1,280 / 1,491
1279.【ハル視点】会議の参加者
しおりを挟む
「いなくなったそいつらは…実力のある冒険者パーティーだったんだな?」
もしその不自然に戻ってきていないという冒険者パーティーに実力がなかったなら、残念ながらムレングダンジョン内で魔物にやられてしまったんだろうなで終わっている話だ。
冒険者ギルドは、そういう点ではかなり割り切って運営されているからな。そうしなければやっていけないというのもあるんだが。
「うん、実力ももちろんだけど、評判も良かったみたいだよ。ただちょっと頭が硬過ぎたから、罠に掛かって盗賊に捕まってるかもって言ってたー」
ああ、正面から堂々と戦おうとするような奴か。
「捕まってるかもって言ってたんだな?」
「うん。冒険者ギルドの職員にはそう言われたよ。ちなみに深層の階にも行った事があるらしいしー」
深層の階に行った事のある冒険者パーティー…?
「…その冒険者パーティーというのは、サイクたちの所とは…違うんだよな?」
サイクの所のパーティーメンバーには何人か会ったが、サイクを含めて頭が硬いとは思わなかった。だが――それでも条件に当てはまっているだけに、少しだけ不安になった。
思わずそう尋ねてみれば、ウィル兄はぶんぶんと笑顔で首を振った。
「この報告をした時にファーガス兄さんが速攻で連絡とってたから、サイクたちのパーティーでは無いよーそれだけは確実」
「そうか…それは良かった」
サイクたちが無事な事ももちろんそうなんだが、もしあのパーティーでも敵わないような奴が盗賊団側にいるなら、かなり厄介だからな。
「つまり冒険者ギルドの人間が参加するのか?」
「うん、多分ギルマスと、それに冒険者も来るらしーよ」
すごく投げやりな言い方なのは、参加者が増える手配が面倒だからだろうか。
「そうか、分かった。俺は誰が会議に参加しても問題無い」
「本隊にも参加したいって言ってたよー」
「それは…俺じゃなくて父さんと兄さんが決める事だろ?」
「まあね。でもハルは反対じゃないって事だね」
「ああ、もし冒険者との間に立てというなら交渉ぐらいはやるよ」
「それは助かる」
冒険者と騎士ではやり方が違うからねとへらりと笑ったウィル兄は、でももういっこ問題があるんだよねーと続けた。
「問題?」
「そう。問題になるのは、あの盗賊団の転移の魔法陣なんだよねー」
「無事に使用できたのに…か?」
行って戻る事が出来た。それだけで確認は無事に終わった筈だと答えれば、ウィル兄はうーんと唸り声をあげた。
「あのさ、ハル。ムレングダンジョンの転移魔法陣の仕組み、思い出してみてー?」
そう言われた俺は、ウィル兄の言いたい事が分かってハッとした。
「そうか。普通なら踏破した階層までしか飛べないはずなのに、あの魔法陣では何の問題もなくいきなり99階層に飛べてしまうのか」
「そう。先行部隊の他のメンバーがどうなのかは知らないけど、俺は99階層まで潜った事ないんだけど、問題なく行けたからね」
それはたしかに大問題だな。
「ちなみにこれが俺の持ってた手帳型の魔道具ねー」
これは初めてムレングダンジョンに入る際に、入口で渡される手帳だ。
「元々70階層までは行ってたんだけどね…えーっと…どこだっけ…」
ぶつぶつと言いながら、ウィル兄はパラパラとページをめくっていく。
「あ、あった!ここ、見て」
ウィル兄の持つ手帳には、確かに到達階層99階としっかりと記載されていた。慌てて腕輪の中に収納したままだった自分の魔道具の手帳も取り出してみれば、そこにもはっきりと99階層の文字があった。
「あー…俺のも99階層になってるな」
「あ、ハルももっと浅い階層だったんだー?」
「まあな。50階層までしか行ってなかった」
「えー意外ー」
「…これは確かに問題になるな」
「あれを使わずに99階層に向かうと盗賊団に気づかれる確率が上がるけど、使って移動すると本隊に参加した全員に便利な魔道具だって気づかれるんだよねー」
どうしようと呟いたウィル兄は、面倒くさいよねーと眉間にしわを寄せた。うん、間違いなく面倒くさいな。
「そもそもあの魔道具って、設置場所の移動できるの?どうしてもってなったら破壊しても良いの?その場合何か悪影響は無いのー?」
立て続けに質問を繰り返すウィル兄に、俺はとりあえず答えた。
「そこは魔道具の専門家にでも来てもらって、一緒に調査してもらうしかないんじゃないか?」
今さら参加者が数名増えても関係ないだろう。そう思っての俺の提案に、ウィル兄はパッと笑顔になった。
「あ、そっか。うん、そうだね。最悪盗賊団が作った違法魔道具のためって言って、父さんに叩ききってもらおー」
