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1296.【ハル視点】報告会開始
「失礼いたします」
一気に集中したたくさんの視線を気にした様子も見せず、ボルトは流れるような綺麗な礼を披露してみせた。相変わらず見惚れてしまうぐらいの美しい礼だな。
案内役のボルトの背後には、俺の予想通りに父さんの姿があった。今日は外部の客人がいるからかきっちりと正装をしているようで、実の父ながら黙って歩いているとなかなかの迫力だ。
それぞれが敬礼や目礼、お辞儀などをして待機する中、父さんは悠々と室内を歩いて行く。一番奥にあるテーブルの前まで移動した所で、父さんはすぐに口を開いた。
「顔をあげてくれ」
声かけに全員が顔を上げると、部屋の中の全員をゆっくりと見渡した。
「今日は急な呼びかけにも関わらず、こうして集まってくれた事に感謝する。ウェルマール辺境領伯、ケイリー・ウェルマールだ」
初対面の人も、既に顔なじみの人もまずは座ってくれ。うっすらと笑いながらそう続けた父さんの言葉に、少しだけ部屋の空気が緩んだのが分かった。こういう所の調整が、父さんはうまいんだよな。
俺達は言われるがままに、全員が移動を始めた。父さん以外は特に席順は決まっていないんだが、自然と領主組と客人組で別れて座る事になりそうだ。
全員が腰を下ろした所で、ボルトが口を開いた。
「それではただいまより、先行部隊の報告会を始めさせていただきます」
ボルトの言葉で、部屋の空気がピリッと引き締まる。
「本日の進行役は、わたくし、執事長のボルトが務めさせていただきます。みなさまどうぞよろしくお願いいたします」
進行役がボルトなのは安心だな。ジルさんはいそいそと隅の方でノートとペンの用意をしてくれているから、書き留める係をやってくれるんだろう。
「まず初めに、皆様のご紹介をさせていただきます」
どうやらまずは、それぞれの紹介を行うようだ。俺達は待っている間に個人的に自己紹介や挨拶をし合ったが、父さんはまだ初対面の相手もいるからだろう。おそらく初対面なのはマルクさんとコーデリアさん――かな。その二人だけの紹介をすると緊張させてしまうから、それならいっそ全員の紹介をする。そんなボルトの気づかいだろう。
父さんと兄さんたちは、それぞれウェルマール領の領主、騎士団総隊長、騎士隊隊長という役職と共に紹介された。
ちなみに俺はというと、トライプール騎士団所属の騎士だが、現在は任務の関係で冒険者としても活動していると紹介された。
事前にどこまで話して良いかをウィル兄経由で聞かれていたから、特に驚きはしなかった。それに冒険者と騎士を兼任していることは、重要な機密事項というほどの事でもないからな。ここにいる人達にまで隠さなくて良いだろう。
魔道具技師のマルクさん、ギルマスのリヤン、冒険者であるルピカさんとコーデリアさんについては、しっかりと事前に調査していたのかそれぞれの功績や得意な事の説明と共に紹介された。
うん、さすがボルトだな。紹介された本人たちはすこし照れくさそうだったが、そこは我慢してもらうしかない。
ダンとジーラル、ネルバに関しては、ウェルマール騎士団の騎士団員で今回の調査に向かった隊員だと説明された。
ジーラルとネルバはかなり緊張している様子だったが、ダンはさすがにこういう場にも慣れているのか落ち着いた反応だった。
ムレングダンジョンの異変について話す前に、まず話は何故唐突に牙蛇盗賊団のアジトに突入したのかを説明する必要がある。そもそもアジトに踏み入っていなければ、あの転移の魔法陣も発見できなかったからな。
その説明は絶対に必要だと、ボルトも考えたんだろう。
「牙蛇盗賊団のアジトに向かった理由は、領主一家の末の弟であるキース様と、そちらにいらっしゃいますハロルド様の伴侶候補のアキト様が攫われたのがきっかけでした」
ボルトはできるだけ感情を込めずに淡々と説明をしてくれているが、その内容があまりにも衝撃的だったんだろう。今初めてその情報を聞いたらしいギルマス、ルピカ、コーデリアとマルクは、大きく目を見開いて固まってしまった。
これだけ驚いてくれるということは、俺達の情報統制は完璧だったんだな。そんな事をつい考えてしまった。
