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第ニ章 婚約
16 ゲームと現実
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「と、ところでアカネがやっていたゲームについて覚えている事を教えてくれないか?」
二人でしんみりした雰囲気を消し去るようにセイジがアカネに尋ねた。
アカネも涙を手の甲でグイッと拭うと笑顔を作ると答えた。
「そうだね。私が知ってる事を話すね。ゲームタイトルは『賢者の石を抱きしめて』で平民のヒロインが学園に入学するところから始まるの。」
「、、、とこんな感じでヒロインが嫌な奴なのよ~。攻略対象を踏み台にして行くんだもん。だから、元々私は悪役令嬢のクリスティーナ推しだったのよね~。」
「ふ~ん。それで今っていうかゲーム内の過去については何かあったのか?」
「本筋ではないんだけど、回想とかでいくつかのエピソードはあったんだよね。例えば、、、。」
アカネの言ったことを、二人で整理してみるといくつかわかったことがあった。
●クリスティーナの両親や兄はクリスティーナに興味はなくいつもクリスティーナは一人でいた。
●クリスティーナは使用人に甘やかされて育ったのでマナーは完璧だが、勉強は出来ない。
●クリスティーナはハロルドに一目惚れして追いかけ回していた。
●ハロルドは俺様王子でクリスティーナの兄ルーカスを奴隷のように従えていた。
●ハロルドとクリスティーナは婚約に反対した者からの手紙でクリスティーナが手を切った負い目から婚約した。
●婚約披露パーティーでクリスティーナが自分が一番ハロルドに相応しいと宣言する。
●ハロルドは手に怪我をした事を言われ仕方なく婚約したので、クリスティーナを嫌っている。
「クリスティーナに興味がなくて婚約破棄されたクリスティーナを邪魔者の様に修道院に入れた両親や婚約破棄に手を貸した兄のルーカスとは今は大の仲良し家族にしたから追放はないかなと思ってるんだよね。
あと、ちゃんと勉強させたから学園でも淑女科じゃなくて高等科に入れると思うの。
王子に一目惚れはしたけど、家族に注意されたらすぐに冷静になって今は同志とか呼んでるし、どちらかというと王子に呼ばれてるよね?」
「そうだな。ハロルドは俺様王子にはならなかったし、俺の影響で上下のない親友としてルーカスと接してるし、婚約もそんな怪我がなくても決まったからなぁ。おい!結構変わってかないか。過去の話、、、。」
「そうなんだよね。だから、私もクリスティーナは怪我しないと思っちゃって、、。今朝の怪我から守れなかったんだ。」
「ゲームの怪我ってどんな怪我?」
「本当にちょっと手を切ってあとも残らないくらいの怪我だったはず、、。でも、包帯で大袈裟に見せて婚約まで漕ぎ着けたんだよね。悪役令嬢でしょ?」
「成る程、、それが爆弾に骨折か、、、。今後が心配だな。この後の宣言はどうなんだろうな。」
「確かにね。宣言は煮え切らない王子を見て不満をもったストーン家にクリスティーナが言い放つんだけど、結局手紙にカミソリいれた犯人は他のストーン家の人くらいしかわからなかったはずなの。」
「そうか、、。それが分かると警戒も楽なんだがな。」
「うん。多分内容は変わってきてるけど、イベント自体は起こってるから婚約披露の席で何かは起こると思う。
だけど今の感じだといつになるかわからないよね。」
「で、その後学園に入学してヒロインが登場するってわけか。でもハロルド達が学園に行くまであと半年しかないだろ?」
「まぁヒロインは王子の一つ下でクリスティーナの一つ上なの。だから悪役令嬢クリスティーナが入学するまでの一年間がゲームでの攻略で大切な時期なんだけど、、。どうなるのかな?」
「そうなのか?じゃあクリスティーナが入学した時には既に王子は攻略済みになってる可能性もあるのか?」
「そうよ。二人でいるのを見て嫉妬したクリスティーナの妨害が入るからそれまでの攻略具合によっては危機になったり、愛が深まったりするわけなの。」
「王子以外の攻略対象は?」
「王子に近づく為に使われて終わりかな。後は二人の応援に回ったり、婚約破棄イベントの賢者の石探しのサポートで出てくる感じかな。」
