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初デート編
⑤
しおりを挟む部屋で飯を食べたあとの流れはいつもの大体一緒だった。
初夜の時は『明るい時間帯にやるのは嫌だ』という波留斗の意見を飲んでくれた連だが、今となっては『そんなこと言ったっけ?』と言わんばかりに、飯が終わって早々ベッドに押し倒してきた。抵抗しても、波留斗の力では到底連には構わないし、恥ずかしいだけで、別にそういう行為が嫌じゃない。
ただ行為が終わった後、日が暮れた窓の外を見つめて思うのは『今日もこれで終わってしまった』という謎の虚無感だ。
別に行為そのものが嫌いは訳じゃない。ただ……連が波留斗に求めているものは『この行為だけなんじゃないか』……そんな空しい考えが頭を過ぎる。
(ちゃんと告白もした。その想いに応えてくれた……だから身体だけの関係じゃない……きっと、そう……)
自信を持てないのは、やはり先ほどのデートでも感じた波留斗と連の温度差だ。
(デート……楽しみにしてたのやっぱり俺だけだったんだよな……)
大きなため息が口から洩れた。するとそれまで隣で軽く寝ていた連が起きて波留斗に訊ねる。
「んだよ、辛気臭いため息ついて」
「……別に」
「それ、お前の悪い癖だよな」
「は?」
「何か言いたいこと飲み込んだだろ、今……言えよ。黙っていた方がこじれんだよ、こういうのは」
「……じゃあ聞くけど、今日俺と一緒に居て楽しかった?」
「なんだよ急に……普通に楽しかったけど?」
「でも上映中に寝てたよな?」
「あー……それで怒ってんのか? 悪かったよ、予想以上に眠気が強くて……」
「怒っているって言うより、そんなに疲れていたなら最初からそう言ってくれれば良かったのに。そうしたら今日は別行動で……」
「あ?」
あっさり誤ったと思ったら、今度は苛立ちを隠さない様子で連が波留斗を睨みつける。
「なんで別行動っていう選択肢が出て来る?」
「え、だって映画興味がなかったんだろ。それだったら俺は沢村達と……」
「だから、なんで沢村達と映画に行くんだよ。それも休日に」
「連だって、最初は紬と行けばって感じだったじゃんか」
「紬とあいつらはちげぇだろ。それに何のために土日バイト入れてないと思ってる?」
「シフトの都合かと……」
「ンな訳ねーだろ! お前と会うためだよ」
「な、なるほど……?」
一応、連も波留斗と一緒に居る時間を意識しているようだ。
(そっか、そうだよな……付き合ってまだそんな経っていないんだし、今まで偶々出かける時間がなかっただけで……これから、デートの回数も増えていくの、か?? え、でも単純に土日にエッチしたいから予定空けているだけなのか?)
どっちだろうと、波留斗が考えているのを余所に、連が気まずそうな顔で続けて言った。
「あー……でも悪ぃ。そう言った手前言いにくいんだが、明日はちょっと予定がある」
「珍しいね。日曜日に」
「おう。紬と買い物の約束があってな」
「ふぅん……」
連は友達が少ない……というより、波留斗と紬以外で休日に遊びに行く友人というのは思いつかない。基本、一人でいることを好む。
だから、誰かと予定があるといえば、それは紬なのだろうが、なんとなくモヤモヤする波留斗だった。
(でもまぁ、俺と紬じゃ趣味も違うし……思えば、連と紬は昔から気が合うというか、仲良かったし……殴り合いの喧嘩もしょっちゅうしてるけど)
「でも丁度良かった。実は俺もクラスメイトに誘われてたんだよね、カラオケ」
「あ? この間も行ってなかったかお前」
「よく知ってるね。沢村達とも行ったけど、坂本達にも誘われてて……」
「チッ」
(え? なんで舌打ち?)
「あー……連もカラオケ行きたかった?」
「あ?……いや別に?」
(別に一緒に行きたい訳じゃなかったのか……)
「一度断ったんだけど、やっぱり行こうかな」
「…………」
「連?」
「夜には帰って来い。絶対」
「え? うん、その予定だけど……」
「ラインで確認するからな?」
『お前は俺のお母さんか?』とツッコミたかったが、絶対今以上に機嫌が悪くなるのがわかったので口には出さなかった波留斗だった。
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