星の王国〜星が導く未来、心がつなぐ王国〜

小世 真矢

文字の大きさ
9 / 16

第十章

しおりを挟む

第十章:聖殿の試練

リリィとアレン、そして忠実な仲間たちは、星の聖殿への道を進んでいた。険しい山道を越え、深い森を抜け、次第に自然の音が遠ざかり、静寂が支配する場所へと足を踏み入れた。風が冷たく、空気はどこかひんやりとしている。全身に不安が走る中、リリィはその冷たい空気に身を委ねながら、心の中で自分に言い聞かせた。

「私はこの道を選んだ。どんな試練が待っていようと、私は立ち向かう。」

「リリィ、前を見て。」アレンが突然、低い声で呼びかけた。

リリィは顔を上げ、前方に目を凝らした。彼女が見たのは、広大な崖の上に立つ巨大な門だった。その門は古びており、まるで時を越えて今なお聖なる力を宿しているかのように、神秘的な光を放っていた。門の前には、浮かぶように輝く星が何個も並び、まるで道を導いているかのようだった。

「これが星の聖殿への入り口だ。」アレンは静かに言った。「だが、この門をくぐるためには、君がその試練を受ける必要がある。」

リリィは頷き、足を進めた。門に近づくと、空気が一変し、周囲の景色が歪み始めた。霧が立ち込め、視界がぼんやりと霞んだ。突然、目の前に幻のような影が現れた。それはリリィの過去の姿、過去の苦しみを象徴するものだった。

「リリィ…お前は過去の自分を忘れたのか?」その影は低い声で問いかけた。

リリィは一瞬立ち止まり、その声に耳を傾けた。それは、自分がかつて恐れていた自分自身の姿だった。過去に感じた孤独や恐れ、無力さが具現化したようなその姿。

「過去の自分に立ち向かわなければ、先に進むことはできません。」アレンの声が背後から響いた。「リリィ、君の力は恐れを超える力だ。」

その言葉に励まされたリリィは、深く息を吸い込んだ。過去を振り返り、そこにあった恐れや迷いを胸に感じながらも、彼女はその全てを乗り越える覚悟を決めた。過去の自分に言い放った。

「私はもう、あの頃の私ではない。」

その瞬間、幻の影が消え失せ、空気が再び澄み渡った。リリィは深く息を吐き、前に進んだ。すると、聖殿の巨大な扉がゆっくりと開き、光が溢れ出してきた。

「試練を乗り越えた。」アレンがしみじみと呟いた。

リリィはそのまま足を踏み入れると、聖殿の内部が広がっていった。そこには、天井が高く、無数の星々が輝くような空間が広がっていた。床には古代の模様が刻まれ、壁には神々しい光が放たれている。中心には、巨大な石の台座があり、その上に神秘的な光を放つ宝石のような物体が浮かんでいた。

「これが、星の力の源…」リリィはその光景を見つめ、心から驚嘆した。

「その宝石に触れれば、君の力はさらに強大なものとなるだろう。」アレンが説明した。「だが、注意しなければならない。この場所には、星の力を試す試練がまだ残っている。」

リリィはその言葉に警戒しながらも、一歩一歩台座に向かって進んでいった。突然、床が揺れ、空間が歪み始めた。星々の光が一斉に暗くなり、聖殿内の温度が一気に下がった。

「試練の一つだ。」アレンの声が響いた。「リリィ、君は自分の力を信じなければならない。」

その瞬間、聖殿の周囲から無数の光の矢がリリィに向かって放たれた。それは速く、鋭く、まるで彼女を試すかのように迫ってきた。リリィは瞬時に反応し、星の力を解き放とうとした。しかし、どんな力も完全には矢を止めることができなかった。

「リリィ、今だ!」アレンの声が響いた。

リリィは意を決して、手を広げ、全身に星の力を集めた。すると、彼女の体を包む光が一気に爆発し、光の壁となって矢を全て打ち消した。その力の波動は聖殿を揺るがすほどのもので、壁に刻まれた古代の模様が輝き出した。

矢が完全に消え去った後、リリィは息を切らしながらも、星の力をうまく使いこなした自分に少しだけ安堵した。「これで、次は…?」

「次は、心の力だ。」アレンは答えた。「本当の試練は、自分を信じる心にある。君の内に眠る星の力を引き出すには、君がどれほど心からこの力を受け入れ、信じることができるかだ。」

その言葉を受けて、リリィは深く瞑想を始めた。星の力が自分の中に流れ込む感覚を感じ、リリィはその力を完全に受け入れる決意を固めた。

時間が経つ中、ついにリリィはその力を完全に制御することができた。そして、聖殿の中央に浮かんでいた宝石が、彼女の手のひらに吸い寄せられるように輝きながら落ちてきた。

「これが、私の力。」リリィはその宝石を手に取った。それは、星の光そのものであり、彼女の力の象徴であった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

あの素晴らしい愛をもう一度

仏白目
恋愛
伯爵夫人セレス・クリスティアーノは 33歳、愛する夫ジャレッド・クリスティアーノ伯爵との間には、可愛い子供が2人いる。 家同士のつながりで婚約した2人だが 婚約期間にはお互いに惹かれあい 好きだ!  私も大好き〜! 僕はもっと大好きだ! 私だって〜! と人前でいちゃつく姿は有名であった そんな情熱をもち結婚した2人は子宝にもめぐまれ爵位も継承し順風満帆であった はず・・・ このお話は、作者の自分勝手な世界観でのフィクションです。 あしからず!

『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』

宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...