生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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1261.馬の情報

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「そういえば、クレットさんは今日の先行部隊の報告会には行かなくて良かったんですか?」

 今頃は確実に報告会は始まって会議の真っ最中のはずだし、ここにいるって事は不参加なんだと思うんだけどね。でもちょっと気になってたんだ。

 クレットさんも先行部隊の参加者だからさ。

「はい、今回の報告会にはたくさんの方が参加するので、私は出席しなくて良いそうなんです」

 ちなみにいまの俺とクレットさんの会話は、シュリくんが同時進行でギュームさんとキースくんに伝えてくれている。

 そのおかげで橋渡し役の事を考えずに、普通にクレットさんと話せるんだよね。正直かなりラクだ。シュリくんに感謝しないとな。

「わざわざウィリアム隊長から、参加しなくて良いという指示がありまして…」

 私の参加の事まで気にかけてくれるなんて、さすがウィリアム隊長ですよねと続けたクレットさんは、誇らし気な笑みを浮かべている。

 クレットさんって、本当にウィリアムさんの事を慕ってるんだよね。あ、でも前にジルさんの事も褒めてたから、自分のいた隊の隊員の事を慕ってるのかな。

「たしかにウィリアムさんは、そういう細やかな気づかいのできる人ですよね」
「そうなんですよ!」

 嬉しそうに答えるクレットさんとウィリアムさんのすごさについて話していると、不意にギュームさんが不思議そうに呟いた声が聞こえてきた。

「…あれ?ハロルド様経由で…?」

 ああ、流れるようなシュリくんの通訳を聞いてるのに、そこにちゃんと気が付くんだ。さすがギュームさん。

「…アキト、ぼく、いっちゃだめなこと…いった?」
「ううん、大丈夫だよ」

 すこし焦った様子で俺を見つめてきたシュリくんに、大きく首を振ってから口を開いた。

「えっと…ハルは生まれつきってわけじゃないんですが、色々あって…最近になってハルは幽霊が見えて話せるようになったんですよ」
「そう…なんですか?」

 俺の言葉を疑ってるというより、いったどんな事をすればそんな能力が使えるようになるんだろうって考えてる感じだな。

「はい。詳しい話は…気になるようならハル本人に聞いて下さい」

 さすがに勝手に毒で寝たきりになった結果、復活したら見えるようになってたみたいですよーとは言えないからね。ここにはいないハルに丸投げだ。

「ウィリアム様がクレットの事を知っているのは…?」
「ああ、それはクレットさんが僕とキースくんの誘拐事件の時に情報収集を手伝ってくれていたからですね。幽霊が見えるハルが、クレットさんとウィリアムさんの橋渡しをした――んですよね?」

 途中で不安になってクレットさんに視線を向ければ、その通りですとすぐに答えが返ってきた。良かった、合ってたみたいだ。

「情報収集してくれてたんだ?」

 キースくんは初めて知ったと言いたそうな顔で、じっとクレットさんの立っている辺りを見つめている。視線がうろうろしてるから、多分俺とシュリくんの視線の先を見てるんだろうな。

「俺とキースくんを助けようと、アジトにも来てくれてたんだよ。俺達は寝てたから気付けなかったけどね…」

 しかも目覚めた俺達は、シュリくんと一緒に勝手に脱出したんだよね。うん、これは言わないようにしよう。

「そっか、クレット。僕たちを助けに来てくれてありがとう」

 ああ、キースくんは、きちんとお礼の言える良い子です。

「お役には立てませんでしたが…そう言って頂けて光栄です」

 騎士らしく格好良い敬礼をしながら、クレットさんはそう答えた。

「あーぼくがかべをこわしたからか…ごめんね、クレット」
「いえ、謝る必要はありません。素早い脱出、お見事でした」
「あそこはねーあまりにいやなばしょだったから」
「そんなにひどい場所だったんですか?」

 シュリくんの言葉に最初に反応したのは、予想通りギュームさんだった。

「うん、まりょくは…あんなひとたちのはぜったいいらないから、なくていいんだけどね。でもほかのうまたちにも、ろくなたべものわたしてなかったよ」
「…他にも、ウマがいたんですか?たちということは…複数?」
「うん。たしかぼくいがいに、5頭はいたねー」

 餌としてこちらの世界の馬は食べられない野菜とか残飯とか、そういうものしか与えられていなかったらしい。話を聞いたギュームさんは、一気に顔色を悪くした。
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