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第2章 女魔法使い

第20話 中級ダンジョン制覇

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 今日は、冒険者ギルドで、リリアを私達のパーティに加えることになっている。少し、早いけど、私達3人は、既に、冒険者ギルドに来て、ローズにパーティに1人、追加することを伝えている。既に、準備は、完了していた。後は、リリアが、来るのを待つだけだ。

 リリアは、定刻に遣って来た。そして、直ぐに、ムーンライト・ウィザードのメンバーとして、登録した。これで、私達のパーティに新たに黒魔導士が1人増えて事になる。

 ルナは、戦闘で、戦いたいので、タンクみたいな役割だ。でも、本当は、白魔導士だけどね。

 リリアは、本格的な黒魔導士だ。これからは、本来の力を出してくれるだろう。

 アリアは、本当のタンクだ。剣士として、レベルアップを目指している。

 そして、私は、黒魔導士かな? まあ、魔法はすべて使える。リリアの話が本当なら、戦士としても戦えるはずだけど、今は、全くできる気がしない。

 取り敢えず、これまでと同じように、ダンジョンに潜りながら、旅を続けていくということになった。そして、ムーンライト・ウィザード内だけ、思念伝達と転移魔法を使うことを了承して貰った。

 ルナは、中級ダンジョンのダンジョンマスターを倒すことにこだわっている。何度も、途中で、止めているのが、癪に障るのだろう。

 「今日は、最後まで、行くよ。いい?」

 「「はい」」

 まあ、今回は、リリアも増えているので、多少のリスクがあっても、大丈夫だろう。

 前回と同様に、第13階層までは、一気に進むことが出来た。今回は、新たな魔物が転送されてくることもなく、順調に、第17階層まで、進むことが出来た。

 「もう少しね。ラズ、このまま、進んでも、問題はない?」

 「今の所は、大丈夫だよ。前みたいな徴候は、ないわ」

 「それじゃ、一気に最下層の第20階層まで、行くよ」

 「「はい」」

 特に問題なく、最後のダンジョンマスターを倒すことが出来た。ルナは、絶好調だ。この調子なら、一人でも、ダンジョンマスターを倒せるかもしれないと、思った。それほど、レベルアップしているみたいだ。

 「ねえ、転移魔法で、冒険者ギルドまで戻るって、だめ?」

 「いいよ。それじゃ、皆、私に掴ってね。その方が安全だから」

 何故か、ルナだけが、私に抱き付いてきた。他の2人は、私の手を握るだけなのに。

 「それじゃ、行くよ」

 私達は、転移魔法で、冒険者ギルドの裏手の人通りがない場所に描いてある転移用の魔法陣の上に移動した。

 私は、周りをスキル探索で、調べた。特に、見られるような場所には、誰もいないようだ。

 「大丈夫! それじゃ、ルナ、行こう」

 「各自、IDを出しておいてね。手早く済ませて、北への旅を出発するよ」

 「「了解」」

 皆は、冒険者ギルドのIDと魔物の成果物をアイテムボックスから、出す用意をしながら、冒険者ギルドに向かった。

 冒険者ギルドの中は、余り人が居なかった。

 「ローズ、今日は、人が少ないね」

 「そうよ。前に言ったように、一部のパーティだけに許可を与えているから」

 「あぁ、そうだったわね。それじゃ、買取は、別の場所で、する?」

 「その方がいいわね。付いて来てね」

 私達は、ローズのあとについて、別室で処理をして貰った。

 「今回は、中級ダンジョンを制覇したのね。凄いわ」

 ついに、私達は、Bクラス冒険者パーティになった。目標のSクラスは、まだまだ、だけど、直実にレベルアップをしている。

 ルナは、楽しそうに、旅を始めた。私も、ルナが嬉しいと、つられて嬉しくなる。そして、リリアの情報の元、光の向かった方角へ、進むことになった。

 何故か、アリアも、文句も言わずに、私達に付いて来てくれている。どうしてかな? アリアにとって、この度は、何か、メリットがあるのかなぁ。よく、わからない。

 互いを詮索しないことが、暗黙の取り決めなので、直接聞くことはしないけど、気になるわ。

 途中で、夕食を取りながら、休憩はしたけど、ルナは、旅を急いだ。光魔法で、光球ライト・ボールを常に出して、明るくしながら、北に向かった、進んで行った。

 もう、すっかり、夜になったけど、ルナは、歩みを止めない。

 「ルナ、そろそろ、休まない?」

 「ラズ、疲れたの?」

 「僕は、大丈夫だよ。でも、アリアやリリアに悪いよ」

 「そうね。この近くに村か、街は、ない?」

 「少し、行ったところに小さな村があるよ」

 「それなら、そこまで、行こうか?」

 「アリア、リリア、もう少し先に小さな村があるから、そこで、今日は、休もうか?」

 「私は、いいわ」
 
 リリアも、問題ないみたい。そして、アリアも返事を返してくれた。

 「私も、大丈夫です」

 「それじゃ、もう少し、進むよ」

 暫くして、小さな村が見えて来た。家の灯りが、見えて来た。

 私達は、静かに、村の中に入って行った。夜も更けているので、誰も、いないと思っていたら、村の人達が大勢で出迎えてくれたわ。私のスキル探索では、ほぼ魔力反応がなかったから、こんなに大勢が集まっているなんて、想定外だった。

 「今晩は、私達は、冒険者パーティです。北に向けて旅をしている途中ですが、この村で、一晩休ませて貰っていいですか?」

 「村の中はだめだ! 離れた所で、休め!」
 
 どうも、村長らしい老人が、言い放った。

 「ルナ、離れた所に、小屋を創るよ」

 「そうだね。ここで、言い争っても意味はないね」

 ルナは、私に小声で、伝えてから、老人の方に向かって、返事をした。

 「分りました。そのようにします」

 私達は、村を出て、森近くの場所に土魔法で、小屋を創り、その中で、休むことにした。 
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