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第10話 風切りのバンダナ
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「はぁ、倒した……」
「やりましたねマツイさーん」
「わんわんっ」
ククリとポチが近寄ってくる。
「ああ……俺の十万円がぱぁだけどな」
名残惜しい気持ちを隠すことなく地面に散らばった魔石の破片を見下ろした。
「うふふっ、それはその宝箱を開けてみないとわかりませんよ」
「えっ、宝箱?」
ククリの視線の先を目で追うとそこに宝箱が出現した。
「えっなんで……?」
「フロアボスを倒すと必ず宝箱が現れるんですよ。それにほらっ」
ククリが周りを見渡す。
「おお」
さっきまで塞がっていた通路が開いた。
それだけでなくゴゴゴゴゴ……と下へと続く階段も現れた。
「サプライズはまだありますよっ」
ククリは笑顔で続ける。
「ヒューマノイドスライムを倒したことでマツイさんはレベルが1から7に上がりました。生命力も魔力も攻撃力だって上がっているんですよっ」
「生命力? 魔力?」
聞きなじみのない単語が次から次へと出てくる。
「生命力はマツイさんの命そのものみたいなものです。0になれば死にます」
死ぬという言葉をあっさりと言ってくれる。
「魔力は魔法を使う精神エネルギーです。もちろん0になれば魔法は使えません」
「え、魔法なんて使えるの? 俺」
「攻撃力はその名の通り力の強さです。マツイさんはレベルが上がる前は7でしたけど今のマツイさんの攻撃力は13です。人間の成人男性の攻撃力の平均は大体10くらいなのでだいぶ上がりましたね。あとは……」
俺の質問を無視して話し続けるククリ。
「ちょ、ちょっと待った。一度にそんなたくさん言われても覚えられないって」
「むぅ……そうですか」
口をとがらせ不満顔を見せる。
「なあククリ、俺魔法使えるの?」
うきうきしながら訊く。
魔法って……なんかいいよね。
「使えますけど今はレベルが上がったばかりで魔力が0ですから使えませんよ」
「なんだ、そうなのか……」
ちょっと残念。
「魔力は寝るか時間経過で回復しますから明日また来てくだされば魔法を使えるようになっていますよ」
ククリは言うが、
「いや、俺はもうここには来ないよ。俺はアニメの主人公みたいに強くもないし勇気もないからさ。さっきだって魔石がなかったら死んでいたかもしれないし」
魔石が一個十万円で売れるというのは魅力的だけどな。
「そうですか、わかりました」
「悪いな」
「いいんです……それよりあの宝箱はマツイさんのものですからどうぞ中のものを持って帰ってください」
「ああ、ありがとうな」
俺はククリに促され宝箱の前に立った。
魔眼の効果で宝箱の中を透視する。
「なんだろ、これ?」
罠じゃないみたいだが……布切れ?
俺は意を決して宝箱を開けた。
とそこにはオレンジ色の布が入っていた。
取り出して広げてみる。
「? ハンカチか?」
「いえ、それは風切りのバンダナというアイテムです」
ククリが言う。
「装着すると防御力が2、素早さが5アップします……ってそれは腰に巻くものではないですよマツイさんっ。頭です頭っ」
「わかってるけどずっと全裸はさすがに恥ずかしいんだよ」
ニートにだって羞恥心はあるんだからな。
俺はバンダナを腰に巻き付けると体の横で結んだ。
「これでよしっと」
「まあマツイさんがそれでいいならいいですけど……」
「じゃあ俺ポチと帰るから。初めの鏡のところに行けば戻れるんだよな」
「はい、そうです」
幾分元気のない返事をするとククリは先頭切って道案内を買って出てくれた。
「やりましたねマツイさーん」
「わんわんっ」
ククリとポチが近寄ってくる。
「ああ……俺の十万円がぱぁだけどな」
名残惜しい気持ちを隠すことなく地面に散らばった魔石の破片を見下ろした。
「うふふっ、それはその宝箱を開けてみないとわかりませんよ」
「えっ、宝箱?」
ククリの視線の先を目で追うとそこに宝箱が出現した。
「えっなんで……?」
「フロアボスを倒すと必ず宝箱が現れるんですよ。それにほらっ」
ククリが周りを見渡す。
「おお」
さっきまで塞がっていた通路が開いた。
それだけでなくゴゴゴゴゴ……と下へと続く階段も現れた。
「サプライズはまだありますよっ」
ククリは笑顔で続ける。
「ヒューマノイドスライムを倒したことでマツイさんはレベルが1から7に上がりました。生命力も魔力も攻撃力だって上がっているんですよっ」
「生命力? 魔力?」
聞きなじみのない単語が次から次へと出てくる。
「生命力はマツイさんの命そのものみたいなものです。0になれば死にます」
死ぬという言葉をあっさりと言ってくれる。
「魔力は魔法を使う精神エネルギーです。もちろん0になれば魔法は使えません」
「え、魔法なんて使えるの? 俺」
「攻撃力はその名の通り力の強さです。マツイさんはレベルが上がる前は7でしたけど今のマツイさんの攻撃力は13です。人間の成人男性の攻撃力の平均は大体10くらいなのでだいぶ上がりましたね。あとは……」
俺の質問を無視して話し続けるククリ。
「ちょ、ちょっと待った。一度にそんなたくさん言われても覚えられないって」
「むぅ……そうですか」
口をとがらせ不満顔を見せる。
「なあククリ、俺魔法使えるの?」
うきうきしながら訊く。
魔法って……なんかいいよね。
「使えますけど今はレベルが上がったばかりで魔力が0ですから使えませんよ」
「なんだ、そうなのか……」
ちょっと残念。
「魔力は寝るか時間経過で回復しますから明日また来てくだされば魔法を使えるようになっていますよ」
ククリは言うが、
「いや、俺はもうここには来ないよ。俺はアニメの主人公みたいに強くもないし勇気もないからさ。さっきだって魔石がなかったら死んでいたかもしれないし」
魔石が一個十万円で売れるというのは魅力的だけどな。
「そうですか、わかりました」
「悪いな」
「いいんです……それよりあの宝箱はマツイさんのものですからどうぞ中のものを持って帰ってください」
「ああ、ありがとうな」
俺はククリに促され宝箱の前に立った。
魔眼の効果で宝箱の中を透視する。
「なんだろ、これ?」
罠じゃないみたいだが……布切れ?
俺は意を決して宝箱を開けた。
とそこにはオレンジ色の布が入っていた。
取り出して広げてみる。
「? ハンカチか?」
「いえ、それは風切りのバンダナというアイテムです」
ククリが言う。
「装着すると防御力が2、素早さが5アップします……ってそれは腰に巻くものではないですよマツイさんっ。頭です頭っ」
「わかってるけどずっと全裸はさすがに恥ずかしいんだよ」
ニートにだって羞恥心はあるんだからな。
俺はバンダナを腰に巻き付けると体の横で結んだ。
「これでよしっと」
「まあマツイさんがそれでいいならいいですけど……」
「じゃあ俺ポチと帰るから。初めの鏡のところに行けば戻れるんだよな」
「はい、そうです」
幾分元気のない返事をするとククリは先頭切って道案内を買って出てくれた。
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