対人恐怖症の私に恋は出来ますか?

波湖 真

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12、連絡先

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由梨は早速優司の連絡先を登録しようとしてみたが上手くできず結局海斗に登録してもらった携帯をじっと見つめていた。
携帯には現在家族と優司のみが登録されており、その優司の電話番号を表示させたままかれこれ二時間は通話ボタンをタッチ出来ずに見つめていたのだ。

やっぱり始めから電話は難しすぎるわ。メールから送ってみようかしら。

一旦テーブルに携帯を置くとメールでは何を書いて送れば良いのだろうと考え始めた。

「初めましてはおかしいわよね。由梨です。というのは図々しいかしら?試しに送ってみました。じゃついでみたいだし、、、、。メールも難しいのね。」

由梨は取り敢えずちゃんと送れることを確認するために海斗にメールを送ってみた。

ねぇ海斗、秋里様になんて送ればいいのかしら?

直ぐに海斗から返信があったが内容は素っ気ないものだった。

知らないよ。テストとでも書いて送ってみれば?

「もう!冷たいんだから!」


海斗は今なったメールの返信を送り、失礼しましたと目の前に座っている優司に謝った。

「会長、すみませんでした。」

「いや、大丈夫だよ。今のメールはもしかして由梨ちゃんからかな?」

「まぁ。それより会長の意図をはっきりお聞きしてもいいですか?」

「意図?」

「ええ。まずは何故僕達のバディになったのか?うちのクラスの須藤健に聞いたところ貴方は決して他人ために無償で動くような人間ではないとの事ですが、僕達のいえ姉に関しては少し違うようなので確認したいんです。」

「そうだなぁ。海斗くんには直ぐバレちゃうと思ってたからいいんだけど、はっきり言ってここまで早くそして単刀直入に聞いてくるとは思わなかったな。」

そういって優司は普段の優しげな微笑みを消して素の黒い笑顔を海斗に向けた。

「はっきり言うと君には然程興味はないかな。由梨ちゃんにも入学式までは噂程度の興味だったよ。あの鏑木の双子が日本に来た程度のね。但し、入学式で君達を見かけて、声掛けて、逃げられて、気がついたら物凄い興味を惹かれてしまったんだよ。多分冷静に考えると一目惚れかな?一番妥当な言葉は。」

「えっ?一目惚れ?貴方が?姉に?」

「うん。それが一番しっくりくるよ。君が由梨ちゃんに依存されているのを見るとムカムカするし、俺を頼れと言いたくなるし、君以外の人間なんて近寄らせたくないしね。それに由梨ちゃんの笑顔が見たいし、声が聞きたいし、話したいと思うよ。だから、連絡先を渡したし、君にメールが来るとさっきから悔しくてたまらないさ。」

そう言ってニヤリと笑った。

「言っておくけど、俺の連絡先を知ってるのは副会長の田宮と君の姉の由梨ちゃんだけだよ。俺が由梨ちゃんの依存を君から奪うから君も早めにシスコンを卒業しとくといいよ。」

海斗は優司の黒い笑顔を見て、これは本気だと思い、近いうちに姉はこの人に奪われるかも知れないという気持ちになったがそれは少しの安堵感を感じさせた。優司はシスコンと言っているが海斗は決して由梨を縛るつもりはなく、一緒にいるのが当たり前で面倒見るのが当たり前で、その当たり前が出来ない間に由梨が倒れたことでの後悔と責任を感じていたのが正しい気持ちだったのだ。

「わかりました。姉が貴方を認めるのなら邪魔はしません。きっとしようとしたら僕が排除されるのでしょう?但し、姉のペースで進めてくれることを希望します。何せ恋愛どころか友達さえ初めての人なんで、、、。」

海斗は如何に由梨が対人経験が少なく更にその方面ではかなり鈍くて奥手である事を話して後は優司に任せる事にしたのだった。

後は若いお二人にって感じか。

海斗は少しの不安と寂しさを感じながらも家族では与えられない姉の幸せを祈った。


由梨はたっぷり午前中一杯文面を考えてやっとお昼になって一通のメールを優司に送ることができたのだった。

おはようございます。
携帯電話を購入しましたので、連絡先を連絡させて頂きます。

お昼にやって来た海斗に文面を見せるとダメ出しされたのだった。

「姉さんお昼におはようだし、連絡は重なっちゃうし、業務連絡みたいだし、、、残念メールだね。」

優司からはメールをもらえた事に対するお礼とすごく嬉しいと帰って来たのがせめてもの救いだった。

「メールも家族以外に送るのって難しいのね。」

そういうと由梨はまた午後一杯かけてメールの返信の返信を考えたのだった。
ただその顔はとても楽しそうで恐怖症の症状が全く出ていない事に由梨自身はまだ気づいていなかった。
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