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第58話 差出人不明の手紙
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「おはようスタンス。今日もいい天気だねえ」
「おはようございます、デボラさん」
デボラさんの言う通り今日もよく晴れている。
「これあんたんとこに持っていこうと思ってたんだよ、つくしのおひたし。フローラに渡しといてくれ」
デボラさんは大皿を手渡してきた。
大皿には沢山の量のつくしのおひたしが乗せられている。
「いつもすみません。今日はフローラ仕事休みなので渡しておきます」
「はいよ。そうそう、最近王女さんたち見かけないけどどうしたんだい?」
もうジュエル王女とプルセラ王女が王女であることは村のみんなの間でも周知の事実である。
まあ俺がジュエル王女、プルセラ王女と呼んでいるのだから当然と言えば当然なのだが。
「あー、ジュエル王女は視察旅行とかなんとかでジョパン国王と外国に行っているみたいですよ。プルセラ王女は……ちょっと前のパーティーで俺がダンス中に失態をさらしてしまったので多分まだ怒ってるんだと思います」
「あら、何やらかしたのさ」
「いやあ、王族と貴族が集まるダンスパーティーの最中にちょっとこけてしまってその時プルセラ王女のドレスを脱がせてしまったというかなんというか……」
「ぷっ。あらあら、それは大失態だね~」
デボラさんはけらけら笑いながら俺の頬をつついてくる。
「笑い事じゃないですよ。マジで殺されるかと思ったんですから」
「あっはっは、いやごめんごめん。とにかくみんな元気そうで何よりだよ。じゃあまたねスタンス」
デボラさんはそう言うと手を振りながら去っていった。
俺はデボラさんにもらったつくしのおひたしを置いてくるため散歩を切り上げ一旦家へと戻る。
「ただいまー」
「おかえりなさーい。あれ? 早かったですね散歩」
「いや、さっきデボラさんに会ってこれもらったから置きに来たんだ」
俺は大皿をフローラに渡す。
「わあ、つくしのおひたしだ。すっごくおいしくて私大好きなんですよこれ。晩ご飯にいただきましょうね」
そう言って満面の笑みを浮かべるフローラ。
へーそうなのか。俺は食べたことないからわからないがフローラの反応を見る限り今晩の晩ご飯が楽しみだな。
「じゃあ俺は散歩の続きに行ってくるよ」
「あ、待ってください。スタンスさんが出かけた後すぐに封筒が届いたんですけど……これです」
フローラは一通の封筒を見せてきた。
俺はそれを受け取ると差出人を確認する、が……名前がない。
「差出人の名前が書いてないんです」
「そうみたいだな」
「どうしますか? 中見てみます?」
フローラが不安と興味の入り混じったような顔で訊いてくる。
「そうだな、ちょっと気味悪いけどこのまま捨てるのも気になるし」
俺は封筒の上の方を破くと中を覗いた。
中には折り曲げられた手紙が入っていた。
「なんて書いてあるんですか?」
フローラが顔を寄せる。
「えーっと……突然のお手紙すみません、わたしはクロード様の大ファンの二十歳の女性です。クロード様が大魔法導士になった頃からずっと大好きです。いきなりですがわたしは今ガシュウ国のプロメアという町の地下牢に無実の罪で幽閉されています。もし助けていただけたらどんなお礼でもして差し上げます。なのでどうかわたしを助けてください。追伸、わたしのスリーサイズは上から九十、六十、九十です」
「スタンスさん、顔にやけてますよ」
「えっそう? で、でもなんで俺の名前と居場所を知ってるんだろう」
ジョパン城で目立ちすぎたのが原因かな?
「ガシュウ国のプロメアか……」
行ったことないな。
「え、まさか行く気ですか?」
フローラが眉間にしわを寄せ俺を見上げてきた。
「え……いや助けを求めてるしこの人」
「とか言ってなんかいやらしいこと考えてません?」
「まさか。俺はただ純粋に本当に無実だったらかわいそうだなって思っただけだってば」
「……」
ぐぐーっと目を細めるフローラ。疑惑の眼差しを向けてくる。
「フローラだってこの人が本当に無実だったら助けてあげた方がいいと思うだろ?」
「それはそうですけど……」
「運よく俺はちょうど暇してるし空を飛んでいけばすぐ着くはずだからさ」
「不純な動機じゃないんですね」
「もちろん」
俺は大きくうなずいてみせた。
「……わかりました。その不幸な女性を助けてきてあげてください」
「ああ、ありがとうフローラ」
どうでもいいが俺はいつから外出するのにフローラの許可が必要になっているのだろう。
居候の弱みか……?
