【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中

文字の大きさ
42 / 109

第42話 広本という男

しおりを挟む
広本という人間を探すべく地下牢から逃げ出した俺だったが、
「あ、貴様っ。こんなところで何をしているっ!」
俺を捕らえた三人組の一人である背の高い女子学生と鉢合わせてしまう。

「ヤバっ」
「おい、みんな来てくれっ! 脱走者だっ!」

大声を上げて仲間を呼ぶ背の高い女子学生。
それを受けて近くにいた女子学生たちが一斉に集まってきた。
あっという間に五人の女子学生たちに囲まれてしまう。

「さあ、もう逃げ場はないぞ。観念しろっ!」
女子学生たちは手を広げ、お互いにその手を掴んで包囲網を完成させた。

「それともあたしたちと戦ってみるかっ? だがあたしたちは全員レベル70以上だからな、貴様のようなチビに勝ち目などないがなっ!」
「こんな奴、殺っちゃいましょうよっ」
「駄目よ、広本様におうかがいを立てなくちゃ」
「その広本様に反旗を翻してるんだから殺しちゃってもいいはずじゃん」
女子学生たちは俺を見据えながら思い思いの言葉を口にする。
それにしても言いたい放題言ってくれるな、まったく。

まさか女子学生たちを殴り飛ばすわけにはいかないので、俺は持ち前の敏捷性でもって瞬時に移動してみせた。

「「「「「っ!?」」」」」」

目の前から一瞬にして消えたことで女子学生たちは、
「ど、どこ行ったのっ!?」
「上かっ?」
などと俺を完全に見失っている。
実際は女子学生たちの腕の下を高速でくぐり抜け背後に回っただけだが、彼女たちにはそれを目で追うことは出来なかったようだ。

俺はそのままの勢いで今いる建物の最上階へと向かった。
俺が閉じ込められていた牢屋は村の中央付近の一番大きな建物の地下にあった。
普通に考えれば村で一番偉い奴は一番大きな建物に住んでいるはずだ。
そう考え、俺は階段を二段飛ばしで駆け上がり最上階にたどり着いた。

するとそこには大きな扉があった。
そして中からは男と女の声が聞こえてくる。
妙になまめかしい声から察するにどうやら中では情事が行われているようだった。

「う~ん……どうするか」

恥ずかしい話だが、今まで十九年間生きてきてそういう経験が皆無な俺にとっては、目の前の扉を開ける勇気がなかなか出ない。
しかし早くしないとさっき撒いた女子学生たちが、俺が最上階に向かったと気付いて上がってきてしまうかもしれない。

「あ~~もうっ、どうにでもなれっ」

俺は大きな扉を勢いよく開け放った。
バンッと大きな音がしたことで、こちらを振り返る男女。
二人して抱き合っていたが、服は着ていたので俺はその姿を見て内心ほっとする。

「だ、誰だっ!?」
男の方が慌てた様子で声を飛ばしてきた。
中肉中背で顔はお世辞にもカッコイイとは言えない感じの冴えない男子学生だった。
隣にいた女子学生はベッドの後ろにすっと隠れ気配を消す。

「お前が広本って奴か?」
「き、貴様はあれかっ。今日女どもが捕まえてきたっていう男かっ!?」
「やっぱりお前が広本なんだな。お前、アイテムか呪文で女子たちを洗脳してるんだろ。それを今すぐ解くんだ」
「ふ、ふざけるなっ! せっかくのハーレムをみすみす捨てるわけないだろっ!」
広本は唾を飛ばしながら反抗的な態度を見せた。

「この<チャームの指輪>は絶対に渡さないぞっ!」
そう言って広本は右手を高々と上げる。
その右手の中指には、広本には不釣り合いなほど大きな宝石のついたきれいな指輪があった。
きっとあの指輪が女子学生たちを洗脳し、操っているアイテムに違いない。

「お前、恥ずかしくないのか? アイテムなんかに頼って」
「うるさいうるさいっ! 貴様のようなイケメンにはおれの気持ちなんてわからないんだっ!」
赤子のように手足をばたつかせてわめきたてる広本。
なんだこいつは。

……というか。
「俺がイケメン? どこかだ? お前、目悪いのか? 自分で言うのもなんだが俺はこれまで彼女がいたことなんて一度もないんだぞ」
こんなこと言わせないでくれ。

「おれに比べれば貴様だって充分イケメンだっ! それくらいおれはブサイクなんだっ! アイテムでも使わなきゃおれは一生一人なんだっ! うわぁ~~ん!」
広本は大声で叫び声を上げ、しまいには泣き出す始末。

……マジで、なんだこいつ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜

大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!? どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…

処理中です...