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【マシューside】愛しい人と
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「さて、騒がせて悪かったな!みんな、卒業おめでとう!」
俺の声をきっかけに音楽が再び始まると、驚いた顔のままの卒業生達も散っていく。隊員達はエミリーを連れて去っていった。この後はすぐに牢屋へと運ばれ、取り調べを受ける予定だ。
だがもう俺の手は離れた。任務は完了だ。あとは宰相や父にまかせてしまえば良い。
すっと差し出した俺の手にすぐに手を重ねてくれる姿に、ほっと安堵の息が漏れた。そのまま事前に押さえておいたバルコニーへとエスコートする。
王家の夜会ホールなだけあって、景色は素晴らしかった。だが、そんなバルコニーからの景色に見惚れるリナは、もっと素晴らしい。
「リナ、さっき説明はしたけど」
「はい」
「本当にただの任務だったんだ」
「分かってます」
「一週間前にあの女が流した噂で、どれほど傷ついたかと思うと…」
もっと早く伝えたかったと、思わず眉間にしわが寄ってしまった。
「せめて手紙でもと思ったが、それも任務失敗の恐れがと上から禁止されていたんだ」
「私、エミリーさんと話している所も見かけました」
「そうか…」
「二人で歩いている所も」
「すまない」
「噂を聞いて、つらくて、確かに泣きました」
やっぱりリナは深く深く傷ついてしまっている。あんな任務を受けなければ良かったのだろうか。けれど、任務を受けなければ俺は既に騎士では無くなっていたし、ここに一緒にいることはできなかった。
「でも、それでもマシュー様のことを好きだなと思ったんです。もし今日婚約破棄されても、ずっとお慕いしていましたって伝えるつもりでした」
「ずっと?」
「初めてあったあの日から…です」
ひたと目線を合わせて言われた途端、思い浮かんだのはあの日、一生懸命話してくれたリナの姿だった。木登りの話を恥じて照れる顔。一緒に鳥の巣を見に行こうと誘った時のふにゃりと笑ってくれた笑顔。
「ああ、君も、そうなのか?本当に?」
「君、も?」
「口下手で表情も無いこどもに一生懸命いろんなことを話してくれた君を、俺は好きになったんだ」
「マシュー様も?」
「つまらないとかもっと話せとか言わずに、僕のために必死で話題を探してくれた君をね」
思わず俺は、リナの頭をそっと撫でてしまった。子ども扱いをするなと怒られるかと思ったが、リナは気持ちよさそうに目を細めるだけだった。
「諦めないでくれてありがとう」
「いえ」
「そろそろ戻らないと駄目かな」
「そうですね」
その前にダンスに誘わないと。俺はこのためだけにこの任務を受けたんだから。
俺はその場にすっと跪くと、片手を差し伸べる。この姿勢を格好良く決めるためにと、母と乳母から特訓まで受けたのは何があっても一生秘密だ。
「リナティエラ嬢、どうか踊って頂けませんか?」
正式な作法での申し込みに、リナティエラ嬢もすっと手を乗せてくれた。
「喜んで!」
幸せな気持ちでリナの手を引きながら、ふと思った。講師になった理由を伝えたら、リナはどんな反応をしてくれるのかな。誘惑に勝てずに、俺はそっと耳元で囁いた。
「講師の任を受けた理由が、卒業パーティーで他の男と躍らせないためだと言ったら、軽蔑する?」
照れるのかなと思っていた予想はあっさりと裏切られた。リナは満面の笑みで即座に答えた。
「いいえ、とっても光栄ですわ!」
FIN
俺の声をきっかけに音楽が再び始まると、驚いた顔のままの卒業生達も散っていく。隊員達はエミリーを連れて去っていった。この後はすぐに牢屋へと運ばれ、取り調べを受ける予定だ。
だがもう俺の手は離れた。任務は完了だ。あとは宰相や父にまかせてしまえば良い。
すっと差し出した俺の手にすぐに手を重ねてくれる姿に、ほっと安堵の息が漏れた。そのまま事前に押さえておいたバルコニーへとエスコートする。
王家の夜会ホールなだけあって、景色は素晴らしかった。だが、そんなバルコニーからの景色に見惚れるリナは、もっと素晴らしい。
「リナ、さっき説明はしたけど」
「はい」
「本当にただの任務だったんだ」
「分かってます」
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もっと早く伝えたかったと、思わず眉間にしわが寄ってしまった。
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「私、エミリーさんと話している所も見かけました」
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「すまない」
「噂を聞いて、つらくて、確かに泣きました」
やっぱりリナは深く深く傷ついてしまっている。あんな任務を受けなければ良かったのだろうか。けれど、任務を受けなければ俺は既に騎士では無くなっていたし、ここに一緒にいることはできなかった。
「でも、それでもマシュー様のことを好きだなと思ったんです。もし今日婚約破棄されても、ずっとお慕いしていましたって伝えるつもりでした」
「ずっと?」
「初めてあったあの日から…です」
ひたと目線を合わせて言われた途端、思い浮かんだのはあの日、一生懸命話してくれたリナの姿だった。木登りの話を恥じて照れる顔。一緒に鳥の巣を見に行こうと誘った時のふにゃりと笑ってくれた笑顔。
「ああ、君も、そうなのか?本当に?」
「君、も?」
「口下手で表情も無いこどもに一生懸命いろんなことを話してくれた君を、俺は好きになったんだ」
「マシュー様も?」
「つまらないとかもっと話せとか言わずに、僕のために必死で話題を探してくれた君をね」
思わず俺は、リナの頭をそっと撫でてしまった。子ども扱いをするなと怒られるかと思ったが、リナは気持ちよさそうに目を細めるだけだった。
「諦めないでくれてありがとう」
「いえ」
「そろそろ戻らないと駄目かな」
「そうですね」
その前にダンスに誘わないと。俺はこのためだけにこの任務を受けたんだから。
俺はその場にすっと跪くと、片手を差し伸べる。この姿勢を格好良く決めるためにと、母と乳母から特訓まで受けたのは何があっても一生秘密だ。
「リナティエラ嬢、どうか踊って頂けませんか?」
正式な作法での申し込みに、リナティエラ嬢もすっと手を乗せてくれた。
「喜んで!」
幸せな気持ちでリナの手を引きながら、ふと思った。講師になった理由を伝えたら、リナはどんな反応をしてくれるのかな。誘惑に勝てずに、俺はそっと耳元で囁いた。
「講師の任を受けた理由が、卒業パーティーで他の男と躍らせないためだと言ったら、軽蔑する?」
照れるのかなと思っていた予想はあっさりと裏切られた。リナは満面の笑みで即座に答えた。
「いいえ、とっても光栄ですわ!」
FIN
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感想ありがとうございます。
そうですね、確かに分けている方が自然だとは思いますが、このお話は同じ学校設定で書かせて頂いたものになります。
しっかり読み込んで頂いた上でのご意見ありがとうございました。