☆ ☆ ☆
「スカイハイ!」
唱えると、
「じゃあちょっと行ってくるよ」
「スタンスさん、気をつけて」
フローラの見送りを背に俺は名もなき村を飛び立ったのだった。
「おはようございます、デボラさん」
デボラさんの言う通り今日もよく晴れている。
「これあんたんとこに持っていこうと思ってたんだよ、つくしのおひたし。フローラに渡しといてくれ」
デボラさんは大皿を手渡してきた。
大皿には沢山の量のつくしのおひたしが乗せられている。
「いつもすみません。今日はフローラ仕事休みなので渡しておきます」
「はいよ。そうそう、最近王女さんたち見かけないけどどうしたんだい?」
もうジュエル王女とプルセラ王女が王女であることは村のみんなの間でも周知の事実である。
まあ俺がジュエル王女、プルセラ王女と呼んでいるのだから当然と言えば当然なのだが。
「あー、ジュエル王女は視察旅行とかなんとかでジョパン国王と外国に行っているみたいですよ。プルセラ王女は……ちょっと前のパーティーで俺がダンス中に失態をさらしてしまったので多分まだ怒ってるんだと思います」
「あら、何やらかしたのさ」
「いやあ、王族と貴族が集まるダンスパーティーの最中にちょっとこけてしまってその時プルセラ王女のドレスを脱がせてしまったというかなんというか……」
「ぷっ。あらあら、それは大失態だね~」
デボラさんはけらけら笑いながら俺の頬をつついてくる。
「笑い事じゃないですよ。マジで殺されるかと思ったんですから」
「あっはっは、いやごめんごめん。とにかくみんな元気そうで何よりだよ。じゃあまたねスタンス」
デボラさんはそう言うと手を振りながら去っていった。
俺はデボラさんにもらったつくしのおひたしを置いてくるため散歩を切り上げ一旦家へと戻る。
「ただいまー」
「おかえりなさーい。あれ? 早かったですね散歩」
「いや、さっきデボラさんに会ってこれもらったから置きに来たんだ」
俺は大皿をフローラに渡す。
「わあ、つくしのおひたしだ。すっごくおいしくて私大好きなんですよこれ。晩ご飯にいただきましょうね」
そう言って満面の笑みを浮かべるフローラ。
へーそうなのか。俺は食べたことないからわからないがフローラの反応を見る限り今晩の晩ご飯が楽しみだな。
「じゃあ俺は散歩の続きに行ってくるよ」
「あ、待ってください。スタンスさんが出かけた後すぐに封筒が届いたんですけど……これです」
フローラは一通の封筒を見せてきた。
俺はそれを受け取ると差出人を確認する、が……名前がない。
「差出人の名前が書いてないんです」
「そうみたいだな」
「どうしますか? 中見てみます?」
フローラが不安と興味の入り混じったような顔で訊いてくる。
「そうだな、ちょっと気味悪いけどこのまま捨てるのも気になるし」
俺は封筒の上の方を破くと中を覗いた。
中には折り曲げられた手紙が入っていた。
「なんて書いてあるんですか?」
フローラが顔を寄せる。
「えーっと……突然のお手紙すみません、わたしはクロード様の大ファンの二十歳の女性です。クロード様が大魔法導士になった頃からずっと大好きです。いきなりですがわたしは今ガシュウ国のプロメアという町の地下牢に無実の罪で幽閉されています。もし助けていただけたらどんなお礼でもして差し上げます。なのでどうかわたしを助けてください。追伸、わたしのスリーサイズは上から九十、六十、九十です」
「スタンスさん、顔にやけてますよ」
「えっそう? で、でもなんで俺の名前と居場所を知ってるんだろう」
ジョパン城で目立ちすぎたのが原因かな?
「ガシュウ国のプロメアか……」
行ったことないな。
「え、まさか行く気ですか?」
フローラが眉間にしわを寄せ俺を見上げてきた。
「え……いや助けを求めてるしこの人」
「とか言ってなんかいやらしいこと考えてません?」
「まさか。俺はただ純粋に本当に無実だったらかわいそうだなって思っただけだってば」
「……」
ぐぐーっと目を細めるフローラ。疑惑の眼差しを向けてくる。
「フローラだってこの人が本当に無実だったら助けてあげた方がいいと思うだろ?」
「それはそうですけど……」
「運よく俺はちょうど暇してるし空を飛んでいけばすぐ着くはずだからさ」
「不純な動機じゃないんですね」
「もちろん」
俺は大きくうなずいてみせた。
「……わかりました。その不幸な女性を助けてきてあげてください」
「ああ、ありがとうフローラ」
どうでもいいが俺はいつから外出するのにフローラの許可が必要になっているのだろう。
居候の弱みか……?
☆ ☆ ☆
「スカイハイ!」
唱えると、
「じゃあちょっと行ってくるよ」
「スタンスさん、気をつけて」
フローラの見送りを背に俺は名もなき村を飛び立ったのだった。
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追記:2025/09/20
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