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第11話 店
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写し鏡の門に向かう道中スライムが三匹同時に襲い掛かってきたがレベルの上がった俺の敵ではなかった。
一匹を鷲掴みにして潰すとそのままもう一匹を殴り飛ばした。
さらにもう一匹を踏みつけ消滅させた。
レベル7は伊達じゃない。
確実に強くなっている。
「おっ、この道は見覚えがあるぞ」
確かここを左に曲がれば鏡のある部屋に通じている小さい通路があるはずだ。
一応透視をして確認する。
「あー、やっぱりこの道で合ってる……ってあれは……?」
よく見ると小さい通路の前辺りに熊そっくりのモンスターが鬼のような形相で仁王立ちしている。
「マツイさん、どうしました?」
ククリが訊いてくるので、
「いや、この先にモンスターが立っているんだけど……見たことないやつなんだ」
そう返した。
来るときに通った時はあんなモンスターは間違いなくいなかったのだが。
「え? そんなことはないと思いますけど……この地下一階層はフロアボス以外はスライムしか出てこないはずですから」
「じゃああの熊みたいなモンスターはなんだ?」
「熊みたい? あ~、もしかしてそのモンスターの足元にアイテムが沢山置いてありませんか?」
「アイテム?」
俺は透視をしたままモンスターの足元に目を向けた。
そこには服やら剣やら兜やら沢山のアイテムがずらりと並んでいる。
「あー、あるぞ。いっぱいある」
「やっぱりっ。そのモンスターがお店屋さんですよっ」
ククリは声を弾ませた。
「え、なんだって?」
「心配いりませんから早く行きましょう」
そう言って俺の手を引っ張る。
俺はククリのなすがまま部屋の中へと足を踏み入れた。
すると、
『いらっしゃい』
俺をぎろりと見て熊に似たモンスターは口を開いた。
「うわ、モンスターが喋ったぞっ」
「マツイさん落ち着いてください。この方はトウキョウダンジョンの中で移動販売を行っているハニーベアのベアさんです」
ククリは手をモンスターに向けるとそう俺に優しく説明する。
「……へ?」
なんだって?
「ベアさん久しぶりですね」
『おうククリ。相変わらず小さいなお前は』
「やだな~、ベアさんが大きいんですよ」
ククリはいかつい顔のモンスターと仲良さそうに会話している。
俺はちょっとだけ疎外感を覚えた。
『ところでそいつが新しい探索者か?』
「はいそうですよ。ポチさんとマツイさんです」
「ど、どうも」
モンスター相手に俺は一応会釈をしながら近付く。
『おれはベア、このダンジョンでアイテムを拾うかたわら店をやってるもんだ。そろそろ他のダンジョンに移動しようかと思ってたんだがあんたがいるならもうちょっとここにいることにするぜ。よろしくなポチ』
「俺はマツイです。ポチはこっち」
「わんっ」
『おお、すまんすまん。よろしくなマツイ』
「え、いや……」
ベアさんは俺の手を無理矢理握りしめた。
予想以上に力強い握手にもう少しで悲鳴を上げるところだった。
「ベアさん、悪いですけど俺もうこのダンジョンに来るつもりは――」
『おっ! それ風切りのバンダナじゃねぇかっ』
俺の言葉を遮りベアさんが口にする。
「はあそうですけど……」
『お前なんで腰なんかに巻いてるんだ? それは頭に巻くものだぜっ』
「私もそう言ったんですけどね、マツイさん裸でいるのが恥ずかしいみたいなんですよ」
『なんだそりゃ。おれもそいつも裸だけど恥ずかしくもなんともないぜ、なあポチ?』
「わんっ」
ベアさんの言うことをわかっているのかいないのか鳴き声で返事をするポチ。
そりゃあお前たちは服なんて必要ないだろうよ。
一匹を鷲掴みにして潰すとそのままもう一匹を殴り飛ばした。
さらにもう一匹を踏みつけ消滅させた。
レベル7は伊達じゃない。
確実に強くなっている。
「おっ、この道は見覚えがあるぞ」
確かここを左に曲がれば鏡のある部屋に通じている小さい通路があるはずだ。
一応透視をして確認する。
「あー、やっぱりこの道で合ってる……ってあれは……?」
よく見ると小さい通路の前辺りに熊そっくりのモンスターが鬼のような形相で仁王立ちしている。
「マツイさん、どうしました?」
ククリが訊いてくるので、
「いや、この先にモンスターが立っているんだけど……見たことないやつなんだ」
そう返した。
来るときに通った時はあんなモンスターは間違いなくいなかったのだが。
「え? そんなことはないと思いますけど……この地下一階層はフロアボス以外はスライムしか出てこないはずですから」
「じゃああの熊みたいなモンスターはなんだ?」
「熊みたい? あ~、もしかしてそのモンスターの足元にアイテムが沢山置いてありませんか?」
「アイテム?」
俺は透視をしたままモンスターの足元に目を向けた。
そこには服やら剣やら兜やら沢山のアイテムがずらりと並んでいる。
「あー、あるぞ。いっぱいある」
「やっぱりっ。そのモンスターがお店屋さんですよっ」
ククリは声を弾ませた。
「え、なんだって?」
「心配いりませんから早く行きましょう」
そう言って俺の手を引っ張る。
俺はククリのなすがまま部屋の中へと足を踏み入れた。
すると、
『いらっしゃい』
俺をぎろりと見て熊に似たモンスターは口を開いた。
「うわ、モンスターが喋ったぞっ」
「マツイさん落ち着いてください。この方はトウキョウダンジョンの中で移動販売を行っているハニーベアのベアさんです」
ククリは手をモンスターに向けるとそう俺に優しく説明する。
「……へ?」
なんだって?
「ベアさん久しぶりですね」
『おうククリ。相変わらず小さいなお前は』
「やだな~、ベアさんが大きいんですよ」
ククリはいかつい顔のモンスターと仲良さそうに会話している。
俺はちょっとだけ疎外感を覚えた。
『ところでそいつが新しい探索者か?』
「はいそうですよ。ポチさんとマツイさんです」
「ど、どうも」
モンスター相手に俺は一応会釈をしながら近付く。
『おれはベア、このダンジョンでアイテムを拾うかたわら店をやってるもんだ。そろそろ他のダンジョンに移動しようかと思ってたんだがあんたがいるならもうちょっとここにいることにするぜ。よろしくなポチ』
「俺はマツイです。ポチはこっち」
「わんっ」
『おお、すまんすまん。よろしくなマツイ』
「え、いや……」
ベアさんは俺の手を無理矢理握りしめた。
予想以上に力強い握手にもう少しで悲鳴を上げるところだった。
「ベアさん、悪いですけど俺もうこのダンジョンに来るつもりは――」
『おっ! それ風切りのバンダナじゃねぇかっ』
俺の言葉を遮りベアさんが口にする。
「はあそうですけど……」
『お前なんで腰なんかに巻いてるんだ? それは頭に巻くものだぜっ』
「私もそう言ったんですけどね、マツイさん裸でいるのが恥ずかしいみたいなんですよ」
『なんだそりゃ。おれもそいつも裸だけど恥ずかしくもなんともないぜ、なあポチ?』
「わんっ」
ベアさんの言うことをわかっているのかいないのか鳴き声で返事をするポチ。
そりゃあお前たちは服なんて必要ないだろうよ。
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