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6章 リサイア大会 パートナー決め編
大胆な告白
学園の生徒の殆どはルール改正に関して好意的な反応をした。しかし、中には突然の変更に異を唱える者も居た。
その中でも、最も苛烈に怒っていたのは、コウだったかもしれない。彼は苛立ちを隠さないまま、先程から舌打ちと共に、ここにはいないレイに対する思いつく限りの罵詈雑言を繰り返している。
「いい加減にしろコウ。文句を言っても、仕方が無いだろう」
幸い、ここ風紀室には現在コウとガーネットとシアンしか居なかったので、周りの目を気にする必要は無かったが、あまりにも酷い罵倒のオンパレードだったので、ガーネットはげんなりした顔になって、コウを咎めた。
「だって……おれは、フェンと一緒に出たかったのに……」
ガーネットに言われて悪口を言うのはやめたが、今度は落ち込んだ様子で顔を逸らす。夏休みに大怪我をした時よりも元気の無いその姿に、ガーネットはやれやれと言った様子で頭を抱える。
落ち込んでいるコウの隣で、機嫌が良さそうなのはシアンだった。『会長は偶に良い事をしますよね』とあれ程苦手意識の強かったレイを誉めるくらいシアンは今回の改正を喜んでいた。
「誰か組みたい相手でもいるのかシアン?」
「はい。一年にとても素敵な剣士がいるのです。彼を誘おうと思っています」
「ほぉ……お前が誉めるくらいだから凄腕の剣士なのだろうな」
「それはもう」
まるで恋をしているような顔をするシアン。魔剣をこよなく愛する彼がうっとりとするくらいだ。さぞかしいい腕なのだろう。少し興味を持ったが、その隣で暗い顔をしているコウを放って置けず、ガーネットはシアンとの会話をそこでやめてコウの肩を叩く。
「そんなに落ち込むな。ペア戦ならおれと出れば良いだろう」
「いや、おれはケイとでる。ガーネットはフェンと出てくれないか?」
「フェンと?」
確かにコウと出れない以上、フェンと他に組みたがる人間はいないだろう。暫しガーネットは迷ったが、コウの真っ直ぐ見あげてくる視線に耐えきれずに頷いた。
「……わかった。おれはフェンと組もう」
「ありがとうガーネット」
ほっとしたように笑顔を見せたコウ。どうやら先程まで散々レイの悪口を叩いていたのは、フェンを思っての事だったらしい。
「相変わらず、あなたはフェン一筋ですね」
どうやら同じ事を思っていたらしいシアンが、何故か息を荒くしながらコウにそう言った。するとコウは『当たり前だろ』と恥ずかしむ事もなく断言した。
「おれはフェンを世界一愛してる」
「っ……コ、コウッ!」
コウが堂々と告白したと同時に部屋に入ってきたのは、当事者であるフェンだ。タイミングが良いのか悪いのか、イマイチわからない男だ。あまりに直球なコウの告白に、彼は気の毒なくらい顔を真っ赤にしたり、ガーネットやシアンを見て慌てたりと取り乱していた。
「お前はおれのいない所で何を言っているんだ」
「安心しろ。二人きりの時は、もっと凄いの言ってやるから」
「そういう問題じゃない!!」
ビシッと親指を突きたてるコウに、真っ赤になって怒鳴るフェン。今のよりもっと凄いって、普段二人きりの時はどんな会話をしているのか……とガーネットの隣でブツブツと呟くシアン。少し涎を垂らしながら、何やら物凄いスピードで手帳で何かをメモしていた。
「ところでフェン。ペア戦のパートナーについてだが」
この非日常の空気から脱出したかったガーネットが、早々に話題を切り替えた。するとフェンは『その事で報告があります』とガーネット達に驚くべき事を告げた。
「先程パートナー申請を済ませました」
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