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【マシューside】全てを明らかに
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卒業パーティーの日、階段の上から見つけたリナティエラ嬢は、俺が贈ったドレスを身に着けていた。
今は表立って連絡はとれないが、卒業パーティーのドレスだけはどうしても贈りたかった俺は、レックスに頼み込んで彼女の両親に連絡を取ってもらったんだ。
驚かせたいので、ご両親が選んだことにしてくださいと頼み込んだ俺に、彼女のご両親も乗り気でいてくれたと聞いていたので心配はしていなかったが、実際に着てくれている姿を見ると胸が熱くなった。
キラキラとランプの灯を反射する金髪に、すらりとした長身の君には、そのスリムなシルエットの鮮やかな青色のドレスが似合うと思っていたんだ。光に照らされると輝く繊細な刺繍で裾を飾ったそのドレスは、彼女のために存在していると断言できる。完全に着こなしてくれていて、想像以上の美しさだ。
ざわりと卒業パーティーの会場にどよめきが起き、ダンスのために流れていた音楽がぴたりと止まる。
第一騎士団の礼服を身にまとった俺は、淡いオレンジ色のドレスを着たエミリーを腕にくっつけたまま階段を降りた。歩きにくくて仕方がない。
リナティエラ嬢はじっと俺を見つめてくれていた。
「リナティエラ・クラーク嬢、話がある」
「はい、承ります」
しがみついていた重しを外し、リナだけを見つめる。
「私、マシュー・ハワード伯爵令息は、リナティエラ・クラーク伯爵令嬢…」
リナの手に力が入ったのが分かった。ごめん、リナこの任務は今終わるから。だからどうか俺の事を嫌いにならないで欲しい。
「を、心から愛しています」
「は?」
「え?」
「ん?」
「…マ、マシュー様?」
「私は、騎士としての魂に誓って、あなただけを、心から愛しています」
騎士としての魂に誓ってというのは、俺たち騎士にとって最大級の誓いの言葉だ。この言葉を告げた時は、真実だけを口にしていると言う意味で、広く知られている。
一瞬の間があって、リナの頬が真っ赤に染まった。
「マシュー様?あの一体?」
「あなたは?不安にさせてしまったのはわかっていますが…あなたのお気持ちを聞かせて頂けませんか?」
「わ、私も心からお慕いしております」
「……よかった」
思わずぎゅっと抱きしめてしまったが、レックスをはじめとしたうちの隊員達が手を叩き出した事で、不思議そうにしながらも周りから拍手が沸き起こった。ああ、良かった。こんなくだらない任務のせいで彼女を失うのかと思った。
「ちょ!ちょっと待ちなさいよ!」
「リナ、信じてくれてありがとう」
「何言ってんのよ!?今、ここで、この女は婚約破棄されて、国外追放になるのよ?そして私が伯爵夫人になるの」
やっとこの女に言い返す事ができる。俺はリナを背中にかばうと、エミリーに向き直った。もう騎士のとりつくろった上品な喋り方も必要ないだろう。
「まずひとつめ、この女よばわりをするな。リナは伯爵令嬢で、お前は平民だ。身分をわきまえろ」
「はぁ?」
「ふたつめ、勝手に国外追放などと口にする権利はお前には無い。それが許されるのは国王陛下だけだし、陛下であっても貴族会議での承認がなくては不可能なことだ」
「で、でも」
「みっつめ、伯爵夫人になどなれるはずがないだろう。俺はリナを愛しているからな」
「何?何なの、これ?」
「もうひとつ追加だ。事実と異なる噂を勝手に流した事、絶対に許しはしない」
言いたかった事を、エミリーが我に返る前に全部言い切ってやった。俺は続けて騎士団の制服のポケットから、一枚の書状を取り出した。
「私、マシュー・ハワードは、王命によりエミリー嬢に近づいた。あくまでも第一騎士団10番部隊の任務としてだ」
ヴァルティア王国民なら誰もが知っている、王の押印付きの書状を高々と掲げる。周りの皆も食い入るようにその書状を見つめているのが分かった。
「あの…これが任務ですか?」
「ああ、エミリー嬢のスキルに疑いが掛けられていてな」
「スキル?」
「魅了スキルで商会での代金の踏み倒しや、貴族の令息をたらしこんで貢がせたりしていたようで、その調査を依頼された」
あっさりと暴露してやったエミリーの秘密に、あたりは一時騒然となった。
「そこで、魅了に耐性のある私が近づいた」
「で、でも私のことかわいいって言ったじゃない」
「ああ、かわいいのうみそだって意味なら言ったな」
ただ、お前の魅了にかかっているふりをするためだけにな。
「き、君を逃がさないって」
「逃がすわけがないだろう、必ず捕らえるんだから」
言い切った俺がすっと手を挙げると、隊員達がエミリーをぐるりと取り囲んだ。
「ああ、やっと任務完了だ」
「リナティエラ嬢と会えないからって、このひと月怖くて怖くて」
「これで隊長の機嫌が良くなる!!!」
「めでたい!」
「こんなにうれしい任務完了は初めてかも!」
嬉しそうに笑いながらもてきぱきとエミリーを捕爆して行く隊員達をじろりと見据える。
「お前ら…リナの前で何を余計な事を言ってるんだ」
「ひっ」
暗雲を背負った俺の袖を、リナの可愛い指がくいっと引っ張った。
「あの、私は今の隊員さん達の言葉で、本当に任務だったんだって実感できて…その…う、うれしかったです」
