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第93話 即死呪文と魔吸収の呪文
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「メアリ、もう即死呪文は唱えられないだろ」
「うん。残りMPが足りひんもん」
「だよな」
メアリの即死呪文は消費MPが50とかなり高いので一日一回が限度だった。
それなので残る三件の殺人依頼は明日以降に回すことにする。
「それで、さっきの依頼料は二百万円だったんだけど、どうする?」
俺はメアリに訊いてみた。
「どうするってどういうこと?」
「二人で分けるのか、それともお前が一人でもらうのかってことだよ」
こう訊いておきながらメアリの答えはなんとなくわかっていた。
これまで一緒にいた感じだとどうやらメアリには物欲があまりないらしいから、きっと――
「一人でなんてもらわへんよぉ。うちらはチームやもん」
「じゃあ半分半分でいいのか?」
「全然ええよ~」
「そっか、ありがとな」
やはりメアリはお金に執着がないようだ。
この分だとメアリを使ってかなり稼げそうだな。
◇ ◇ ◇
翌日も翌々日も俺の千里眼の呪文を併用しつつ、メアリの即死呪文によって遠く離れた場所の殺人依頼を遂行した。
それにより簡単に依頼料二百万円を稼ぐことに成功する。
ちなみに報酬は段ボールで配送してもらうことにした。
中身がお金だとバレないように割れ物注意のシールを貼ってもらえば問題ないだろうと思ってのことだ。
メアリは連日の殺人行為によりレベルが12にまで上がっていた。
さらにレベルが12に上がったことで消費MP0の魔吸収という呪文も覚えた。
呪文の効果がよくわからなかったので俺が試しに使ってみろと言ったところ、メアリは「ウユシウユキマ」と唱える。
すると俺の体から青い光が漏れ出てその光がメアリの体に入っていった。
もしやと思いステータスを確認してみると、俺のMPが50減っていてその代わりにメアリのMPが50回復していた。
「マジかよ。その呪文、相手からMPを吸い取る呪文じゃねえか」
「そうみたいやなぁ」
「まったく、おかげで俺の残りMPはたったの10だぞ」
「えへへぇ~、ごめんなさい」
子どものように無邪気に笑うメアリを見ながら俺は少しだけ恐怖を感じていた。
魔吸収の呪文によって一日一回が限度だった即死呪文が理論上撃ち放題になったのだからな。
しかも相手のMPを奪うという殺人者に対して圧倒的に有利に立てる呪文だ。
もしも敵に回したらと考えるとゾッとする。
「まあいいや。これで明日やろうとしていた依頼を今やれるからな。じゃあとりあえず次が最後の依頼だ」
俺はスマホを操作して過去のメールを画面に表示させた。
[はじめまして、わたしは福岡県に住んでいる上本博樹といいます。年齢は五十五歳で職業は公務員です。
今わたしにはとても気がかりなことがあります。それは介護施設に預けている今年八十歳になる母のことです。
母は年々少しずつ痴呆が進み、現在は熊本県のとある介護施設にお世話になっています。
わたしが面倒を見ることが出来ればいいのですが、仕事が忙しく時間的にとても余裕がありません。
そんなわたしでも毎週末には車で会いに行っているのですが、先日訪れた時母が腕に怪我をしていたのです。
施設の職員さんが言うには暴れてベッドから落ちたということらしいのですが、実は三週間ほど前にも足を怪我していたことがあるのです。
その時にもやはりベッドから落ちたのだと説明されましたが、さすがに二度となるとわたしもよからぬことを考えてしまいます。
そこで職員さんがいない隙を見計らって母に問いかけてみました。
すると母は職員さんに乱暴されたのだと言って泣き始めました。
それを見た職員さんは大慌てでやってきて「何言ってるの、上本さんが暴れて勝手に落ちたんでしょ」と母をたしなめました。
母は軽度の認知症なので母の言っていることが事実なのか、それとも職員さんの言っていることが事実なのか、わたしには判断できません。
しかし、もし仮に母が乱暴されているのだとしたらわたしは絶対に許せません。
そこで身勝手なお願いなのですが、調査料として百万円プラスして二百万円お支払いいたしますので母の身に何が起こっているか調べてもらえないでしょうか。
そしてもし母の言っていることが事実だった場合は、母に乱暴をした人間を呪い殺していただきたいです。
何もなかった場合でもお金は返さなくて構いませんのでどうか良いお返事をお待ちしております。]
「……だそうだ」
「もし本当やったらめっちゃ悪人やんっ。絶対殺したろうなっ」
「上本さんにはもうすでに職員さんの名前も血液型も調べてもらってあるから、あとは俺が上本さんの母親を千里眼で見るだけだ」
「そんで介護施設の職員さんが犯人やったらうちが殺せばええんやな?」
「まあそういうことだ。と言っても、お前が俺のMP吸い取ったせいで俺はあと一回しか千里眼は使えないんだけどな」
千里眼の呪文の効力は三時間。
今が午前十時だから午後一時までが勝負ってわけだ。
「あははぁ~、じゃあヤマトお兄ちゃん、頑張ってなぁ」
