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第45話 ディープウェブ
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なぜか三日前から俺のスマホには、鬼束探偵事務所宛てで消してほしい人物を書いたメールが沢山送られてくるようになった。
三日前といえば小西和也を殺した日と合致する。
これまでにも鬼束探偵事務所宛てでメールはあったがどれも探偵としての業務の範疇だった。
ところが今回のものはそれらと違って誰々を消してほしいとか、誰々を呪い殺してほしいとかいった物騒な言葉が並んでいる。
察するにだがおそらく貝原久雄さんが俺のことを言いふらしているのではないだろうか。
もしくはネットなどに書き込んだか。
俺は貝原久雄さんに連絡を取った。
すると貝原さんはすぐに白状した。
『す、すみませんっ。わたしのように苦しんでいる人のためになるんじゃないかと思って勝手にネットに書き込んでしまいましたっ』
後者だったか。
「あの、まず大前提として小西和也が消えた件は俺とは何も関係ありませんと言っておきます。その上でそういうことをされるとちょっと困るんですよね」
『す、すみませんでしたっ。書き込んだのはディープウェブというネットでもとても深い部分なので誰もが見られるわけではないんですっ。ですがわたしもまずいと思って書き込んだ後にすぐ削除しましたっ』
うーん……まあ、似たような経験が俺にもあるので強くは言えないか。
「わかりました。理由が知りたかっただけなのでもういいですよ。じゃあ失礼しますね」
『は、はいっ。どうもすみませんでしたっ』
俺は電話を切るとため息をつく。
それからたくさん来ているメールを一つ一つ読んでいった。
貝原さんには困ると言ったがその実、メールの中にはなかなかの依頼料を提示しているものもあって見過ごすのは少々惜しいとも感じていた。
なので俺はメールの中から気になるものだけをピックアップして保存しておくことにしたのだった。
◇ ◇ ◇
[初めまして、笠倉栄一と申します。群馬県在住の五十一歳です。
私には高校一年生の笠倉由紀子という娘がおりました。
しかし去年の春、娘は学校の屋上から飛び下りて自殺しました。
自宅に残されていたスマホの中からは遺書がみつかりました。
その内容は高校生になってからずっといじめを受けていたという悲痛な叫びをつづったものでした。
いじめの加害者の名前もはっきりと書かれていました。
いじめが原因で抗議のために自殺するのだとも書かれていました。
しかしながら学校側も教育委員会も加害者の生徒もいじめの事実を認めようとはしませんでした。
今回鬼束様のことを知って私たち夫婦はよく話し合い熟慮に熟慮を重ねた結果一つの結論に達しました。
それは娘をいじめた加害者を法の裁きではなく加害者自身の命を持って償ってもらいたいというものです。
裁判費用にと用意していた三百万円を既に鬼束様の口座に振り込ませていただきました。
どうか私たちの宝物を奪ったいじめの加害者である飛島亜香里をこの世から消してください。]
◇ ◇ ◇
「ここか……」
立派な校舎を見上げながらつぶやく。
俺は群馬県内のとある女子高の前に来ていた。
最近はネットを使えば大抵のことは調べられる。
笠倉由紀子が通っていた学校名もいとも簡単に知ることが出来た。
それだけではなく、いじめの加害者とされている飛島亜香里の実名までご丁寧に顔写真付きでネット上に出回っていた。
俺は三日前から飛島亜香里に対して千里眼の呪文を使っているが、未だ悪人らしい兆候は見せてはいない。
それなので俺はこうして直接確かめに来たというわけだった。
俺の悪人感知の呪文にひっかかればクロ、ひっかからなければシロということになる。
キーンコーンカーンコーン……。
下校のチャイムが鳴った。
飛島亜香里は帰宅部のようだからそろそろ出てくるだろう。
と、
「……」
「……」
「……」
通りがかったおばさん連中が俺を見て何やらひそひそ話している。
