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第33話 山崎三郎
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俺は単独で山崎三郎という人物を調べることにした。
わかっている情報をもとに身長百七十センチくらいで黒髪オールバック、眼鏡でスーツを着た男を職場近くのBマートで探す。
数週間はかかると踏んでいたのだが思いのほかその男は早くみつかった。
身長は俺と同じくらいか、黒い髪をオールバックに固めて眼鏡をかけたスーツ姿の男がなんの感情もない顔でレジに並んでいる。
俺の悪人感知呪文に反応はない。
だがそれでもわかる。
あいつが山崎三郎だと俺の第六感が告げていた。
近付きすぎないように距離をとりながら監視していると、
「おい、ヤマト」
背後から俺を呼ぶ声がした。
びっくりして振り返るとすぐ後ろに冴木が立っていた。
「さ、冴木っ!?」
いつからいたのだろう。
山崎三郎に注意を払っていたからまったく気づかなかった。
俺は平静を装い、
「冴木も買い物か?」
訊ねるが、
「お前と同じ目的だよ」
冴木はそう返す。
「俺と同じ? ってどういうことだ?」
「とぼけるなよ。最近お前が付き合い悪いから会社終わりでお前のあとをつけてたんだ。毎日物陰に隠れて誰かを探しているような動きをしてたのは知ってるんだぜ」
「……っ」
俺は言葉が出なかった。
ここ数日ずっと冴木に尾行されていたのか……。
「その目的が今やっとわかったぜ……あいつが山崎三郎。そうなんだな?」
冴木は真剣な顔で俺の目をじっとみつめてくる。
同期で親友、さらに細谷さんという恋人を失ったばかりの冴木に嘘はつけない。
「……ああ、多分な」
「そっか……ヤマト、お前がどうしてこの店であいつを探してたのかはこの際どうでもいい。お前と和美さんの間に何かあったんだとしても別にいい。だから知っているならこれだけは答えてくれ。あの男が和美さんを殺したのか?」
低い声で訊いてきた。
「ああ、俺はそう思ってる」
「……やっぱりか」
冴木は俺の言葉を受けて「ふぅー」と小さく息を吐く。
そして何かを決意したような目で山崎三郎を見据えた。
「おい、冴木。まさかあいつをどうこうしようっていうんじゃないだろうな? 危険だからやめとけよ、相手は殺人犯かもしれないんだぞ」
正確には殺人者。
だとしたら普通の殺人犯よりもタチが悪い。
レベルがいくつなのかも、どんな呪文を覚えているのかもわからないんだからな。
「ふっ、わかってるさ。おれだって馬鹿じゃない。いきなりあいつの胸ぐらを掴んで殴り飛ばしたりなんてしないよ。こうやって離れたところからマークして殺人の証拠を掴んでそれを警察に持っていくだけだ」
「証拠なんてあるわけないぞ」冴木にそう言ってやりたかったが、それを言い出すと俺が殺人者だということも話さなくてはいけなくなる。
なので俺は無言を貫いた。
買い物を終えてBマートを出ていく山崎三郎の背中を俺と冴木はただ黙って眺める。
「お前の方こそ、あの男には近付くなよ」
山崎三郎の後ろ姿が完全に見えなくなってから冴木が口を開いた。
「ああ」
言われなくてもわかっているさ。
あくまで俺は顔を知っていた方が安心する。そう思っての行動だっただけだ。
細谷さんには悪いが敵討ちをするつもりなどさらさらない。
「冴木も今日以上の接触は絶対に避けろよ」
「わかってるって。心配すんな、おれのお袋かよ」
冴木は俺を見てにかっと笑う。
その笑顔に安堵して俺は冴木と別れたのだった。
◇ ◇ ◇
だがその翌日――冴木は姿を消した。
わかっている情報をもとに身長百七十センチくらいで黒髪オールバック、眼鏡でスーツを着た男を職場近くのBマートで探す。
数週間はかかると踏んでいたのだが思いのほかその男は早くみつかった。
身長は俺と同じくらいか、黒い髪をオールバックに固めて眼鏡をかけたスーツ姿の男がなんの感情もない顔でレジに並んでいる。
俺の悪人感知呪文に反応はない。
だがそれでもわかる。
あいつが山崎三郎だと俺の第六感が告げていた。
近付きすぎないように距離をとりながら監視していると、
「おい、ヤマト」
背後から俺を呼ぶ声がした。
びっくりして振り返るとすぐ後ろに冴木が立っていた。
「さ、冴木っ!?」
いつからいたのだろう。
山崎三郎に注意を払っていたからまったく気づかなかった。
俺は平静を装い、
「冴木も買い物か?」
訊ねるが、
「お前と同じ目的だよ」
冴木はそう返す。
「俺と同じ? ってどういうことだ?」
「とぼけるなよ。最近お前が付き合い悪いから会社終わりでお前のあとをつけてたんだ。毎日物陰に隠れて誰かを探しているような動きをしてたのは知ってるんだぜ」
「……っ」
俺は言葉が出なかった。
ここ数日ずっと冴木に尾行されていたのか……。
「その目的が今やっとわかったぜ……あいつが山崎三郎。そうなんだな?」
冴木は真剣な顔で俺の目をじっとみつめてくる。
同期で親友、さらに細谷さんという恋人を失ったばかりの冴木に嘘はつけない。
「……ああ、多分な」
「そっか……ヤマト、お前がどうしてこの店であいつを探してたのかはこの際どうでもいい。お前と和美さんの間に何かあったんだとしても別にいい。だから知っているならこれだけは答えてくれ。あの男が和美さんを殺したのか?」
低い声で訊いてきた。
「ああ、俺はそう思ってる」
「……やっぱりか」
冴木は俺の言葉を受けて「ふぅー」と小さく息を吐く。
そして何かを決意したような目で山崎三郎を見据えた。
「おい、冴木。まさかあいつをどうこうしようっていうんじゃないだろうな? 危険だからやめとけよ、相手は殺人犯かもしれないんだぞ」
正確には殺人者。
だとしたら普通の殺人犯よりもタチが悪い。
レベルがいくつなのかも、どんな呪文を覚えているのかもわからないんだからな。
「ふっ、わかってるさ。おれだって馬鹿じゃない。いきなりあいつの胸ぐらを掴んで殴り飛ばしたりなんてしないよ。こうやって離れたところからマークして殺人の証拠を掴んでそれを警察に持っていくだけだ」
「証拠なんてあるわけないぞ」冴木にそう言ってやりたかったが、それを言い出すと俺が殺人者だということも話さなくてはいけなくなる。
なので俺は無言を貫いた。
買い物を終えてBマートを出ていく山崎三郎の背中を俺と冴木はただ黙って眺める。
「お前の方こそ、あの男には近付くなよ」
山崎三郎の後ろ姿が完全に見えなくなってから冴木が口を開いた。
「ああ」
言われなくてもわかっているさ。
あくまで俺は顔を知っていた方が安心する。そう思っての行動だっただけだ。
細谷さんには悪いが敵討ちをするつもりなどさらさらない。
「冴木も今日以上の接触は絶対に避けろよ」
「わかってるって。心配すんな、おれのお袋かよ」
冴木は俺を見てにかっと笑う。
その笑顔に安堵して俺は冴木と別れたのだった。
◇ ◇ ◇
だがその翌日――冴木は姿を消した。
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