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第104話 風丸
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「なんだよ、これっ……!」
脅迫文には俺が殺人者だとバレているような内容が含まれていた。
「くそっ、誰だ一体っ」
脅迫文が書かれたメモ用紙の裏面には地図のようなものが描かれている。
おそらくそこに清水さん母娘と二人を誘拐した犯人がいるに違いない。
くっ……俺が危惧していたことが現実になってしまった。
俺と親交のある者はいずれ誰かに狙われるのではないか。
そんな漠然とした不安はあったが……手を打っておかなかった俺のミスだ。
「なんとしても助けないとっ!」
俺はドアを開け放つと着の身着のままアパートを飛び出した。
◇ ◇ ◇
メモに指示された場所は工場が立ち並ぶ区画の外れにある廃倉庫だった。
俺は呪文を使うなという指示通り、呪文なしで廃倉庫の中へと足を踏み入れる。
ブーンッ。
俺が廃倉庫に入った瞬間、中の明かりが一斉についた。
照明のまぶしさに目を細めつつ中を見渡すと、
「ヤマトくんっ!」
「鬼束さんっ!」
清水さんと美紗ちゃんが檻の中に二人一緒に閉じ込められているのが目に入ってくる。
「清水さん、美紗ちゃんっ!」
「おっと、それ以上動くなっ」
俺が足を踏み出そうとした時男の声が廃倉庫内に響き渡った。
「誰なんだっ! どこにいる、出てこいっ!」
俺は辺りを見回しながら声を上げる。
すると、
「ここだ」
二人が捕らわれている檻の陰から男が姿を見せた。
背は高いが細身の優男だった。
「お前は誰だっ? なんで二人を人質になんてしたんだっ!」
声をぶつけると、
「ふっ。ちゃんと説明してやるからそう慌てるなよ」
男は不敵に笑う。
「オレは風丸。あーもちろん偽名だぜ。殺人者相手に本名を名乗るほど馬鹿じゃないからな」
風丸と名乗った男は俺と距離を取って立ち止まった。
「ちなみにオレも殺人者だ。レベルは多分あんたよりだいぶ高いはずだ」
「だったらなんで人質なんか、卑怯だろっ!」
「おいおい、風太郎相手に二対一で戦ってたくせに卑怯って言葉はないんじゃないか」
「風太郎? 誰だそれはっ?」
そんな奴、相手にした覚えはないぞ。
大体俺は基本一人で行動してきたんだからな。
「少年と一緒に大学生の男とやり合っただろ。そいつが風太郎だ。」
「大学生の男? ……あっ」
そういえばあきらと一緒に東京の大学に行った時、戦いを挑んできた男がいた。
あいつが風太郎か……。
「思い出したようだな」
「ちょっと待て、あれは俺じゃなくてあきらがやったんだ。それに攻撃を仕掛けてきたのは向こうの方からだぞ」
「あきらっていうのか、あの少年」
得心したかのようにうなずく風丸。
どうやらあきらのことは初耳のようだ。
「オレは風太郎と【風使い】ってチームを組んでたんだ。それなのによくも殺してくれたな。結構いい奴だったんだぜ」
「だから俺が殺したんじゃないっ」
「あきらって奴は居場所を転々としてるみたいでなかなかつかまらなくてな、それに比べてあんたはみつけやすかったぜ」
風丸は俺の言葉を無視して話を進める。
「オレは攻撃呪文は一つしか覚えてないんだがその代わりに索敵系の呪文はかなりマスターしているんでね、こうしてからめ手であんたを誘い出したってわけだ。わかったか?」
話好きなのかぺらぺらと勝手に喋ってくれるのはありがたいが、人質を取られている以上むやみやたらに動けない。
仲間がまだほかにいないとも限らないしうかつには手出しできない。
こんな時読心呪文があれば相手の考えていることがわかるのだが……。
「さてと、あんたの知りたいことには大体答えてやったぜ。じゃあそろそろ死んでくれっ」
風丸は手を水平に動かすと「チタイマカ!」と声を発した。
その刹那、半透明の三日月型の刃のようなものが風丸の手から発射された。
「ぐあぁっ……!」
凝縮された風の刃が俺の左腕を切り落とす。
「鬼束さんっ!?」
「ヤマトくんっ!」
「ぬあぁぁっ……!」
俺は左腕を押さえながらうめき声を上げた。
その間にもどぼどぼと左腕の切り口から血が流れ落ちていく。
「ちっ、少しずれたか……オレの鎌鼬の呪文は殺傷能力は高いんだが、狙ったところに上手く飛ばせないのが玉にキズなんだ」
「ぐ、くっ……!」
まいった……この風丸とかいう奴、かなり強いぞ。
その上人質までとられてちゃ勝ち目がない。
いちかばちか反撃に出るか……いや、駄目だ。清水さんと美紗ちゃんのことを第一に考えると危険は犯せない。
……万事休すか。
俺は自分の人生の終わりを悟った。
そして目を閉じた。
「諦めたようだな。これで終わりだっ。チタイマカ!」
せめて清水さんたちだけでも助かって……。
「鬼束さんっ!!」
「ヤマトくんっ!!」
ザシュッ!