たしかにそれなら処置は簡単にできそうだな。父さんが切るなら、周りも文句は言えなくなるはずだ。
もしその不自然に戻ってきていないという冒険者パーティーに実力がなかったなら、残念ながらムレングダンジョン内で魔物にやられてしまったんだろうなで終わっている話だ。
冒険者ギルドは、そういう点ではかなり割り切って運営されているからな。そうしなければやっていけないというのもあるんだが。
「うん、実力ももちろんだけど、評判も良かったみたいだよ。ただちょっと頭が硬過ぎたから、罠に掛かって盗賊に捕まってるかもって言ってたー」
ああ、正面から堂々と戦おうとするような奴か。
「捕まってるかもって言ってたんだな?」
「うん。冒険者ギルドの職員にはそう言われたよ。ちなみに深層の階にも行った事があるらしいしー」
深層の階に行った事のある冒険者パーティー…?
「…その冒険者パーティーというのは、サイクたちの所とは…違うんだよな?」
サイクの所のパーティーメンバーには何人か会ったが、サイクを含めて頭が硬いとは思わなかった。だが――それでも条件に当てはまっているだけに、少しだけ不安になった。
思わずそう尋ねてみれば、ウィル兄はぶんぶんと笑顔で首を振った。
「この報告をした時にファーガス兄さんが速攻で連絡とってたから、サイクたちのパーティーでは無いよーそれだけは確実」
「そうか…それは良かった」
サイクたちが無事な事ももちろんそうなんだが、もしあのパーティーでも敵わないような奴が盗賊団側にいるなら、かなり厄介だからな。
「つまり冒険者ギルドの人間が参加するのか?」
「うん、多分ギルマスと、それに冒険者も来るらしーよ」
すごく投げやりな言い方なのは、参加者が増える手配が面倒だからだろうか。
「そうか、分かった。俺は誰が会議に参加しても問題無い」
「本隊にも参加したいって言ってたよー」
「それは…俺じゃなくて父さんと兄さんが決める事だろ?」
「まあね。でもハルは反対じゃないって事だね」
「ああ、もし冒険者との間に立てというなら交渉ぐらいはやるよ」
「それは助かる」
冒険者と騎士ではやり方が違うからねとへらりと笑ったウィル兄は、でももういっこ問題があるんだよねーと続けた。
「問題?」
「そう。問題になるのは、あの盗賊団の転移の魔法陣なんだよねー」
「無事に使用できたのに…か?」
行って戻る事が出来た。それだけで確認は無事に終わった筈だと答えれば、ウィル兄はうーんと唸り声をあげた。
「あのさ、ハル。ムレングダンジョンの転移魔法陣の仕組み、思い出してみてー?」
そう言われた俺は、ウィル兄の言いたい事が分かってハッとした。
「そうか。普通なら踏破した階層までしか飛べないはずなのに、あの魔法陣では何の問題もなくいきなり99階層に飛べてしまうのか」
「そう。先行部隊の他のメンバーがどうなのかは知らないけど、俺は99階層まで潜った事ないんだけど、問題なく行けたからね」
それはたしかに大問題だな。
「ちなみにこれが俺の持ってた手帳型の魔道具ねー」
これは初めてムレングダンジョンに入る際に、入口で渡される手帳だ。
「元々70階層までは行ってたんだけどね…えーっと…どこだっけ…」
ぶつぶつと言いながら、ウィル兄はパラパラとページをめくっていく。
「あ、あった!ここ、見て」
ウィル兄の持つ手帳には、確かに到達階層99階としっかりと記載されていた。慌てて腕輪の中に収納したままだった自分の魔道具の手帳も取り出してみれば、そこにもはっきりと99階層の文字があった。
「あー…俺のも99階層になってるな」
「あ、ハルももっと浅い階層だったんだー?」
「まあな。50階層までしか行ってなかった」
「えー意外ー」
「…これは確かに問題になるな」
「あれを使わずに99階層に向かうと盗賊団に気づかれる確率が上がるけど、使って移動すると本隊に参加した全員に便利な魔道具だって気づかれるんだよねー」
どうしようと呟いたウィル兄は、面倒くさいよねーと眉間にしわを寄せた。うん、間違いなく面倒くさいな。
「そもそもあの魔道具って、設置場所の移動できるの?どうしてもってなったら破壊しても良いの?その場合何か悪影響は無いのー?」
立て続けに質問を繰り返すウィル兄に、俺はとりあえず答えた。
「そこは魔道具の専門家にでも来てもらって、一緒に調査してもらうしかないんじゃないか?」
今さら参加者が数名増えても関係ないだろう。そう思っての俺の提案に、ウィル兄はパッと笑顔になった。
「あ、そっか。うん、そうだね。最悪盗賊団が作った違法魔道具のためって言って、父さんに叩ききってもらおー」