そう言うとメアリはソファの上にごろんと横になり、無防備な寝顔をさらすのだった。
「うん。残りMPが足りひんもん」
「だよな」
メアリの即死呪文は消費MPが50とかなり高いので一日一回が限度だった。
それなので残る三件の殺人依頼は明日以降に回すことにする。
「それで、さっきの依頼料は二百万円だったんだけど、どうする?」
俺はメアリに訊いてみた。
「どうするってどういうこと?」
「二人で分けるのか、それともお前が一人でもらうのかってことだよ」
こう訊いておきながらメアリの答えはなんとなくわかっていた。
これまで一緒にいた感じだとどうやらメアリには物欲があまりないらしいから、きっと――
「一人でなんてもらわへんよぉ。うちらはチームやもん」
「じゃあ半分半分でいいのか?」
「全然ええよ~」
「そっか、ありがとな」
やはりメアリはお金に執着がないようだ。
この分だとメアリを使ってかなり稼げそうだな。
◇ ◇ ◇
翌日も翌々日も俺の千里眼の呪文を併用しつつ、メアリの即死呪文によって遠く離れた場所の殺人依頼を遂行した。
それにより簡単に依頼料二百万円を稼ぐことに成功する。
ちなみに報酬は段ボールで配送してもらうことにした。
中身がお金だとバレないように割れ物注意のシールを貼ってもらえば問題ないだろうと思ってのことだ。
メアリは連日の殺人行為によりレベルが12にまで上がっていた。
さらにレベルが12に上がったことで消費MP0の魔吸収という呪文も覚えた。
呪文の効果がよくわからなかったので俺が試しに使ってみろと言ったところ、メアリは「ウユシウユキマ」と唱える。
すると俺の体から青い光が漏れ出てその光がメアリの体に入っていった。
もしやと思いステータスを確認してみると、俺のMPが50減っていてその代わりにメアリのMPが50回復していた。
「マジかよ。その呪文、相手からMPを吸い取る呪文じゃねえか」
「そうみたいやなぁ」
「まったく、おかげで俺の残りMPはたったの10だぞ」
「えへへぇ~、ごめんなさい」
子どものように無邪気に笑うメアリを見ながら俺は少しだけ恐怖を感じていた。
魔吸収の呪文によって一日一回が限度だった即死呪文が理論上撃ち放題になったのだからな。
しかも相手のMPを奪うという殺人者に対して圧倒的に有利に立てる呪文だ。
もしも敵に回したらと考えるとゾッとする。
「まあいいや。これで明日やろうとしていた依頼を今やれるからな。じゃあとりあえず次が最後の依頼だ」
俺はスマホを操作して過去のメールを画面に表示させた。
[はじめまして、わたしは福岡県に住んでいる上本博樹といいます。年齢は五十五歳で職業は公務員です。
今わたしにはとても気がかりなことがあります。それは介護施設に預けている今年八十歳になる母のことです。
母は年々少しずつ痴呆が進み、現在は熊本県のとある介護施設にお世話になっています。
わたしが面倒を見ることが出来ればいいのですが、仕事が忙しく時間的にとても余裕がありません。
そんなわたしでも毎週末には車で会いに行っているのですが、先日訪れた時母が腕に怪我をしていたのです。
施設の職員さんが言うには暴れてベッドから落ちたということらしいのですが、実は三週間ほど前にも足を怪我していたことがあるのです。
その時にもやはりベッドから落ちたのだと説明されましたが、さすがに二度となるとわたしもよからぬことを考えてしまいます。
そこで職員さんがいない隙を見計らって母に問いかけてみました。
すると母は職員さんに乱暴されたのだと言って泣き始めました。
それを見た職員さんは大慌てでやってきて「何言ってるの、上本さんが暴れて勝手に落ちたんでしょ」と母をたしなめました。
母は軽度の認知症なので母の言っていることが事実なのか、それとも職員さんの言っていることが事実なのか、わたしには判断できません。
しかし、もし仮に母が乱暴されているのだとしたらわたしは絶対に許せません。
そこで身勝手なお願いなのですが、調査料として百万円プラスして二百万円お支払いいたしますので母の身に何が起こっているか調べてもらえないでしょうか。
そしてもし母の言っていることが事実だった場合は、母に乱暴をした人間を呪い殺していただきたいです。
何もなかった場合でもお金は返さなくて構いませんのでどうか良いお返事をお待ちしております。]
「……だそうだ」
「もし本当やったらめっちゃ悪人やんっ。絶対殺したろうなっ」
「上本さんにはもうすでに職員さんの名前も血液型も調べてもらってあるから、あとは俺が上本さんの母親を千里眼で見るだけだ」
「そんで介護施設の職員さんが犯人やったらうちが殺せばええんやな?」
「まあそういうことだ。と言っても、お前が俺のMP吸い取ったせいで俺はあと一回しか千里眼は使えないんだけどな」
千里眼の呪文の効力は三時間。
今が午前十時だから午後一時までが勝負ってわけだ。
「あははぁ~、じゃあヤマトお兄ちゃん、頑張ってなぁ」
そう言うとメアリはソファの上にごろんと横になり、無防備な寝顔をさらすのだった。
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