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第45話 ストーカー?
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夕方頃、葉っぱを地面に敷き詰めてその上で仮眠をとっていると、足元でカサカサと小さな物音がした。
虫かそれとも小動物か、どちらにしても放っておけばいいか。
歩き通しで足が棒のようになっていた俺はいちいち起き上がって確認するのも面倒なので気にせず寝続ける。
するとそんな時、
「……うん。やはりすごいな、師匠は。今日一日だけで百キロは歩いただろうな。しかも襲い来るモンスターはすべて一撃で返り討ちにしていた。さすがボクの師匠だ。ついてきてよかった」
足元から今度は男性の声が聞こえてきた。
小さな声だったが辺りが静かだったのではっきりと聞き取れた。
俺はそっと目を開け足元を覗き込む。
と、そこには信じられないことに身長が十センチにも満たない男がいたのだった。
「うおっ!」
俺は思わず声を発し、その声で小さな男は俺に見られていたことに気付いて近くの茂みにさっと隠れる。
「な、なんだお前っ!? 人間かっ? ……まさかモンスターじゃないよな?」
「……」
「おーい、無視すんなよ。今そこに隠れただろ」
俺の言葉に観念したのか、
「……うーん、まいりました。このまま気付かれずに観察を続けようと思っていたのですが、いや、さすが師匠。ボクももっと精進しないと」
ひょこっと姿を見せたのはやはりどこからどう見ても小さな人間の男だった。
「お前誰だよ。観察ってなんだ? あ、昨日から感じていた視線はお前かっ?」
疲労と眠気から口調が少しだけ荒くなる。
「はい、ボクです。すみません、申し遅れました。ボクの名前は西崎五郎です。師匠と同じく神里大学の一年です。今後ともよろしくお願いします」
西崎と名乗った小さな男はそう言って深々と頭を下げた。
礼儀正しい様は好印象だが……。
「さっきから師匠ってなんだよ。なんで俺がお前の師匠なんだ? っていうかなんでそんなにちっちゃいんだ?」
「西崎です」
「……あー、なんで西崎はそんなに小さいんだ?」
早く会話を終わらせて休みたいので俺は素直に言い直す。
「ボクの呪文の効果です。ボクは縮小呪文が使えるんです。これを唱えるとその名の通り体が縮小します。その間ステータスも一気に減少するので使いどころを間違うと死に直結するんですけどね。あ、ちなみに効き目は一時間です」
「そこまでは聞いていない」
「そうですか、すみません」
縮小呪文か……初めて聞いたけど正直どうでもいい。
「それで、俺が師匠っていうのはどういうことなんだ?」
「実はボク、師匠がキラージャッカルから助けてくれた村にいたんです。憶えていませんか?」
「キラージャッカル?」
あー、みくちゃんの家族が住んでいた村のことか。
「悪い、憶えてない」
「ですよね。ボク、あまり存在感ないですから」
自虐めいたことを笑顔でさらりと言う西崎。
本気なのか冗談なのかよくわからない。
「で? なんで俺のことを師匠って呼ぶんだよ」
「それは無償で人助けをしていて尊敬に値する人だと思ったからです。さらにもっと言うと師匠を見て、師匠からいろんなことを学びたいと思ったからです。なので村からずっと師匠のあとをつけてきていました。もちろん気付かれないように小さくなってです」
笑顔を絶やさず西崎。
忠犬のような眼差しを俺に向けてくる。
「ずっとつけてたのか? 俺のことを」
「はい」
「じゃあ、女子学生が操られてた村で俺が地下牢に入れられてた時もか?」
「はい。すぐそばで見ていました」
悪びれもせず西崎は大きくうなずいた。
「西崎、お前ってちょっとおかしな奴だな」
「そうですか? すみません」
ストーカーってこういう真面目っぽい奴がなるのかも。
こうなってくると常に笑顔なのが逆に不気味だ。
「まあ、とにかくだ。もう俺についてくるな」
「駄目ですか?」
「ああ。俺は一人がいいんだ」
「そうですか……わかりました。では師匠の活躍を陰ながら応援しています。それでは失礼します」
そう言うなり西崎は立ち去ってしまった。
思いのほかあっさりと引き下がったことに拍子抜けしてしまうも、俺は疲労と眠気から深く考えるのはやめた。
