物語を(あるいは、その本質としての哲学的見解)

ゼクウ

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悪者とは何か?

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花田と瓜生さんが話している。
花田は35になる。2年前に会社を辞めて、今は毛糸を編んで生活している。離婚していて、2人の娘がいるが、もう10年会っていない。
瓜生は15歳だが、偉大な発明家の息子で、遊びまわっているらしい。雑誌のフライデーを毎週欠かさず読んでいる。
花田「瓜生。僕が悪者だという理由を教えてくれないか?」
瓜生「花田さん。あなたは毛糸を編んでいるのは自分のためだと言いましたね。だからですよ」
花田「待てよ!瓜生!働くのは自分のためじゃないのか?生活するためだろ?」
瓜生「生活ですか!そんなもの捨ててしまえよ!花田さん!」
花田「瓜生。君は子供だな。呆れたよ。君はあれだな。僕が人生を失敗して、落ちるところまで落ちるのを楽しんでいるんだろう?」
瓜生「なんてことを言うんです!僕は花田さんのためを思って!」
花田「そこだよ!瓜生。君は俺のためを思っているのだろう。それは否定はしない。だがね?俺の人生は俺が決めるのだ。人のためってやつは、押しつけだよ。だから、俺みたいな生き方が、正しいのさ」
瓜生「聞く聞かない、は花田さんの自由です。ただ、花田さん。あなたの商品を買ってくれている人は、喜んでいる。そうでしょう?」
花田「なるほどね。結果的に俺は人のためにやっているってことか?」
瓜生「そうですよ!それなのに、あなたは心にもないことを言う」
花田「自分のためにやっているのは事実さ。それは曲げられないね。だから、客の願いなんて聞かないさ」
瓜生「あなたに愛はあるのか?」
花田「知らん」
瓜生「僕はなんと言われようと、あなたを変えたい」
花田「やってみな。やるのを止めはせんさ」
瓜生「人から愛されるコツを知っていますか?」
花田「知らん」
瓜生「人を愛することです」
花田「そういうのは、もういいんだよ。少年。人間ってのは、複雑なんだよ」
瓜生「娘さんに会いたくないんですか?」
花田「興味ないね。愛は終わった」
瓜生「愛は終わらない」
花田「いい加減にしろ」
瓜生「愛していない?」
花田「愛はない」
瓜生「感情的になるってことは?まだ心動かされるものがあると」
花田「なあ?少年。人間の心は複雑だと言ったろう。これ以上の話は無意味だぜ」
瓜生「あなたは本当は娘さんを愛している。でも、あなたは恐れている。娘さんから拒絶されることを」
 花田は黙って、腰をあげる。店を出る。1人残された瓜生はつぶやく。「父さん」その声は、どこか喜びに震えていた。瓜生ははっきりとわかったのだ。父が自分を愛していることを。
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