僕が過去に戻ったのは、きっと教師だったから

たなかみづき

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鐘の音が鳴る頃に

第21話

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 その後は何事もなく練習は続いた。里帆も葵も伴奏を交互にやってくれている。僕が女子の方で練習するときも、喧嘩をしているようには見えない。合唱祭まで、僕らは一ヶ月を切っていた。

「そろそろパート別じゃなくて、男女で合わせてみようよ」

 光輝が提案した。僕らは今日、放課後の練習を休みにした。最近では毎日のように残り、習い事や用事がある子を除いて、全員が練習に参加してくれていた。今日は、僕と伴奏者の春香、実行委員の光輝と葉月で、これからの打ち合わせをすることになった。

「いいと思う。男子はみんな、ほぼ完璧だと思うよ」
 僕がいうと、葉月が対抗する。
「女子だってみんなすごく上手だよ、指揮者も伴奏者も男子の方ばっか行くのに!」

 ピアノを弾ける生徒が、男の子の中にはいなった。そのため本格的なパート練習に移行してから、春香と僕は男子の練習に参加する事が多くなっていた。

「ごめんごめん、男子伴奏者いないからさ」
「指揮者は関係ないよね」
 葉月は笑いながら言っていた。
「それで、葵さんと里帆さんは大丈夫なの?」
 春香が心配そうに葉月に聞いた。
「喧嘩とか、この間みたいな言い合いはしてないけど、少し空気が悪いかも」
 葉月は不安そうに言った。
「葵がピアノを弾いてくれてる時、少し間違ったり、ミスをすることがあったんだけど、その時にくすくす笑ったり、ヤジが飛んだりしてて…」

 あんまりそういうのは良くない。僕が見ている限りでは、そう言ったことはないように見えたが、女子だけになるとそういうこともあるのだろう。

「わかった、これからは一緒に練習して、そういうことがないようにやっていこう。里帆もそれだけピアノをやりたいと思っているだけだと思うから」

 明日から僕らは男女合同で練習することになった。

 音楽室を使える日は限られている。朝、昼休み、放課後、三つの時間が学校で分割される。この学校では音楽室が二つあったので、学校全体の十二クラスが使うとなると、二日に一回の練習が目安だった。それと、毎週金曜日の音楽の授業で練習することができる。

 僕らは明日の放課後に音楽室を使うことになっていた。
 次の日の放課後、音楽室に生徒が集まった。
 伴奏は当然だが春香が行った。今日が最初の合わせにもかかわらず、ものすごい完成度のものになった。歌い終わった後、クラス中が顔を合わせて感動していた。男子も女子も細かい修正は必要なものの、二組の練習に参加していた林先生も絶賛するものとなった。

 その日の練習で、僕は指揮者として全体を見ていたが、葵と里帆が悪い空気になってしまうということはなかった。これからは、男女合同の練習が増えていくので、少しだけ安心した。
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