冷たい夜の中で

浅野純平

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冷たい夜の中で

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冬の夜、部屋は静寂に満ち、冷たい風が窓の隙間をすり抜ける。ひんやりとした空気が胸を締めつけ、息を吐けば白い霧となって消えていく。冷気に包まれて、僕は布団の中で震えながら、体中を熱が灼くように感じていた。体温計が告げた39度を超える数字に、胸がぎゅっと締めつけられる。

「またひとりで、この病を越えなければならないのか?」頭の中にその問いが響く。額に絡みつく湿った髪、乾ききった喉。その渇きがさらに喉を焼き、痛みが体の隅々まで突き刺さる。体は鉛のように重く、布団から抜け出す力すら湧いてこない。手を伸ばすと、枕元に転がっていたペットボトルは空っぽだった。孤独は静かに心を侵し、まるで冷たい手が胸を絞めつけていくようだった。

「誰か、ここにいてくれたら…」胸の中に、ひとしずくの涙がこぼれそうになる。かつて、友人たちと過ごした温かな日々が目の前に浮かぶ。しかし今、僕はひとり、この冷たい空気に包まれている。

氷枕はぬるくなり、湿った空気が肌にまとわりつく。呼吸が浅くなり、意識が遠のいていく。否定的な思考が心を支配し、頭の中に問いが繰り返される。「どうしてこんな状況に陥ったのか?」「どうしてこんなに脆弱なのか?」その問いが頭の中で鳴り響くたびに、心がわずかに沈んでいく。

だが、ふと気づく。思考が濃霧の中でぼやけるように立ち込め、手がボトルに触れた。ぬるい水が喉をゆっくりと通り過ぎる。その瞬間、体に少しずつ力が戻っていくのを感じる。ほんの少しだけ、軽くなったような気がした。

微かな希望が胸の奥で灯り始める。「大丈夫、明日には少しは楽になるかもしれない。」そう自分に言い聞かせ、布団にくるまる。体を覆う熱にうなされながらも、少しだけ温かさを感じた。ほんのわずかな光が、静かに胸を照らすように。

一杯の水。それだけで、孤独な夜が少しだけ優しく感じられるような気がした。




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