レベリング・マーダー 一週間に一回は人を殺さないと自分が死んでしまう。ならばいっそ勧善懲悪しよう。

シオヤマ琴@『最強最速』発売中

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第48話 真相

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しばらくすると笹倉さんから画像付きのメールが届いた。
その画像には柊麻衣という女子生徒の顔が写っていた。

小学校の卒業アルバムの写真だそうだがこれで一応顔と名前は手に入れたわけなので千里眼が使えるかどうか早速試してみる。

「ンガリンセ」

呪文を唱えると柊麻衣が学校で部活に励んでいる様子がまぶたの裏に映った。
おそらく陸上部なのだろう、トラックをかなり速いスピードで走っている。
活発そうな女子に見える。

この柊麻衣なら笹倉由紀子の周りで何が起きていたか、相談に乗っていた可能性もあるということで俺は調べることにしたわけだった。

女子高に乗り込んで話を聞くわけにはいかないので、とりあえず部活が終わるまでそのまま待つことに。


◇ ◇ ◇


日も陰ってきた頃、柊麻衣が下校するのと同時に俺はマスクを装着してアパートを出た。

柊麻衣は一人で自転車を走らせている。
俺はその様子を監視しながらあとを追った。

数分後、柊麻衣は自宅へとたどり着いた。
家の裏に自転車を置いてから玄関へと回る。
鍵を取り出してドアを開けているところを見るとどうやら家には柊麻衣以外は誰もいないようだ。


俺は柊麻衣の家の前まで来ると防犯カメラがあるかどうかを確認する。

「……ないか」

この辺りは田舎なのでさすがに個人宅で防犯カメラを設置している家はまだまだ少ない。
俺にとっては好都合だ。

ピンポーン。

俺は迷いなくチャイムを鳴らした。

「はーいっ」
家の中から明るい声がしてガチャッとドアが開かれる。
もちろんその声の主は柊麻衣本人だった。

「初めまして、こんにちは」
「あ、はい。こんにちは……」
俺を訝しそうに見ながらも柊麻衣はそう返した。

「僕は小杉という者です。探偵をやっています」
「た、探偵さんですか……? え、探偵さんがうちに何か用なんですか……?」
「ええ、実は笹倉由紀子さんの自殺の真相について調べているのですが、どんな些細なことでも結構です。知っていることがあったら教えていただけませんか?」
「えっ!?」
俺の言葉を受け柊麻衣は動揺した様子で声を上げる。

「そ、そうなんですか……で、でもなんでわたしに……? わたしはクラスも違うし、な、何も知りませんよ……」
そう答えるも既に読心の呪文を発動していた俺には柊麻衣の頭の中がはっきりと読めていた。

なので、
「桐原京子ですか。その女子生徒がいじめていた張本人なんですね」
「な、なんでそれをっ……」
「今あなたが頭に思い浮かべたじゃないですか」
俺は簡単にいじめていた加害者の名前を知ることが出来たのだった。

「あなたのことは誰にも言いませんからすべて話してもらえませんか? 笹倉由紀子さんとそのご両親とそれから飛島亜香里さんのために」
「……」
足元に視線を落とし黙りこくる柊麻衣。

「笹倉由紀子さんと仲がよかったんですよね?」

すると意を決したように柊麻衣が顔を上げる。
そして唇をひと噛みしてから語り出した。

「……飛島さんは由紀子をいじめてはいません。由紀子をいじめていたのは探偵さんが言ったように桐原京子です。由紀子は優等生タイプで目立っていたので桐原京子の癇に障ったんだと思います。だから桐原京子は学校裏サイトで由紀子を貶めるようなことばかり書いて周りを煽っていったんです。なんの関係もない飛島さんの名前を使って」
「それをどうしてあなたは知っているのですか? いじめられていた由紀子さん自身もいじめていたのは飛島亜香里さんだと思っていたのに」
「そ、それは、桐原京子本人がわたしにそう言ったんです。悪びれもせずに。わ、わたしと彼女は同じ陸上部なのでそれで……」

柊麻衣の頭の中を覗くとどうやら桐原京子はクラスの一軍のリーダー格のような存在らしい。
その上で柊麻衣は自分に火の粉が降りかかるのを恐れて今まで口を閉ざしていたようだ。

「よくわかった。ありがとう」
「あ、あの本当にわたしが喋ったっていうことは秘密に――」
「ヨキウヨシクオキ」
「え?」

俺は昨日ガラの悪い男二人組を殺した時にレベル15になっており、その際に新たな呪文を一つ覚えていたのだった。
その呪文は消費MP25の記憶消去というもの。
まだ誰にも試したことはないので俺は柊麻衣を前に今初めて口にしたのだが。

その呪文を受けた柊麻衣はというと、
「あ、あのう、すみませんがどちら様ですか?」
さっきまでのやり取りをすっかり忘れ俺にそう訊ねてくる。
ここ五分ほどの記憶が完全に消えているようだった。

「あ、すみません。こちら釘宮さんのお宅では?」
「い、いえ、違いますけど……」
「あ、そうですか、すみませんっ。家を間違えてしまいました。失礼します」
「は、はい……」

俺はこうして何事もなかったように柊麻衣の家をあとにすると直後笹倉さんに連絡を入れた。
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