オセロのおしろ

ささりっとる

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オセロのおしろ(漢字)

オセロのおしろ 1

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朝、目が覚めると僕は、黒と白のレンガのお城の前にいた。

お城の壁は、黒と白のレンガで縞模様になっていて、なんだかオセロみたいだなぁと思った。

僕がお城の前でぼーっと立っていると、黒い服を着て、黒い帽子を被った、背の高いおじいさんがお城の入り口から出てきて、話しかけてきた。

「おお、ぼうや。私に挑戦するのかい」
「挑戦?」
「ああ。オセロで私に勝てば、お城の2階に登らせてあげよう」

おじさんは、にこにこ笑った。なんでこんなに、にこにこ笑っているのか、僕には分からない。

でも僕は、暇だし、オセロをしたいし、挑戦することにした。

「うん。挑戦する」

僕がそう言うと、おじいさんは「そうかい」とにっこり笑って、振り返った。

「おいで、ぼうや」

おじいさんがそう言ったので、僕はおじいさんについていって、お城に入った。

 * * * 

そこはきらきら光る、いろんな色のまどガラスがある、綺麗な部屋だった。



部屋の真ん中には、石の机があって、その上にはオセロをするためのボードが置かれていた。

「それじゃあぼうや。始めようか」
「うん」

おじいさんはボードの真ん中に四つ、黒と白を置いた。

じゃんけんで順番を決めたけど、僕はじゃんけんで負けてしまった。

おじいさんが城で、僕が黒だ。

おじいさんが僕の白を挟んで、ひっくり返す。だけど僕は、取り返す。

ひっくり返す、ひっくり返す、取り返す、取り返す。

繰り返すうちに、おじいさんがこっちを見た。すごく怒ったような顔だ。

「ボウズ、絶対に許さねえ」

おじいさんの声は、雷のゴロゴロという音みたいだった。初めはにこにこ笑っていたおじいさんは、もういなかった。怖い顔で僕を見ている。

おじいさんがとっても怖いから、ぼくはおじいさんの顔を見ないようにして、オセロを続ける。

僕はボードに、最後の白を置いた。

黒をひっくり返して、僕の勝ち!

やったぁ、と僕はおじいさんの方を見たけれど、もうそこにおじいさんはいなかった。
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