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光の行く末
しおりを挟む僕は小さい頃から不思議な白い珠が見える。
時々現れてなにを意味しているのかその頃の僕は知らなかった。
先生にも聞いたが何も見えないと言われるだけ。僕にしか見えていないようだ。
ある時近くに現れたので触ってみた。
するとなにか感情のようなものが自分の頭の中に溶け込んでくる。
はっきりとはしないがとても悲しく後悔しているようななんともいえない気持ちで包まれた。
そして光の珠は泡のように消えた。
他にも色々な光に触った。
恨み、憎しみ、辛さ、喜び、優しさ、これは人間の気持ち、しかしどれも自分にはないものばかり。
まるで急な別れでも来たのかのような気持ちばかりだった。
僕には両親がいる。だけど父親はいつも帰りが遅くなかなか帰ってこない。よく甘い匂いをつけて帰ってくる。僕のことを煙たがっていたしお母さんに怒鳴り散らして暴力も奮った。
そんなお父さんでも僕には1人だけのお父さんであり、お母さんと仲良くして欲しいといつも泣いていた。
お母さんは働き者だ。
いつも働いていて休んでいるのかさえ分からない。
僕に笑顔で大丈夫と言ってくれる
それだけで僕は幸せだった。
ある時お母さんが倒れた。
「過労だ」
それを知ったお父さんはここぞとばかりに家を捨て、離れていった。
お母さんは入院した
僕は雨の日も風の日も休むこと無くお母さんのいる所へ毎日通った
しばらく通っていたある日
寝ていたお母さんは白く光り始め体から白い珠が出てきた。
僕は恐る恐る触った。
気持ちが頭に入ってくる。
今までないくらいはっきり伝わってくる。家族だからだろうか?そんなことはどうでもいい。
僕は泣いた。
これはお母さんのきもちなんだ。なんで安心してるの?僕はこれからどうすればいいの?お母さんいかないでよ。
"人は自分のためにしか生きていない"
そして母から出た光は消えた
病室に鳴り響く心電図の音。
お母さんの体は回復することなく息を引き取った。
光の意味を知った瞬間だった。
孤独を知った瞬間でもあった
それから長い年月が経った
俺は孤児院に引き取られ、今年で22歳になる。
よく周りからは根暗だ!とか怖い!とかいわれるが関係ない。ただ生きる意味を無くして淡々と生きているだけなのだから。
それと関係なく光は何度も僕の前に現れた。どうやら体から出た光の珠は体に戻すことができれば意識が戻る。
戻らなければ死ぬ。
つまり死という運命に近づくと体が光り、昏睡状態になると光の珠が体から飛び出るらしい。
だがもうそんなことはどうでもよくなり俺の生活は
ただ働いていて食べて寝るの繰り返しだった。
ある日、天気予報を見ていなかったのが運命を変えた。
俺は傘を忘れた。
「朝いい天気だったから予報見てなかったな。駅からあるいて家まで15分走れば5分ってとこか。」
「傘。使いますか?」
突然話しかけてきた人は
綺麗なロングヘアーに白いワンピース。絵に書いたような美人だった。
俺はついつい傘を受け取ってしまった。
「あっ。あっ」
俺があたふたしてる間に彼女はもう一つの傘を使い颯爽と歩いていってしまった。
僕はその晩ずっと彼女のことが頭から離れなかった。
次の日は気持ちのいいほど晴れた。
だが俺は傘を持ち家を出る
「あの人にもう一度あって礼しないとな。」
会社終わり。同じ時刻の電車で帰る。駅に着いてもそれらしき人はいなかった。
「いるはずないか。」
「あの~。」
「うわっ!」
後ろから昨日の人が話しかけてくる。
ビックリして後ろに転んだ。
「だ、大丈夫ですか?」
「いえ!こちらこそびっくりしてすいません!」
すぐに立ち上がりパタパタとズボンをはたく。
「あっ!あの!昨日はありがとうございました
あの時お礼言えなくてごめんなさい」
俺は手に持っていた傘を彼女に渡す。
「いえいえ。困った時はお互い様ですから」
ニコッと笑う。
そのとき俺の顔はどうだっただろうか。ものすごく暑かった気がする。
"グゥゥゥ"
どうやら彼女も暑いらしい。顔を真っ赤にしてごめんなさいと恥ずかしそうにしていた。
この時なぜ俺はこんな事を言ったのか。自分でも勇気を振り絞ったと思う。
「ご飯。ご馳走させてください
困った時はお互い様ですよね!」
「じゃあ。ご馳走になろうかしら」
髪を耳にかけて彼女は笑う。
その答えに驚いた俺は舞い上がった。
それから彼女とご飯を食べながらいろんな話をした。
いままで人と話していなかったぶん、話している時間はとても幸せで心が洗われるようで愛しい時間になった。
彼女とはいろんな話をして気が合い、次第に何度もご飯を行くようになり時間を重ねる内に2人は恋に落ちた。
そして2年後。天からの贈り物も授かり2人は永遠の絆で結ばれた。
「もうすぐ生まれるのか」
「ええ。早く顔が見たいわ」
「あと少し頑張ろう!」
そして長い戦いの末。新しい命が生まれ落ちた。
感動の瞬間。光を見た。
「え...!?」
その光は明らかに彼女の体から発せられていた。
医者「母体が危ない。すぐに手術を!」
俺は神に祈ることしかできなかった。なんて無力なんだ。
彼女の手術は短かったが俺には無限にも感じた。
終わるとすぐに近くに駆け寄った。
医者「お母さんはもともと体が弱いそうですね。体力が戻るかどうか。」
「そうですか。」
俺は彼女の手を握り必死に呼びかけた。
その呼び掛けは虚しく次第に彼女の体から光の珠が浮かび上がる。
「おい...やめろよ!
もどれよ!戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ!!!!!」
光の珠はゆっくり上がる。
「...!?
触れば、また、俺は...」
そう思っているうちに光の珠が上に。
ついとっさに触ってしまった。
そこで頭に入ってきたものは。
愛情そのものだった。
生きていて初めてこんなにも暖かい感情を読み取った。
「これは。俺に向けているのか。
自分がこんな状態なのに...」
涙が止まらなかった。 どうしていいかも分からずただ手を握り泣いていた。
「頼む...戻ってくれ。
もう、独りにしないでよ。」
すると光の珠が変化し、目の前に広がり形は留めていないがそれは彼女の姿によく似ていた。
「私とあなたの子、その未来に私はいないけれど、どうか私の分まで幸せに。あなたはもう1人じゃない」
「あ゙あ゙ッ、」
光はゆっくりと形を失い消えていった。
そのときには自然と涙は止まり彼女を見届けていた。
5年の時が経った。
あれから光の珠は見ることがなくなり今は子供と2人暮らし。
あの光の珠を見る能力は恐らく神様が不幸で波乱な人生を送る運命にあった俺にさずけてくれた能力なのかもしれない。
幸せになったことでその能力は消えた。
子供も5歳になりなんとか1人で育てていけてる。元気な男の子だ。
すこし君に似ているかな。
「おとうさーん」
「んー?なんだ?お父さんと遊ぶか?」
「なんでお父さん白く光ってるの?」
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