水面の星

白詰えめ

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ご飯

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 お土産を開けて二人で食べながら、色んな話をした。最近話が出来ていなかった分、お互い沢山話したいことが溜まっていたのだ。前に戻ったみたいで嬉しい。でも、一つだけ気になることがあった。なぜか、翔の距離が近くなってる気がする。元々翔は、すぐ距離を詰めてくるタイプだが、それ以上に近い。ふと、気づいてしまうと、心臓がうるさくなるから、あんまり近づいてきてほしくはないのだけれど、離れられるのも嫌で何も言えなかった。
「なあ、あすか。泊まってけよ」
 翔はいい事を思いついたという風にそう言った。
「いいの?」
 緊張よりも、好奇心が勝った。まだ使ってない着替えもあるし、泊まる事自体は簡単だ。
「いいに決まってるだろ!」
 翔は、本当に嬉しそうにガッツポーズをした。
「やった!」
 あすかも単純に嬉しかった。わくわくする。ドキドキする感情よりも、楽しい感情が上回っている。
「俺のが嬉しいし!!」
 翔はよくわからない事で張り合っている。なんか面白い。
「ふふ」
 あすかが笑ったのをみて、翔は安心したようにほほんだ。

 翔はちょっと準備してくる、と言って別の部屋に行った。その間あすかは、ぼんやりと目の前を見ていた。すると、テレビの前に写真があることに気がついた。
「これって」
 小さい男の子と、女の子が写っている。二人ともなんとなく顔が似ている。
「もしかして」
 気になって写真の前に行った。近くで見ると、翔の写真だと確信した。仲良さそうに二人は笑っている。翔の隣は、お姉さんかな。そんな事を考えていると、翔が戻ってきた。
「お待たせ~ってあすか?」
 翔は、あすかのそばまで駆け寄ってきて隣にしゃがんだ。
「あ、勝手に見てごめん」
「いいよいいよ。俺、可愛いっしょ?」
 写真を指差しながら、翔は得意げに笑った。
「うん、可愛い」
 あすかが素直にそう言うと、翔は少し照れたような素振りを見せた。
「隣は、姉ちゃんなんだ」
 翔は懐かしむようにそう言った。やっぱり、お姉さんだったんだ。そういえば、お互い家族の話はしたことが無いかもしれない。翔のことは、まだまだ、知らないことばかりだ。
「さあ!そろそろ晩御飯食べようぜ」
 話題を変えるように翔はそう言って立ち上がった。あすかもそれに続くように立ち上がる。
「晩御飯どうしようか」
 あすかは考えるようにそう言った。
「出前?それか、あすかが作ってくれてもいいけど?」
 翔は期待するような目であすかを見た。
「いいよ。家にあるもの教えて」
「あー勝手に見ていいよ」
「丸投げじゃん」
 なんだか、翔が甘えてくれているようで嬉しい。とりあえず、台所の方へ向かった。冷蔵庫を見つけたので開けてみると、水とお酒とウーロン茶とオレンジジュースが入っていた。というか、それ以外何も無い。気を取り直して冷凍庫と野菜室も開けてみる。冷凍庫にアイスが入ってた以外何もなかった。もしかしてと思い、恐る恐るコンロに目を向ける。コンロは、まるで新品のように綺麗だ。そう、新品のように、一度も使われたことが無いような感じだ。
「翔…もしかして」
 一人でぼそっと呟いた。あすかが、戻って来ないのを心配したのか、翔の足音がする。こっちに来てるみたいだ。
「あーすか!なんかあった?」
「なんかあったって言うか、何もなかった」
 あすかがそう言うと、翔は思い出したように「あっ」と言った。
「もしかして、ここでご飯作ってない?」
「あはは、そうなんだよね」
 翔は困ったように笑った。
「てか、アパートの方でも作ってない」
「じゃあ、いつも出前…?」
「そう…だな」
「そうだったんだ」
「あすかの作ってくれたご飯が数年ぶりの手料理って感じ?」
「そっか」
 あすかは、何かを決心したように拳を握った。
「明日も泊まっていい?」
「いいに決まってるだろ!何日でもいてよ。なんなら同棲しちゃう?」
「よかった!って同棲!?それは違うでしょ」
 なんか照れてしまう。絶対今顔が赤くなっている。翔は、残念そうにしている。
「だってこんな広いとこ一人でいても寂しいじゃん」
「それなら、前言ってた好きな人誘えばいいじゃん」
 テンパって、言いたく無いことを言ってしまった。すると今度は翔が、焦ったように、目を丸くした。
「あ、いや。それは。とにかくいいから!」
 それにつられて、あすかも「わ、わかった!」と勢いよく返事をした。
「とりあえず、明日はご飯作るから一緒に買い物行こ」
「そうだな!」
 二人でバタバタと何か落ち着かないまま、翔がスマホをポケットから出して、出前のサイトを開いた。なんだか、焦っていたからか、サイドメニューまで沢山頼んでしまった。届いてから、机に並べると、パーティーみたいになった。それを見て、二人ともおかしくなって顔を見合わせて笑った。
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