落ちこぼれ同盟

kouta

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6章 リサイア大会 パートナー決め編

トシキの頼み


「それでおれは何をすればいいわけ?」
「敵が学校内に侵入した事が生徒達にばれたらパニックになるだろう。なるべく気づかれないようにするが……もし、生徒達にばれた場合と、万が一に私が負けて、競技場の結界が破られた時は、君に生徒達を守って欲しい。そうならないように力を尽くすけど、用心に越した事は無いだろう? 生徒の安全が第一だからね。君になら任せられる。どうか引き受けてくれないか?」

プリ―メルの願いを聞いたトシキは、暫し考えるように目を閉じた後、静かにこう告げた。

「無理だ。おれには生徒達を安心させるような真似も、結界を張り替える技術も持っていない。それはあんたの役目だ、プリ―メル。かわりにおれが敵をぶっ倒す」
「しかし、それでは君が危険だ。せめて私も一緒に……」
「今、生徒の安全が第一って言っただろ。一番目立つ戦いである決勝戦の競技場に理事長の姿がなかったら、生徒達も不安になるだろうし、犯人達も怪しんで罠に気づかれるかもしれない。だからあんたは、何も知らないって顔で観戦してな。その間におれが犯人を生け捕りにして、アンタにプレゼントしてやるよ」

自信満々のトシキに対してプリ―メルは尚も心配そうに見つめてくる。

「しかし、犯人は複数の可能性が高い。もしかしたら、またマッドベアを複数体召喚する可能性もある。君が充分に強い事は知っているが、数で圧倒されれば敗れるかもしれない。君にもし、万が一の事があれば、師匠に顔向けが出来ない……何より自分自身が許せない」
「そんなに心配してくれるの?」
「当たり前だ! 君は自分の価値を理解してな……何で笑ってるんだ?」

珍しく声を荒げて答えたプリ―メルに、トシキは小さく笑いながら笑顔で答える。

「いや、嬉しかっただけだ。ありがとなプリ―メル。そんなに心配なら成功率をあげるために、協力者を二人増やしても構わないか?」
「その協力者は信頼出来る相手なのか?」
「あぁ。歓迎会の時、一緒にマッドベアを退治した仲間達―――おれの大切な親友なんだ」
「君の親友……か。いくら危険だと止めても、君は一人で行動してしまいそうだから、その方が安全かな。無理はするなよ」
「わかってる。安全が第一、だろ?」
「そうだ」

プリ―メルは幼子を誉めるように手を伸ばして、トシキの頭を数度撫でる。照れくさそうにその手を払い除けたトシキは、俯いて言いにくそうに話を切り出した。

「それと……な」
「ん?」
「これは計画にはまったく関係の無い話なんだけど……頼みがある」
「頼み? 君がそんな事言うなんて珍しいな」
「さっき、本選のトーナメント表はアンタと教師陣で決めるって言ってただろ」
「あぁ。それが何か?」
「一年E組の代表者と、一年A組の代表者の一人に選ばれるかも知れないコーエンっていう生徒。この二人が第一試合であたるように調整して欲しい」
「……もしかして、さっきの食堂の騒動絡みかな?」
「もう、あんたのところまで話が伝わっているのか」
「学校内に犯人が潜んでいる可能性があると言っただろう?だから監視の目を光らせているんだ。食堂の件はすぐに耳に入った。服従の鎖……あんなものがまだ出回っていたとはな」
「ア―……友達が言っていたんだが、闇アイテムっていうやつなんだろ?」

先程アーサーが言っていた事を思い出して、トシキが訊ねるとプリ―メルは頷いて答えた。

「あぁ。闇属性の魔法使いだけが使える闇魔法を用いて作られた呪いのアイテム……今では闇魔法の大半が失われしまって、製造が不可能になっているがね」
「なんで闇魔法はなくなっちまったんだ?」
「それは国が……いや恐らく闇属性は元々希少だし、闇魔法は高度な魔術が多かったから、段々と失われていったのだろう」

今、間違いなくプリ―メルは別の事を言おうとしていた。国が……と言いかけたその続き。トシキは訊ねなくてもある程度予測が出来ていた。

 恐らく、闇属性を恐れた人間達が圧力をかけて封じたのだろう。しかし、名門貴族の一人で、王族とも深く関わってきたプリ―メルが簡単に口に出して言えない事情を察して、トシキは気づかないふりをした。

「でも、そんな希少なアイテムをどこで手に入れたんだろう?」
「闇アイテムは数が少ないため高額だが、違法ではないものも多いので、貴族の中にはコレクターもいる。彼の父親も有名な闇アイテムコレクターでね。恐らく、父親から譲り受けたものなんじゃないかな」
「闇アイテムのコレクションか。悪趣味だなぁ。何かを集めたい気持ちはわかるけどさ、わざわざそんな曰くつきのものを収集しなくたって……」
「曰くつきだから、一部の人間には大人気なんだよ。残念ながらね」

『どうせコレクションするなら、闇アイテムより酒の方がいいと思うんだが』とプリ―メルは個人的な見解を述べた後に話を戻した。

「本来ならばいくら君の頼みでも、理事長という立場上贔屓は出来ないと断るのだがね―――イオといったかな。彼を応援したい気持ちは私にも良くわかる。精霊は確かに人に尽くしてくれる。けれど、それはお互いの信頼があってこそ、成り立つもの。それを彼は忘れてしまっているらしい」
「イオなら、あいつならきっと、あの馬鹿コーエンの目をさますことが出来る」
「まるで彼が勝つ事を確信しているような口振りだね。でも―――君がそこまで信じているのなら、かけてみようか」
「それじゃあ……」
「あぁ。もし、イオという生徒が本選まで残る事が出来たのなら、私が必ず彼をコーエンと同じブロックになるように調整しよう」
「ありがとう、プリ―メル」
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