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【マシューside】守りたいと思うもの
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リナティエラ嬢と婚約が成立したその日、俺はふわふわ夢見心地のまま、母に質問をした。俺を好きになってもらうために出来ることは何かと。貴族には珍しく恋愛結婚だった母は目を大きくして、それから微笑ましそうに笑って小さな声で言った。
「人それぞれ好みというものがあるでしょう?だから、こうすれば好きになってもらえるなんてものは分からないわ」
「そうなの?」
「ええ。しっかりとした意見を持っていてそれを曲げない人が好きな人もいれば、誰にでも優しい人を好きな人もいるわ」
そうでしょうと母がたずねたのは、給仕をしていた俺の乳母でもあるメイドだ。
「はい。凛々しいお顔が好きな方がいれば、笑顔がお好きな方もいます。人それぞれですねぇ」
「じゃあどうすれば?」
それでは困る。俺の事をちゃんと好きになって欲しいと思う。
「私はまだ会えてないのだけど、リナティエラ嬢はどんなご様子だったの?」
聞いてくれるならばと、俺は母と乳母を相手に、あの日のリナティエラ嬢の様子を伝えた。たくさんお話をしてくれたこと、木登りをした話をしてから恥ずかしそうにしていたこと、手を差し出したら小さな手を乗せてくれて、それから一緒に木登りしたこと。二人は楽しそうに笑いながら聞いてくれた。
「ふふ…あなたがこんなに話したのは初めて聞いたかも」
「ええ、坊ちゃんがこんなに長く」
「そんなのどうでもいいから、かんがえて」
「そうね、少なくとも彼女はあなたの態度も口数の多さも気にしていないわ」
「うん」
「一緒に木登りできるのも嬉しかったでしょうね」
木登りは後で怒られたけど、たしかに楽しかった。鳥の巣の近くまで行ってふたりで巣の中をのぞき込んだんだ。決して触れては駄目なんだと、きちんと俺に注意してくれたのもうれしかった。
「ねぇ。逆に彼女のために、何かしてあげたいことはある?」
不意に聞かれた母の質問に、考えてみた。
父は数日前から魔物討伐の任務に向かっている。もしリナティエラ嬢の前に魔物が現れた時、今の俺では何もできない。一緒に木に登ることくらいしか出来ないんだ。それじゃあ、リナティエラ嬢を守れない。
「リナティエラじょうをまもりたい」
自然にそんな言葉が出てきて、自分でも驚いた。あの笑顔を曇らせたくない。母と乳母は息を呑んで俺を見つめていた。
今までは痛いのは嫌だと思ってたけど、リナティエラ嬢が痛いのはもっと嫌だ。
「おれ、きしになりたい」
「ええ、ええ。坊ちゃまなら、きっとなれますよ」
「騎士になると決めたのなら、教えてあげましょう」
母は小さく手招きをして俺を呼ぶ。
「私はお父様に、誰よりもあなたを守りたいと言われた時に、本当に愛されているんだと分かったんですよ…お父様には内緒ですよ?」
俺はその日から、練習を始めた。
最初はただの独学だったが、数日すると使用人の中にいた腕に覚えのある者達が指導してくれるようになった。しばらくして無事に討伐から帰ってきた父も、騎士を目指すと伝えると喜々として俺を鍛えてくれた。
その甲斐あって、15歳になった俺は希望通りに騎士学校に入った。
「人それぞれ好みというものがあるでしょう?だから、こうすれば好きになってもらえるなんてものは分からないわ」
「そうなの?」
「ええ。しっかりとした意見を持っていてそれを曲げない人が好きな人もいれば、誰にでも優しい人を好きな人もいるわ」
そうでしょうと母がたずねたのは、給仕をしていた俺の乳母でもあるメイドだ。
「はい。凛々しいお顔が好きな方がいれば、笑顔がお好きな方もいます。人それぞれですねぇ」
「じゃあどうすれば?」
それでは困る。俺の事をちゃんと好きになって欲しいと思う。
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聞いてくれるならばと、俺は母と乳母を相手に、あの日のリナティエラ嬢の様子を伝えた。たくさんお話をしてくれたこと、木登りをした話をしてから恥ずかしそうにしていたこと、手を差し出したら小さな手を乗せてくれて、それから一緒に木登りしたこと。二人は楽しそうに笑いながら聞いてくれた。
「ふふ…あなたがこんなに話したのは初めて聞いたかも」
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「そうね、少なくとも彼女はあなたの態度も口数の多さも気にしていないわ」
「うん」
「一緒に木登りできるのも嬉しかったでしょうね」
木登りは後で怒られたけど、たしかに楽しかった。鳥の巣の近くまで行ってふたりで巣の中をのぞき込んだんだ。決して触れては駄目なんだと、きちんと俺に注意してくれたのもうれしかった。
「ねぇ。逆に彼女のために、何かしてあげたいことはある?」
不意に聞かれた母の質問に、考えてみた。
父は数日前から魔物討伐の任務に向かっている。もしリナティエラ嬢の前に魔物が現れた時、今の俺では何もできない。一緒に木に登ることくらいしか出来ないんだ。それじゃあ、リナティエラ嬢を守れない。
「リナティエラじょうをまもりたい」
自然にそんな言葉が出てきて、自分でも驚いた。あの笑顔を曇らせたくない。母と乳母は息を呑んで俺を見つめていた。
今までは痛いのは嫌だと思ってたけど、リナティエラ嬢が痛いのはもっと嫌だ。
「おれ、きしになりたい」
「ええ、ええ。坊ちゃまなら、きっとなれますよ」
「騎士になると決めたのなら、教えてあげましょう」
母は小さく手招きをして俺を呼ぶ。
「私はお父様に、誰よりもあなたを守りたいと言われた時に、本当に愛されているんだと分かったんですよ…お父様には内緒ですよ?」
俺はその日から、練習を始めた。
最初はただの独学だったが、数日すると使用人の中にいた腕に覚えのある者達が指導してくれるようになった。しばらくして無事に討伐から帰ってきた父も、騎士を目指すと伝えると喜々として俺を鍛えてくれた。
その甲斐あって、15歳になった俺は希望通りに騎士学校に入った。
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