たしかにそれなら処置は簡単にできそうだな。父さんが切るなら、周りも文句は言えなくなるはずだ。
513
あなたにおすすめの小説
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
姉の代わりに舞踏会に行ったら呪われた第三王子の初恋を奪ってしまった
近井とお
BL
幼少期、ユーリは姉によく似ていることから彼女の代わりに社交の場に出席することが多々あった。ある舞踏会の夜、中庭に姿を眩ませたユーリに誰かがぶつかってくる。その正体は呪われていると噂の第三王子であったが、ぶつかられたことに腹を立てたユーリは強気に接し、ダンスを踊った後、彼を捜している気配を感じてからかいながら立ち去る。
それから数年後、第三王子は初恋の令嬢を探し始めたが、それはユーリに違いなく……。
初恋の相手を捜す第三王子×軽口令息
贖罪公爵長男とのんきな俺
侑希
BL
異世界転生したら子爵家に生まれたけれど自分以外一家全滅という惨事に見舞われたレオン。
貴族生活に恐れ慄いたレオンは自分を死んだことにして平民のリオとして生きることにした。
一方公爵家の長男であるフレドリックは当時流行っていた児童小説の影響で、公爵家に身を寄せていたレオンにひどい言葉をぶつけてしまう。その後すぐにレオンが死んだと知らされたフレドリックは、以降十年、ひたすらそのことを悔いて生活していた。
そして十年後、二人はフレドリックとリオとして再会することになる。
・フレドリック視点は重め、レオン及びリオ視点は軽め
・異世界転生がちょいちょい発生する世界。色々な世界の色々な時代からの転生者の影響で文明が若干ちぐはぐ。
・世界観ふんわり 細かいことは気にしないで読んでください。
・CP固定・ご都合主義・ハピエン
・他サイト掲載予定あり
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています
和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です!
聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。
ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。
森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ?
ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。
【完結】Restartー僕は異世界で人生をやり直すー
エウラ
BL
───僕の人生、最悪だった。
生まれた家は名家で資産家。でも跡取りが僕だけだったから厳しく育てられ、教育係という名の監視がついて一日中気が休まることはない。
それでも唯々諾々と家のために従った。
そんなある日、母が病気で亡くなって直ぐに父が後妻と子供を連れて来た。僕より一つ下の少年だった。
父はその子を跡取りに決め、僕は捨てられた。
ヤケになって家を飛び出した先に知らない森が見えて・・・。
僕はこの世界で人生を再始動(リスタート)する事にした。
不定期更新です。
以前少し投稿したものを設定変更しました。
ジャンルを恋愛からBLに変更しました。
また後で変更とかあるかも。
完結しました。
《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。
かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
分厚いメガネ令息の非日常
餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」
「シノ様……素敵!」
おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!!
その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。
「ジュリーが一番素敵だよ」
「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」
「……うん。ジュリーの方が…素敵」
ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい
「先輩、私もおかしいと思います」
「だよな!」
これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる