落ちこぼれ同盟

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番外編2 風紀外伝 闇からの誘い

闇からの誘い9




「おれね。凄い我儘なんだ。おれが風紀に入る時にガーネットに条件出したの知ってる?」

全くの初耳だった。そんな話はコウからもガーネットからも聞いた事は無い。

「条件は二つ。一つはお前を風紀に入れる事。もう一つは、お前のパートナーをおれにする事」

コウは人が悪い笑みを浮かべて言った。

「つまりね。おれはお前が欲しくて風紀に入ったんだよ。な、我儘だろ?」
「コウ……」

痛いほど真っ直ぐな想いのこめられた瞳は、冗談だという可能性の逃げ道を完全に塞ぎ、フェンの心を射抜く。

「……趣味が悪すぎるよお前。コウなら、おれなんかじゃなくても……いくらでも……いい人が出来るはずなのに……」
「いや、お前だから惚れたの。フェンの闇は優しくて温かいから」

そんな事を言ってくれたのはコウが初めてだった。視界が揺らぐ、涙腺が今にも崩壊しそうになっていた。

「フェン、ありがとな」
「え……?」
「産まれてくれて、おれの前に現れてくれて本当にありがとう。おれはお前に会えてすっげー幸せなんだ」

そういって微笑むコウの顔を見て、フェンの胸は温かい気持ちでいっぱいになった。

 あぁ、これがそうなのか、とフェンは納得した。
 幸せとはこんなに身近にあって、気づきにくいもので、とても温かいのだと―――十六年生きていて初めて気づいた。

「泣くなよ……こんなことで」
「コウ……っ、おれのほうこそ……お前と出会えて嬉しい……っ」

コウの指先がフェンの涙を拭う。そして告げられたフェンの想いにコウが微笑む。

「もういなくなるとか言うなよ? 絶対に」
「……あぁ。コウ、おれは人に愛された事が無いから、自分の気持ちも良くわからない……だけど、おれの中でお前は特別だ。大切にしたいし、守りたいと思う。そして、傍にいたいと思う……初めてなんだ、こんな事を想うの。だけど、おれは、お前が……お前のことが―――」

そういいかけてフェンが先程コウのしたように彼と唇を合わせようと顔を近づけた時である。


 勢いよく保健室の扉が開いた。

「コウせんぱーい! 起きてますかぁ!? 体の具合は……えぇええええっ!?」

「なんだ? どうしたケイ!」
「なにがあったんだ!!」

コウの様子を見に来たらしいケイが、今にもキスをしそうなくらい至近距離で見つめ合っているコウとフェンをみて大声をあげる。
 その声に驚いて近くに居たらしいガーネット、シアン、ヴァルまでもが部屋の中に入ってくる。そしてケイ同様、驚いてフェン達を凝視している。

「こ、これは一体……」
「はい……?」
「まさかついにこの日が!!」
「あ、えっと、これは違っ……!」

咄嗟に、フェンがコウから距離を取り誤魔化そうとした時である。そんなフェンの態度に不満を持ち、片眉を上げたコウがぐいっとフェンのネクタイを引っ張り……。

「っ……!?」

皆が見守る中でディープキスをかましたのである。

「う、嘘だ……! コウ先輩がぁああああ!!」

ガーン、とショックを受けて泣き崩れるケイ。

「だ、駄目だヴァル! 見てはいかん!」

顔を赤くして視線をコウ達から逸らしながら、両手でヴァルの両目を隠すガーネット。

「ちょ、何があったんですか、ガーネットさん!」

突然目隠しされたヴァルは状況が掴めず困惑し、

「きゃぁあああああ! GJGJ! ナイスですよコウ!! 行け行けGOGO!」

シアンは大興奮のあまり世間体を忘れて叫んでいた。
 そして、驚きのあまり固まっているフェンとのキスを充分堪能したうえで唇を離したコウはガーネット達に向かって、

「フェンはおれのだから。とったらぶっ殺すぞ」

と言い放ち、不敵な笑みを浮かべたのだった。


END
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