対人恐怖症の私に恋は出来ますか?

波湖 真

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2、鏑木家の双子

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たすけて、、、、。
由梨は優司の伸ばされた手が自分に向かってくる恐怖から逃れる為に走った。レベル2だとはわかっていてももう自分自身ではどうにもならないのだ。闇雲に走り足がもつれて転ぶと言うところで、ガシッと腰を掴まれて抱きしめられた。

「ハァハァハァ、、、、姉さん、、、」

後ろから海斗の声を聞いてやっと由梨の足は止まり海斗にもたれかかった。

「か、、か、い、と、、、。わ、わたし、、また、、、変なことを、、、」

由梨の瞳からは大粒の涙と嗚咽が漏れはじめていた。由梨の泣き顔に海斗はクソッあの生徒会長のせいで由梨が泣いたじゃないかと怒りおさまらぬ気持ちを隠して二人は近くにあったベンチに座り込んだ。一通り泣いてスッキリした由梨は海斗がくれたハンカチを手に恥ずかしそうに俯いた。

「ごめんね、海斗。私また失敗しちゃったかな?また、変な子だと思われたかな?大丈夫かな?」

由梨は先程の自分の行動があまりにも非常識だったなと今更ながら恥じ入り愚痴る。
あの話し掛けてきた秋里という生徒会長はとても優しそうだったのにと後悔がおしよせてきたのだ。優司は日本人にしては背が高く165センチの自分でも見上げるようだったので多分180センチはあるように見えた。黒髪黒目の整った顔立ちがにっこりと笑いかけていてくれたのにと逃げ出してしまった自分に落ち込んだ。これでは友達なんて絶対無理と心底がっかりしてしまった。

「姉さん、今日はまだ初日ですし、雰囲気だけ慣れるつもりが突然馴れ馴れしく話し掛けてきたあの男が悪いんですよ。姉さんは全く、これっぽっちも一ミリも悪くありませんよ!」

自他共に認めるシスコンの海斗は由梨が自分以外に気を止めた事が気に食わず先程の生徒会長を思い出す。優司はかなりの美形だし、最近は身長も伸びもうすぐ175センチになる海斗でさえ少し見上げるくらいは背も高く、顔立ちも何処かのアイドルのようだった。
パーティとか言っていたのできっと家柄も良いのだろう、、、。

うん、由梨には近づけさせるのはやめよう!

海斗は優司を危険人物と認定した。まだまだ由梨は自分だけが守りたいのだ。

「大丈夫だよ、ねえさん。突然触ろうとしたあいつが非常識なんだよ!ああいうのには近づかない方がいいからね!ああいうのは絶対不躾で失礼な奴だから!わかった?」

海斗のあまりの剣幕に自分の涙も引っ込み由梨は頷いた。

「よし、で?これからどうしようか?まだそんなに時間は経ってないけどホームルームは始まっちゃったかな?途中で教室に入るのは嫌だよね?もう帰ろっか?」

海斗は由梨の為とこの学園に入るよう勧めた両親にも怒りをぶつけるように不満を口にする。

「父さんと母さんはこの学園で出会って結婚したからって無理矢理僕達をここに入学させなくても良かったんだよ!まだ姉さんには負担が大きすぎるんだよ!まったく!」

両親は由梨の心配はしているが実のところ人間恋に落ちれば変わると思っているらしく海斗がどんなに反対してもこの学園に入ることを進めていたのだ。この学園の卒業生でここで出会い恋をした両親は幻想を抱いているんだと海斗はここには居ない二人に愚痴る。

「海斗、、ごめんね。でも、もう大丈夫だから、、、。海斗までここで帰るとお友達も出来ないわ。私はここで待ってるから貴方だけでも教室に行って来ていいのよ?」

怒っている海斗を何とか宥めようと一生懸命な由梨は弟の海斗から見てもとても可愛らしく、こんな由梨はとても頼りなく見えて海斗は由梨の案を却下した。

「僕のことはどうでも良いんですよ。後で幾らでも友達は出来ますから。今日は帰りましょう。姉さんを一人にするなんで僕は絶対に嫌ですよ。」

そういうと携帯を取り出し家に電話をし、車の手配をテキパキと済ますとサッと立ち上がって由梨に手を差し出した。

「さぁ今日は帰りましょう。姉さんが嫌なら明日からだって学校なんて来なくても良いんですよ?恋なんてそう上手く行きませんし、姉さんの負担が増えるだけですよ。」

海斗は由梨を優雅にエスコートしながら更にもう一箇所に電話をかける。それは職員室で姉が体調を崩したので早退すると伝えたのだった。
由梨は確かに今日はもうクタクタだったので大人しくエスコートされたが両親がしきりに勧めてくる恋愛にはほのかな憧れを抱いている。もちろん今のままの自分には夢また夢だとわかってはいるが両親の馴れ初めを聞くたびにいつかは私もしてみたいという期待も膨らむというものだ。それにはまず学園に通わなくては始まるものも始まらないと心配と顔に書いてある海斗を説得して明日からも学校に来てみようと決意を固めたのだった。
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