ルナが、私の腕に絡みつきながら、訊いて来た。

 「大きな穴の中心から、此処までの距離を考えて、次は、東の方角に飛んでいった光を追いかけたい」

 「それなら、東南の方角ね」

 「いいかな?」

 「勿論よ」

 ルナは、パーティの他のメンバーの顔を見渡した。誰も、反対をするような顔をしていない。

 「ラズ、どんな記憶が戻ったの?」

 リリアが、思念伝達で、私に訊いて来た。私は、ありのままに答えた。特に隠し事をする必要ないだろう。

 「忘れていた記憶の最初の25年分が、蘇った。そして、火魔法をすべて思い出した」

 「そう、よかった。やはり、あの光がラズの記憶を奪い取ったのね」

 「そのようだ。でも、まだ、何があったのかは、思い出せない」

 「ねえ、私のことはまだ?」

 「まだ、みたいだ」

 リリアは、残念そうな顔を私に向けて、また、元に戻った。
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