そして今度こそ誰からの視線も感じることなく、俺はゆったりと夢の世界へ落ちていったのだった。
虫かそれとも小動物か、どちらにしても放っておけばいいか。
歩き通しで足が棒のようになっていた俺はいちいち起き上がって確認するのも面倒なので気にせず寝続ける。
するとそんな時、
「……うん。やはりすごいな、師匠は。今日一日だけで百キロは歩いただろうな。しかも襲い来るモンスターはすべて一撃で返り討ちにしていた。さすがボクの師匠だ。ついてきてよかった」
足元から今度は男性の声が聞こえてきた。
小さな声だったが辺りが静かだったのではっきりと聞き取れた。
俺はそっと目を開け足元を覗き込む。
と、そこには信じられないことに身長が十センチにも満たない男がいたのだった。
「うおっ!」
俺は思わず声を発し、その声で小さな男は俺に見られていたことに気付いて近くの茂みにさっと隠れる。
「な、なんだお前っ!? 人間かっ? ……まさかモンスターじゃないよな?」
「……」
「おーい、無視すんなよ。今そこに隠れただろ」
俺の言葉に観念したのか、
「……うーん、まいりました。このまま気付かれずに観察を続けようと思っていたのですが、いや、さすが師匠。ボクももっと精進しないと」
ひょこっと姿を見せたのはやはりどこからどう見ても小さな人間の男だった。
「お前誰だよ。観察ってなんだ? あ、昨日から感じていた視線はお前かっ?」
疲労と眠気から口調が少しだけ荒くなる。
「はい、ボクです。すみません、申し遅れました。ボクの名前は西崎五郎です。師匠と同じく神里大学の一年です。今後ともよろしくお願いします」
西崎と名乗った小さな男はそう言って深々と頭を下げた。
礼儀正しい様は好印象だが……。
「さっきから師匠ってなんだよ。なんで俺がお前の師匠なんだ? っていうかなんでそんなにちっちゃいんだ?」
「西崎です」
「……あー、なんで西崎はそんなに小さいんだ?」
早く会話を終わらせて休みたいので俺は素直に言い直す。
「ボクの呪文の効果です。ボクは縮小呪文が使えるんです。これを唱えるとその名の通り体が縮小します。その間ステータスも一気に減少するので使いどころを間違うと死に直結するんですけどね。あ、ちなみに効き目は一時間です」
「そこまでは聞いていない」
「そうですか、すみません」
縮小呪文か……初めて聞いたけど正直どうでもいい。
「それで、俺が師匠っていうのはどういうことなんだ?」
「実はボク、師匠がキラージャッカルから助けてくれた村にいたんです。憶えていませんか?」
「キラージャッカル?」
あー、みくちゃんの家族が住んでいた村のことか。
「悪い、憶えてない」
「ですよね。ボク、あまり存在感ないですから」
自虐めいたことを笑顔でさらりと言う西崎。
本気なのか冗談なのかよくわからない。
「で? なんで俺のことを師匠って呼ぶんだよ」
「それは無償で人助けをしていて尊敬に値する人だと思ったからです。さらにもっと言うと師匠を見て、師匠からいろんなことを学びたいと思ったからです。なので村からずっと師匠のあとをつけてきていました。もちろん気付かれないように小さくなってです」
笑顔を絶やさず西崎。
忠犬のような眼差しを俺に向けてくる。
「ずっとつけてたのか? 俺のことを」
「はい」
「じゃあ、女子学生が操られてた村で俺が地下牢に入れられてた時もか?」
「はい。すぐそばで見ていました」
悪びれもせず西崎は大きくうなずいた。
「西崎、お前ってちょっとおかしな奴だな」
「そうですか? すみません」
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こうなってくると常に笑顔なのが逆に不気味だ。
「まあ、とにかくだ。もう俺についてくるな」
「駄目ですか?」
「ああ。俺は一人がいいんだ」
「そうですか……わかりました。では師匠の活躍を陰ながら応援しています。それでは失礼します」
そう言うなり西崎は立ち去ってしまった。
思いのほかあっさりと引き下がったことに拍子抜けしてしまうも、俺は疲労と眠気から深く考えるのはやめた。
そして今度こそ誰からの視線も感じることなく、俺はゆったりと夢の世界へ落ちていったのだった。
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