うーん……男の俺が女子高の前でじっと待っているのも周りの目を引いてしまうか。
そう考え、俺はあらかじめ調べておいた飛島亜香里のバイト先へと先回りすることにした。
三日前といえば小西和也を殺した日と合致する。
これまでにも鬼束探偵事務所宛てでメールはあったがどれも探偵としての業務の範疇だった。
ところが今回のものはそれらと違って誰々を消してほしいとか、誰々を呪い殺してほしいとかいった物騒な言葉が並んでいる。
察するにだがおそらく貝原久雄さんが俺のことを言いふらしているのではないだろうか。
もしくはネットなどに書き込んだか。
俺は貝原久雄さんに連絡を取った。
すると貝原さんはすぐに白状した。
『す、すみませんっ。わたしのように苦しんでいる人のためになるんじゃないかと思って勝手にネットに書き込んでしまいましたっ』
後者だったか。
「あの、まず大前提として小西和也が消えた件は俺とは何も関係ありませんと言っておきます。その上でそういうことをされるとちょっと困るんですよね」
『す、すみませんでしたっ。書き込んだのはディープウェブというネットでもとても深い部分なので誰もが見られるわけではないんですっ。ですがわたしもまずいと思って書き込んだ後にすぐ削除しましたっ』
うーん……まあ、似たような経験が俺にもあるので強くは言えないか。
「わかりました。理由が知りたかっただけなのでもういいですよ。じゃあ失礼しますね」
『は、はいっ。どうもすみませんでしたっ』
俺は電話を切るとため息をつく。
それからたくさん来ているメールを一つ一つ読んでいった。
貝原さんには困ると言ったがその実、メールの中にはなかなかの依頼料を提示しているものもあって見過ごすのは少々惜しいとも感じていた。
なので俺はメールの中から気になるものだけをピックアップして保存しておくことにしたのだった。
◇ ◇ ◇
[初めまして、笠倉栄一と申します。群馬県在住の五十一歳です。
私には高校一年生の笠倉由紀子という娘がおりました。
しかし去年の春、娘は学校の屋上から飛び下りて自殺しました。
自宅に残されていたスマホの中からは遺書がみつかりました。
その内容は高校生になってからずっといじめを受けていたという悲痛な叫びをつづったものでした。
いじめの加害者の名前もはっきりと書かれていました。
いじめが原因で抗議のために自殺するのだとも書かれていました。
しかしながら学校側も教育委員会も加害者の生徒もいじめの事実を認めようとはしませんでした。
今回鬼束様のことを知って私たち夫婦はよく話し合い熟慮に熟慮を重ねた結果一つの結論に達しました。
それは娘をいじめた加害者を法の裁きではなく加害者自身の命を持って償ってもらいたいというものです。
裁判費用にと用意していた三百万円を既に鬼束様の口座に振り込ませていただきました。
どうか私たちの宝物を奪ったいじめの加害者である飛島亜香里をこの世から消してください。]
◇ ◇ ◇
「ここか……」
立派な校舎を見上げながらつぶやく。
俺は群馬県内のとある女子高の前に来ていた。
最近はネットを使えば大抵のことは調べられる。
笠倉由紀子が通っていた学校名もいとも簡単に知ることが出来た。
それだけではなく、いじめの加害者とされている飛島亜香里の実名までご丁寧に顔写真付きでネット上に出回っていた。
俺は三日前から飛島亜香里に対して千里眼の呪文を使っているが、未だ悪人らしい兆候は見せてはいない。
それなので俺はこうして直接確かめに来たというわけだった。
俺の悪人感知の呪文にひっかかればクロ、ひっかからなければシロということになる。
キーンコーンカーンコーン……。
下校のチャイムが鳴った。
飛島亜香里は帰宅部のようだからそろそろ出てくるだろう。
と、
「……」
「……」
「……」
通りがかったおばさん連中が俺を見て何やらひそひそ話している。
うーん……男の俺が女子高の前でじっと待っているのも周りの目を引いてしまうか。
そう考え、俺はあらかじめ調べておいた飛島亜香里のバイト先へと先回りすることにした。
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