152 / 232
6章 リサイア大会 パートナー決め編
光と闇が出逢う時
翌日。六時限目が自習になったので、フェンは畳んだ上着を持って校舎の外に出た。この時間、まだ他のクラスは授業中だが、何故かフェンは彼に会える気がしたのだ。
林の奥の大きな木の下。二股になったくぼみの所に、彼は寝ていた。フェンの予感は的中した。しかし、一つだけ予想外だったのは、彼が目を覚ましていた事だ。
「あ……」
『みゃっみゃっ!』
フェンが思わず声をあげると、先に彼の精霊であるケットシ―が鳴き声をあげた。ケットシ―の視線を辿るようにして、程なくその生徒もフェンの存在に気づく。
「どーも。意識がある時に会うのは初めてだよな」
そうしてふわりと笑顔を浮かべた。予想以上の好意的な態度に、フェンは戸惑いを隠せないまま口を開く。
「そうだな……お前もサボりか?」
「今日の6時限目は魔法哲学の授業だったから、受ける気がしなくてね」
「あぁ、レント先生か……おれも苦手だな」
一年の時、レントの授業を取っていたが、闇属性のフェンを快く思っていなかったらしく、授業中は難解な問いばかりあてられたり、荷物運び等の雑用をやらされる事が多かった。
本当はトシキは魔法哲学以外の授業もサボりまくっているのだが、それを知らないフェンは彼の言葉に当時のことを思い出して、同意するように頷いた。
「今日は……起きてたんだな」
「あぁ。なんとなくアンタが来るような気がして」
「おれが?」
「そう。上着、返しに来てくれたんだろ?」
「あぁ……その節はどうもありがとう。おかげで風邪引かずにすんだ」
フェンは礼を言って上着を返した。
「この国は夏休みの後すぐに秋になるんだな。休みが終わってすぐに寒くなったから吃驚した」
「北国だからな……お前、この国の出身じゃないのか?」
「うん。だから髪の色も黒いだろ?」
「そうか……それでそんな珍しい色の髪をしているのか」
彼の髪は夜の闇のように深い黒だった。その珍しい髪を眺めていると、ふいに小さな猫がフェンに近寄ってきた。
『みゅう!みゅうっ!』
まるでかまってくれとばかりに足にすり寄ってくるケットシ―に、困惑して主人を見る。
「撫でてやってくれよ。そいつ人懐っこくってさ。お前に遊んで欲しいみたい」
しかし、彼はケットシ―をフェンから遠ざけようとはせず、逆にフェンにそう言って頼んだ。フェンはその場に座り込み、恐る恐るミュウの背中を撫でる。
『みゃっみゃっ』
気持ち良い所を撫でられて、ミュウはご機嫌な様子で二股の尻尾を緩やかに揺らす。こんなに人懐っこい精霊を見たのは初めてだった。
「……お前によく懐いているな」
「そりゃあ仲良しだからな! ミュウ!」
『みゃぁ!』
「ミュウ?」
「こいつの名前だよ」
「へぇ……ケットシ―に……名前…………」
『精霊に名前をつけるなんて珍しい』そう言おうとして、以前同じ台詞を誰かに言った事を思い出した。
「ん? どうかしたか?」
「……お前、ひょっとして、レイ会長と仲良いのか?」
「え? いいや、全然」
彼は手を振ってきっぱりと否定する。
「そうか……やっぱり偶然か」
あなたにおすすめの小説
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
悪の策士のうまくいかなかった計画
迷路を跳ぶ狐
BL
いつか必ず返り咲く。それだけを目標に、俺はこの学園に戻ってきた。過去に、破壊と使役の魔法を研究したとして、退学になったこの学園に。
今こそ、復活の時だ。俺を切り捨てた者たちに目に物見せ、研究所を再興する。
そのために、王子と伯爵の息子を利用することを考えた俺は、長く温めた策を決行し、学園に潜り込んだ。
これから俺を陥れた連中を、騙して嵌めて蹂躙するっ! ……はず、だった……のに??
王子は跪き、俺に向かって言った。
「あなたの破壊の魔法をどうか教えてください。教えるまでこの部屋から出しません」と。
そして、伯爵の息子は俺の手をとって言った。
「ずっと好きだった」と。
…………どうなってるんだ?
《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。
かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年
小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)
九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。
半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。
そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。
これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。
注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。
*ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)
ざまぁされたチョロ可愛い王子様は、俺が貰ってあげますね
ヒラヲ
BL
「オーレリア・キャクストン侯爵令嬢! この時をもって、そなたとの婚約を破棄する!」
オーレリアに嫌がらせを受けたというエイミーの言葉を真に受けた僕は、王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付ける。
しかし、突如現れた隣国の第一王子がオーレリアに婚約を申し込み、嫌がらせはエイミーの自作自演であることが発覚する。
その結果、僕は冤罪による断罪劇の責任を取らされることになってしまった。
「どうして僕がこんな目に遭わなければならないんだ!?」
卒業パーティーから一ヶ月後、王位継承権を剥奪された僕は王都を追放され、オールディス辺境伯領へと送られる。
見習い騎士として一からやり直すことになった僕に、指導係の辺境伯子息アイザックがやたら絡んでくるようになって……?
追放先の辺境伯子息×ざまぁされたナルシスト王子様
悪役令嬢を断罪しようとしてざまぁされた王子の、その後を書いたBL作品です。
泥酔している間に愛人契約されていたんだが
暮田呉子
BL
泥酔していた夜、目を覚ましたら――【愛人契約書】にサインしていた。
黒髪の青年公爵レナード・フォン・ディアセント。
かつて嫡外子として疎まれ、戦場に送られた彼は、己の命を救った傭兵グレイを「女避けの盾」として雇う。
だが、片腕を失ったその男こそ、レナードの心を動かした唯一の存在だった。
元部下の冷徹な公爵と、酒に溺れる片腕の傭兵。
交わした契約の中で、二人の距離は少しずつ近づいていくが――。