【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中

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第43話 チャームの指輪

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「おい、落ち着け。何もお前をどうこうしようってわけじゃない。ただその指輪を渡してくれればいいだけだ」
泣きじゃくる広本に俺は努めて冷静に話しかける。

「ぅえっぐ、ぅえっぐ、うわぁ~ん!」
「おい、泣くな。よく聞け。お前のやってることは犯罪すれすれだぞ、多分。でもここで指輪を俺に渡せばお前がしてたことは誰にも言わないでおいてやる。なっ、それならいいだろっ?」
「……ぅぅ……ぅえっぐ、ぅえっぐ」
「お前の気持ちもわからなくはないよ。俺だって友達も彼女もいないんだから。でもやっちゃいけないことはあるだろ、やっぱり。だからさ、その指輪、俺に渡してくれ」

我ながら上手く話すことが出来たと思った矢先、
「…………っぅぅ、い、い、いやだっ!」
鼻水を垂らしつつ、唾をまき散らしながら広本が吠えた。
なんて奴だ。

俺の説得などまったくの無意味だったようで、広本は右手を天高く上げると、
「出てこい、ダイヤモンドドラゴンっ!」
と天井に向かって大声を発した。
その直後だった。

『グオオオォォォーーン!!』

モンスターの咆哮が聞こえたと思ったら、天井を突き破って一体のドラゴンが姿を見せた。

「なっ!?」
「ぎゃはははっ、み、見たかっ! おれはモンスターだってメスなら操ることが出来るんだっ! こいつは強いぞっ、なんてったってこいつの皮膚はダイヤモンド並みの硬さだからなっ! 泣いて命乞いしたって、ゆ、許してやらないんだからなぁっ!」
広本は自信満々に言い放つ。

体長五メートル近いドラゴン。
しかも皮膚はダイヤモンドで出来ているようだ。
そんなモンスターが今まさに俺に襲いかかってこようとしていた。

「お前、いろいろとヤバい奴だな」
「今さら何を言ったって駄目なんだからなっ! いけぇっ、ダイヤモンドドラゴン! そいつをメチャクチャにしちゃえぇーっ!」
広本の掛け声で、
『グオオオォォォーーン!!』
ダイヤモンドドラゴンが尻尾をひと振り、強烈な一撃が俺をとらえ、俺は後方の壁に頭から突っ込んだ。

「ぎゃはははっ、やったっ! やったぞっ! うるさい奴を倒してやったぞ! おれはやっぱり強いんだっ! この世界でならおれは王様にだってなれるんだっ! ぎゃはははははは――」
「高笑いしてるとこ悪いけど、俺はやられてなんかないぞ」
「うへぇっっ!??」
俺が無傷で立ち上がったことに驚愕する広本。
驚きのあまり奇声を上げる。

「な、な、な、あん、あな、なんでっ……!? な、なんで、生きてるんだぁっ……!」
「なんでって言われても」
「ダ、ダ、ダイヤモンドドラゴンは、お、おれが出会った中で、さ、最強のモンスターなんだぞっ……!」
わなわなと震えながら広本は声を大にする。

「こ、こんなはずはないんだっ……も、もう一回だっ! こ、今度は全力でいくんだ、ダイヤモンドドラゴンっ!!」
と広本が言い終わる直前に俺はダイヤモンドドラゴンの正面に跳び上がると、無言でダイヤモンドドラゴンを殴り飛ばした。
建物の壁を破壊して遠くの方へと吹っ飛んでいくダイヤモンドドラゴン。
そして地面に落下したようで、すさまじいほどの地響きが辺りを襲った。

「んが、んが、んが、んが、んががはっ…………!!?」
幽霊でも見たかのように顔が青ざめ、今にも吐き出しそうな広本。

俺はそんな広本に近付いていき、
「これは渡してもらうぞ。いいな」
右手の中指にはめていた指輪を引っ張って外すと、それを手の中でぎゅっと握り潰した。

粉々になった指輪の残骸をぱらぱらと床に落とす。
それを見て広本は「……えへ、えっへへへ……」と壊れたおもちゃのように首をかしげ、ただ笑っていた。
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