「リナッ!!!」
そう言ってくれたリナが可愛すぎて、思わずまたぎゅっと抱きしめてしまった。
今は表立って連絡はとれないが、卒業パーティーのドレスだけはどうしても贈りたかった俺は、レックスに頼み込んで彼女の両親に連絡を取ってもらったんだ。
驚かせたいので、ご両親が選んだことにしてくださいと頼み込んだ俺に、彼女のご両親も乗り気でいてくれたと聞いていたので心配はしていなかったが、実際に着てくれている姿を見ると胸が熱くなった。
キラキラとランプの灯を反射する金髪に、すらりとした長身の君には、そのスリムなシルエットの鮮やかな青色のドレスが似合うと思っていたんだ。光に照らされると輝く繊細な刺繍で裾を飾ったそのドレスは、彼女のために存在していると断言できる。完全に着こなしてくれていて、想像以上の美しさだ。
ざわりと卒業パーティーの会場にどよめきが起き、ダンスのために流れていた音楽がぴたりと止まる。
第一騎士団の礼服を身にまとった俺は、淡いオレンジ色のドレスを着たエミリーを腕にくっつけたまま階段を降りた。歩きにくくて仕方がない。
リナティエラ嬢はじっと俺を見つめてくれていた。
「リナティエラ・クラーク嬢、話がある」
「はい、承ります」
しがみついていた重しを外し、リナだけを見つめる。
「私、マシュー・ハワード伯爵令息は、リナティエラ・クラーク伯爵令嬢…」
リナの手に力が入ったのが分かった。ごめん、リナこの任務は今終わるから。だからどうか俺の事を嫌いにならないで欲しい。
「を、心から愛しています」
「は?」
「え?」
「ん?」
「…マ、マシュー様?」
「私は、騎士としての魂に誓って、あなただけを、心から愛しています」
騎士としての魂に誓ってというのは、俺たち騎士にとって最大級の誓いの言葉だ。この言葉を告げた時は、真実だけを口にしていると言う意味で、広く知られている。
一瞬の間があって、リナの頬が真っ赤に染まった。
「マシュー様?あの一体?」
「あなたは?不安にさせてしまったのはわかっていますが…あなたのお気持ちを聞かせて頂けませんか?」
「わ、私も心からお慕いしております」
「……よかった」
思わずぎゅっと抱きしめてしまったが、レックスをはじめとしたうちの隊員達が手を叩き出した事で、不思議そうにしながらも周りから拍手が沸き起こった。ああ、良かった。こんなくだらない任務のせいで彼女を失うのかと思った。
「ちょ!ちょっと待ちなさいよ!」
「リナ、信じてくれてありがとう」
「何言ってんのよ!?今、ここで、この女は婚約破棄されて、国外追放になるのよ?そして私が伯爵夫人になるの」
やっとこの女に言い返す事ができる。俺はリナを背中にかばうと、エミリーに向き直った。もう騎士のとりつくろった上品な喋り方も必要ないだろう。
「まずひとつめ、この女よばわりをするな。リナは伯爵令嬢で、お前は平民だ。身分をわきまえろ」
「はぁ?」
「ふたつめ、勝手に国外追放などと口にする権利はお前には無い。それが許されるのは国王陛下だけだし、陛下であっても貴族会議での承認がなくては不可能なことだ」
「で、でも」
「みっつめ、伯爵夫人になどなれるはずがないだろう。俺はリナを愛しているからな」
「何?何なの、これ?」
「もうひとつ追加だ。事実と異なる噂を勝手に流した事、絶対に許しはしない」
言いたかった事を、エミリーが我に返る前に全部言い切ってやった。俺は続けて騎士団の制服のポケットから、一枚の書状を取り出した。
「私、マシュー・ハワードは、王命によりエミリー嬢に近づいた。あくまでも第一騎士団10番部隊の任務としてだ」
ヴァルティア王国民なら誰もが知っている、王の押印付きの書状を高々と掲げる。周りの皆も食い入るようにその書状を見つめているのが分かった。
「あの…これが任務ですか?」
「ああ、エミリー嬢のスキルに疑いが掛けられていてな」
「スキル?」
「魅了スキルで商会での代金の踏み倒しや、貴族の令息をたらしこんで貢がせたりしていたようで、その調査を依頼された」
あっさりと暴露してやったエミリーの秘密に、あたりは一時騒然となった。
「そこで、魅了に耐性のある私が近づいた」
「で、でも私のことかわいいって言ったじゃない」
「ああ、かわいいのうみそだって意味なら言ったな」
ただ、お前の魅了にかかっているふりをするためだけにな。
「き、君を逃がさないって」
「逃がすわけがないだろう、必ず捕らえるんだから」
言い切った俺がすっと手を挙げると、隊員達がエミリーをぐるりと取り囲んだ。
「ああ、やっと任務完了だ」
「リナティエラ嬢と会えないからって、このひと月怖くて怖くて」
「これで隊長の機嫌が良くなる!!!」
「めでたい!」
「こんなにうれしい任務完了は初めてかも!」
嬉しそうに笑いながらもてきぱきとエミリーを捕爆して行く隊員達をじろりと見据える。
「お前ら…リナの前で何を余計な事を言ってるんだ」
「ひっ」
暗雲を背負った俺の袖を、リナの可愛い指がくいっと引っ張った。
「あの、私は今の隊員さん達の言葉で、本当に任務だったんだって実感できて…その…う、うれしかったです」
「リナッ!!!」
そう言ってくれたリナが可愛すぎて、思わずまたぎゅっと抱きしめてしまった。
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