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「アラン副司令官が……っ、今までの関係は本気じゃないと……遊びだったって言ったんです……ッ!!」
「…………」
クリスの絶叫を聞いたデイヴィットは、無言でカツカツと鎧の音を立てながらこちらに来た。
そう、直前まで模擬戦をしていた彼は鎧を着ているし、なんなら腰には剣が刺さったままだった。
デイヴィットが、クリスのことを実の弟のように可愛がっていることを知っている面々は、『あぁ……アラン副司令官終わったわ……』とその場の誰もが思ったが、自業自得なので誰もアランの味方をする者はいなかった。
さて、脂汗を垂らしまくっているアランはと言うと見たことがない無表情の彼が目の前に迫ってくるのをただ見つめるしかなかった。
そして、身体に触れられる距離まで詰めた彼は、まっすぐにアランを見つめて問うた。
「クリスが言っていたことはほんと?」
「あ……いや……それは……、ここではちょっと」
「何故?」
「ふ、二人きりになってからゆっくりと話し合いたいなぁって」
「そうしたら貴殿は逃げるんじゃないか?」
「逃げるってどこに? こんな囲まれているのに無理だろ」
「アラン」
デイヴィットがアランに更に近づき、彼の手を取った。
今度こそアラン副司令官に制裁が下されると思った周りの人達はデイヴィットが、アランの手をそっと、まるで姫の手を取る騎士のように握りしめたことに目を見張った。
「私は、貴殿の事を遊びで抱いたつもりも、口説いたつもりもないのだが」
「~~~~~~~~!?」
周りの声にならない絶叫や騒めきの中心でアランはもはや口から火が出そうなほど、本当に気の毒な程顔を真っ赤にしながらも、デイヴィットの言葉攻めに耐えるしかなかった。
「やっ、あの……だからっ、そういうのは二人きりの時にっ……!」
「もちろんだ。二人きりの時に改めてプロポーズさせていただく」
「ぷ、ぷろぽ……!?」
「だが、貴殿と私に思い違いがあったようなので、今ここではっきりとさせてほしい」
もうデイヴィットの勢いは止まらない。のらりくらりと躱そうとするアランから超ド直球で猛攻を仕掛ける。
「私は貴殿の事をかけがえのない人として大切に思っている。願わくばこの先も、貴殿の隣にいる男は私一人であってほしいと思っている」
もう周りはドンチャン騒ぎだ。ビックカップル誕生秒読みカウントダウンなるものをしながら、ヒューヒューと囃し立てる声が食堂を埋め尽くす。
「だが、無理強いをするつもりはない。私が嫌ならばこの場ではっきり切り捨てていただこう」
男前すぎるデイヴィットの発言に一層周囲の声が激しさを増していく。
「……アラン殿、私の思いにこたえてくれるだろうか」
「っ……! お前っ、ずるいって……こんなの、逃げ場ないじゃないか……っ」
「ははっ、逃げ場を与えたら、アラン殿はすぐ逃げてしまいそうだからな」
「でも、どうだろうか。そろそろ、私に捕まってくれないか?」
「……っ、はぁ……」
無茶苦茶だ。こんなの、あまりに無茶苦茶だ。でもこうなればやけくそだ。
「……途中で捨てたら一生恨むぞ」
アランなりに捻くれながらも、承諾の言葉を受け取ったデイヴィットは、嬉しそうに微笑み、彼を抱き上げた。
それが、お姫様抱っこだったものだから、アランの顔はますます赤くなるし、デイヴィットは周囲の祝福に笑顔で応えて、彼らの寝室へと消えていったのだった。
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