その瞬間、胴体から風丸の頭部がはね飛ばされた。
脅迫文には俺が殺人者だとバレているような内容が含まれていた。
「くそっ、誰だ一体っ」
脅迫文が書かれたメモ用紙の裏面には地図のようなものが描かれている。
おそらくそこに清水さん母娘と二人を誘拐した犯人がいるに違いない。
くっ……俺が危惧していたことが現実になってしまった。
俺と親交のある者はいずれ誰かに狙われるのではないか。
そんな漠然とした不安はあったが……手を打っておかなかった俺のミスだ。
「なんとしても助けないとっ!」
俺はドアを開け放つと着の身着のままアパートを飛び出した。
◇ ◇ ◇
メモに指示された場所は工場が立ち並ぶ区画の外れにある廃倉庫だった。
俺は呪文を使うなという指示通り、呪文なしで廃倉庫の中へと足を踏み入れる。
ブーンッ。
俺が廃倉庫に入った瞬間、中の明かりが一斉についた。
照明のまぶしさに目を細めつつ中を見渡すと、
「ヤマトくんっ!」
「鬼束さんっ!」
清水さんと美紗ちゃんが檻の中に二人一緒に閉じ込められているのが目に入ってくる。
「清水さん、美紗ちゃんっ!」
「おっと、それ以上動くなっ」
俺が足を踏み出そうとした時男の声が廃倉庫内に響き渡った。
「誰なんだっ! どこにいる、出てこいっ!」
俺は辺りを見回しながら声を上げる。
すると、
「ここだ」
二人が捕らわれている檻の陰から男が姿を見せた。
背は高いが細身の優男だった。
「お前は誰だっ? なんで二人を人質になんてしたんだっ!」
声をぶつけると、
「ふっ。ちゃんと説明してやるからそう慌てるなよ」
男は不敵に笑う。
「オレは風丸。あーもちろん偽名だぜ。殺人者相手に本名を名乗るほど馬鹿じゃないからな」
風丸と名乗った男は俺と距離を取って立ち止まった。
「ちなみにオレも殺人者だ。レベルは多分あんたよりだいぶ高いはずだ」
「だったらなんで人質なんか、卑怯だろっ!」
「おいおい、風太郎相手に二対一で戦ってたくせに卑怯って言葉はないんじゃないか」
「風太郎? 誰だそれはっ?」
そんな奴、相手にした覚えはないぞ。
大体俺は基本一人で行動してきたんだからな。
「少年と一緒に大学生の男とやり合っただろ。そいつが風太郎だ。」
「大学生の男? ……あっ」
そういえばあきらと一緒に東京の大学に行った時、戦いを挑んできた男がいた。
あいつが風太郎か……。
「思い出したようだな」
「ちょっと待て、あれは俺じゃなくてあきらがやったんだ。それに攻撃を仕掛けてきたのは向こうの方からだぞ」
「あきらっていうのか、あの少年」
得心したかのようにうなずく風丸。
どうやらあきらのことは初耳のようだ。
「オレは風太郎と【風使い】ってチームを組んでたんだ。それなのによくも殺してくれたな。結構いい奴だったんだぜ」
「だから俺が殺したんじゃないっ」
「あきらって奴は居場所を転々としてるみたいでなかなかつかまらなくてな、それに比べてあんたはみつけやすかったぜ」
風丸は俺の言葉を無視して話を進める。
「オレは攻撃呪文は一つしか覚えてないんだがその代わりに索敵系の呪文はかなりマスターしているんでね、こうしてからめ手であんたを誘い出したってわけだ。わかったか?」
話好きなのかぺらぺらと勝手に喋ってくれるのはありがたいが、人質を取られている以上むやみやたらに動けない。
仲間がまだほかにいないとも限らないしうかつには手出しできない。
こんな時読心呪文があれば相手の考えていることがわかるのだが……。
「さてと、あんたの知りたいことには大体答えてやったぜ。じゃあそろそろ死んでくれっ」
風丸は手を水平に動かすと「チタイマカ!」と声を発した。
その刹那、半透明の三日月型の刃のようなものが風丸の手から発射された。
「ぐあぁっ……!」
凝縮された風の刃が俺の左腕を切り落とす。
「鬼束さんっ!?」
「ヤマトくんっ!」
「ぬあぁぁっ……!」
俺は左腕を押さえながらうめき声を上げた。
その間にもどぼどぼと左腕の切り口から血が流れ落ちていく。
「ちっ、少しずれたか……オレの鎌鼬の呪文は殺傷能力は高いんだが、狙ったところに上手く飛ばせないのが玉にキズなんだ」
「ぐ、くっ……!」
まいった……この風丸とかいう奴、かなり強いぞ。
その上人質までとられてちゃ勝ち目がない。
いちかばちか反撃に出るか……いや、駄目だ。清水さんと美紗ちゃんのことを第一に考えると危険は犯せない。
……万事休すか。
俺は自分の人生の終わりを悟った。
そして目を閉じた。
「諦めたようだな。これで終わりだっ。チタイマカ!」
せめて清水さんたちだけでも助かって……。
「鬼束さんっ!!」
「ヤマトくんっ!!」
ザシュッ!
その瞬間、胴体から風丸の頭部がはね飛ばされた。
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