一気に集中したたくさんの視線を気にした様子も見せず、ボルトは流れるような綺麗な礼を披露してみせた。相変わらず見惚れてしまうぐらいの美しい礼だな。
案内役のボルトの背後には、俺の予想通りに父さんの姿があった。今日は外部の客人がいるからかきっちりと正装をしているようで、実の父ながら黙って歩いているとなかなかの迫力だ。
それぞれが敬礼や目礼、お辞儀などをして待機する中、父さんは悠々と室内を歩いて行く。一番奥にあるテーブルの前まで移動した所で、父さんはすぐに口を開いた。
「顔をあげてくれ」
声かけに全員が顔を上げると、部屋の中の全員をゆっくりと見渡した。
「今日は急な呼びかけにも関わらず、こうして集まってくれた事に感謝する。ウェルマール辺境領伯、ケイリー・ウェルマールだ」
初対面の人も、既に顔なじみの人もまずは座ってくれ。うっすらと笑いながらそう続けた父さんの言葉に、少しだけ部屋の空気が緩んだのが分かった。こういう所の調整が、父さんはうまいんだよな。
俺達は言われるがままに、全員が移動を始めた。父さん以外は特に席順は決まっていないんだが、自然と領主組と客人組で別れて座る事になりそうだ。
全員が腰を下ろした所で、ボルトが口を開いた。
「それではただいまより、先行部隊の報告会を始めさせていただきます」
ボルトの言葉で、部屋の空気がピリッと引き締まる。
「本日の進行役は、わたくし、執事長のボルトが務めさせていただきます。みなさまどうぞよろしくお願いいたします」
進行役がボルトなのは安心だな。ジルさんはいそいそと隅の方でノートとペンの用意をしてくれているから、書き留める係をやってくれるんだろう。
「まず初めに、皆様のご紹介をさせていただきます」
どうやらまずは、それぞれの紹介を行うようだ。俺達は待っている間に個人的に自己紹介や挨拶をし合ったが、父さんはまだ初対面の相手もいるからだろう。おそらく初対面なのはマルクさんとコーデリアさん――かな。その二人だけの紹介をすると緊張させてしまうから、それならいっそ全員の紹介をする。そんなボルトの気づかいだろう。
父さんと兄さんたちは、それぞれウェルマール領の領主、騎士団総隊長、騎士隊隊長という役職と共に紹介された。
ちなみに俺はというと、トライプール騎士団所属の騎士だが、現在は任務の関係で冒険者としても活動していると紹介された。
事前にどこまで話して良いかをウィル兄経由で聞かれていたから、特に驚きはしなかった。それに冒険者と騎士を兼任していることは、重要な機密事項というほどの事でもないからな。ここにいる人達にまで隠さなくて良いだろう。
魔道具技師のマルクさん、ギルマスのリヤン、冒険者であるルピカさんとコーデリアさんについては、しっかりと事前に調査していたのかそれぞれの功績や得意な事の説明と共に紹介された。
うん、さすがボルトだな。紹介された本人たちはすこし照れくさそうだったが、そこは我慢してもらうしかない。
ダンとジーラル、ネルバに関しては、ウェルマール騎士団の騎士団員で今回の調査に向かった隊員だと説明された。
ジーラルとネルバはかなり緊張している様子だったが、ダンはさすがにこういう場にも慣れているのか落ち着いた反応だった。
ムレングダンジョンの異変について話す前に、まず話は何故唐突に牙蛇盗賊団のアジトに突入したのかを説明する必要がある。そもそもアジトに踏み入っていなければ、あの転移の魔法陣も発見できなかったからな。
その説明は絶対に必要だと、ボルトも考えたんだろう。
「牙蛇盗賊団のアジトに向かった理由は、領主一家の末の弟であるキース様と、そちらにいらっしゃいますハロルド様の伴侶候補のアキト様が攫われたのがきっかけでした」
ボルトはできるだけ感情を込めずに淡々と説明をしてくれているが、その内容があまりにも衝撃的だったんだろう。今初めてその情報を聞いたらしいギルマス、ルピカ、コーデリアとマルクは、大きく目を見開いて固まってしまった。
これだけ驚いてくれるということは、俺達の情報統制は完璧だったんだな。そんな事をつい考えてしまった。
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