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第8話 報酬
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ヘブンズドアを通り村はずれのギルドの裏手に戻った俺は肩に担いでいたヤリを地面に突き刺すと入り口に回った。
「あっ、スタンスさん! よかった~、わたしてっきりミノケンタウロスを倒しにクォーツ地区に行っちゃったのかと思ってましたよ~」
俺の顔を見て安堵の表情を浮かべるコロン。
小さい胸に手を当てる。
「ん? ミノケンタウロスなら倒してきたぞ……ほら」
俺はミノケンタウロスの角をカウンターに二本並べた。
「ふぇ?」
コロンはそれを見て間の抜けた声を出す。
「あのう、これなんですか?」
「ミノケンタウロスの角」
「……ふぇ?」
理解出来ないのかまたしてもおかしな声を発した。
「倒してきたから約束の金貨五枚くれるか? っておーい、聞いてるか?」
「……ふぇ?」
コロンは目をぱちくりさせて壊れた機械のようになってしまっている。
うーん、なんか気の毒に思えてきたぞ。
なので、
「俺の本名はクロード・ディスタンス、つい最近までは勇者パーティーの一員だったんだ」
素性を明かすことにした。
コロンにはこれからもギルドの依頼を受ける時世話になるからな。知っておいてもらっていた方が都合がいい。
「……クロード・ディスタンスさん……?」
「そう。都会ではそこそこ有名だったんだけど知らないか?」
すると、
「えっ!? も、もしかして大魔法導士のクロードさんですか!」
コロンは驚きの声を上げる。
「おお、そうそう。そのクロード」
俺は自分を指差してみせる。
よかった、知っててもらえて。
「わたし同い年だから気になっていたんですよ。え~、でもまさかクロードさんがこんなところにいるなんて……風の噂では勇者さんにパーティーを追い出されて故郷に帰ったとか聞いていましたけど帰ってなかったんですね」
「う、うんまあ、ここが気に入ったんだ」
「え、でもでもクォーツ地区ってここから行って戻ってくるだけでも丸一日はかかりますよ。いくらクロードさんでもそんなこと……どうなってるんですか?」
コロンは不思議そうに首をかしげる。
「行ったことのある場所なら一瞬で移動出来る魔法があるんだ。それを使ったんだよ」
「わあ、すごいです~。やっぱりスタンスさんはクロードさんなんですねっ」
拍手をしながら言った。
「そのことだけど、これからもクロードじゃなくてスタンスって呼んでくれると助かるんだが」
「なんでですか?」
「それは……」
勇者パーティーをクビになって故郷にどんな顔して帰っていいかわからないから自分のことを誰も知らないであろう辺境の地にせっかく住み着いたのに今さら素性バレしたくないから、とは言い出しにくい。
「あっ、わかりました! クロードって名前が嫌いなんですねっ」
全然わかってない。でもそれでいい。
「ああ、実はそうなんだ」
「ふふーん。そうだと思いました。クロードってちょっと変な名前ですもんね」
「え? そ、そうだな」
「えっへん。任せてください、わたしちゃんとスタンスさんって呼びますから」
コロンは小さい胸をぽんと叩いた。
「じゃあこれが約束の金貨五枚です」
依頼の報酬である金貨五枚をコロンから手渡される。
「おう、ありがとう」
「今回ランクAの依頼をこなしたことで多分これからこのギルドにもどんどん依頼が増えてくると思いますから時々顔を出してくださいね」
「わかったよ」
コロンに手を振り見送られると俺はギルドをあとにした。
地面に刺しておいたヤリを引き抜くとそれを持って武器屋へと向かう。
ミノケンタウロスから手に入れたヤリだが果たして売れるのだろうか。
「あっ、スタンスさん! よかった~、わたしてっきりミノケンタウロスを倒しにクォーツ地区に行っちゃったのかと思ってましたよ~」
俺の顔を見て安堵の表情を浮かべるコロン。
小さい胸に手を当てる。
「ん? ミノケンタウロスなら倒してきたぞ……ほら」
俺はミノケンタウロスの角をカウンターに二本並べた。
「ふぇ?」
コロンはそれを見て間の抜けた声を出す。
「あのう、これなんですか?」
「ミノケンタウロスの角」
「……ふぇ?」
理解出来ないのかまたしてもおかしな声を発した。
「倒してきたから約束の金貨五枚くれるか? っておーい、聞いてるか?」
「……ふぇ?」
コロンは目をぱちくりさせて壊れた機械のようになってしまっている。
うーん、なんか気の毒に思えてきたぞ。
なので、
「俺の本名はクロード・ディスタンス、つい最近までは勇者パーティーの一員だったんだ」
素性を明かすことにした。
コロンにはこれからもギルドの依頼を受ける時世話になるからな。知っておいてもらっていた方が都合がいい。
「……クロード・ディスタンスさん……?」
「そう。都会ではそこそこ有名だったんだけど知らないか?」
すると、
「えっ!? も、もしかして大魔法導士のクロードさんですか!」
コロンは驚きの声を上げる。
「おお、そうそう。そのクロード」
俺は自分を指差してみせる。
よかった、知っててもらえて。
「わたし同い年だから気になっていたんですよ。え~、でもまさかクロードさんがこんなところにいるなんて……風の噂では勇者さんにパーティーを追い出されて故郷に帰ったとか聞いていましたけど帰ってなかったんですね」
「う、うんまあ、ここが気に入ったんだ」
「え、でもでもクォーツ地区ってここから行って戻ってくるだけでも丸一日はかかりますよ。いくらクロードさんでもそんなこと……どうなってるんですか?」
コロンは不思議そうに首をかしげる。
「行ったことのある場所なら一瞬で移動出来る魔法があるんだ。それを使ったんだよ」
「わあ、すごいです~。やっぱりスタンスさんはクロードさんなんですねっ」
拍手をしながら言った。
「そのことだけど、これからもクロードじゃなくてスタンスって呼んでくれると助かるんだが」
「なんでですか?」
「それは……」
勇者パーティーをクビになって故郷にどんな顔して帰っていいかわからないから自分のことを誰も知らないであろう辺境の地にせっかく住み着いたのに今さら素性バレしたくないから、とは言い出しにくい。
「あっ、わかりました! クロードって名前が嫌いなんですねっ」
全然わかってない。でもそれでいい。
「ああ、実はそうなんだ」
「ふふーん。そうだと思いました。クロードってちょっと変な名前ですもんね」
「え? そ、そうだな」
「えっへん。任せてください、わたしちゃんとスタンスさんって呼びますから」
コロンは小さい胸をぽんと叩いた。
「じゃあこれが約束の金貨五枚です」
依頼の報酬である金貨五枚をコロンから手渡される。
「おう、ありがとう」
「今回ランクAの依頼をこなしたことで多分これからこのギルドにもどんどん依頼が増えてくると思いますから時々顔を出してくださいね」
「わかったよ」
コロンに手を振り見送られると俺はギルドをあとにした。
地面に刺しておいたヤリを引き抜くとそれを持って武器屋へと向かう。
ミノケンタウロスから手に入れたヤリだが果たして売れるのだろうか。
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