「そうそう、その賢者の石ってなんだよ。」
「王族に愛されるものが見つけられる宝石で普段は学園の地下に封印されているんだけど、王族に真に愛される存在だけが封印を解くことが出来て取り出せるの。それが愛の証となって二人はハッピーエンドになるのよ。」
「愛の証が賢者の石ねぇ。くだらねぇゲーム。アカネもよくそんなゲームやったな?」
「いいでしょ?王子のスチル格好よかったんだもん。妬いてる?」
「バッ、違うって。」
「ふーん、まぁいいでしょ。ゲームの内容はこんな感じかな。」
アカネはふぅと息を吐くとセイジのチェストにストンと腰を下ろした。
セイジはそんなアカネを見つつこの世界とゲームの違いを考えていた。
セイジには確かにゲームと似たような世界ではあるが今のところそのストーリーから逸脱しても別に強制的に戻される訳でもリロードされる訳でもないからゲームの世界とは思えなかった。
どちらかというとゲームベースの異世界ってことだ。
自分達が干渉可能ということは爆弾魔にとっても同じように干渉出来る世界って事だな。もちろん俺たちと同じ幽霊であった場合だか、バス事故をバスジャックと考えると同じように幽霊である可能性が高いな。
セイジは当初自分が抱えていたどす黒い怒りがぶり返すのを感じていたが、今自我を失ってまた黒い塊になるのはごめんだと何とか冷静を保っていた。
ただその心の奥底には《復讐》の二文字が浮かぶのを止める事は出来なかった。
そうして再開したアカネとセイジの話は状況確認で終わったのだった。
二人でしんみりした雰囲気を消し去るようにセイジがアカネに尋ねた。
アカネも涙を手の甲でグイッと拭うと笑顔を作ると答えた。
「そうだね。私が知ってる事を話すね。ゲームタイトルは『賢者の石を抱きしめて』で平民のヒロインが学園に入学するところから始まるの。」
「、、、とこんな感じでヒロインが嫌な奴なのよ~。攻略対象を踏み台にして行くんだもん。だから、元々私は悪役令嬢のクリスティーナ推しだったのよね~。」
「ふ~ん。それで今っていうかゲーム内の過去については何かあったのか?」
「本筋ではないんだけど、回想とかでいくつかのエピソードはあったんだよね。例えば、、、。」
アカネの言ったことを、二人で整理してみるといくつかわかったことがあった。
●クリスティーナの両親や兄はクリスティーナに興味はなくいつもクリスティーナは一人でいた。
●クリスティーナは使用人に甘やかされて育ったのでマナーは完璧だが、勉強は出来ない。
●クリスティーナはハロルドに一目惚れして追いかけ回していた。
●ハロルドは俺様王子でクリスティーナの兄ルーカスを奴隷のように従えていた。
●ハロルドとクリスティーナは婚約に反対した者からの手紙でクリスティーナが手を切った負い目から婚約した。
●婚約披露パーティーでクリスティーナが自分が一番ハロルドに相応しいと宣言する。
●ハロルドは手に怪我をした事を言われ仕方なく婚約したので、クリスティーナを嫌っている。
「クリスティーナに興味がなくて婚約破棄されたクリスティーナを邪魔者の様に修道院に入れた両親や婚約破棄に手を貸した兄のルーカスとは今は大の仲良し家族にしたから追放はないかなと思ってるんだよね。
あと、ちゃんと勉強させたから学園でも淑女科じゃなくて高等科に入れると思うの。
王子に一目惚れはしたけど、家族に注意されたらすぐに冷静になって今は同志とか呼んでるし、どちらかというと王子に呼ばれてるよね?」
「そうだな。ハロルドは俺様王子にはならなかったし、俺の影響で上下のない親友としてルーカスと接してるし、婚約もそんな怪我がなくても決まったからなぁ。おい!結構変わってかないか。過去の話、、、。」
「そうなんだよね。だから、私もクリスティーナは怪我しないと思っちゃって、、。今朝の怪我から守れなかったんだ。」
「ゲームの怪我ってどんな怪我?」
「本当にちょっと手を切ってあとも残らないくらいの怪我だったはず、、。でも、包帯で大袈裟に見せて婚約まで漕ぎ着けたんだよね。悪役令嬢でしょ?」
「成る程、、それが爆弾に骨折か、、、。今後が心配だな。この後の宣言はどうなんだろうな。」
「確かにね。宣言は煮え切らない王子を見て不満をもったストーン家にクリスティーナが言い放つんだけど、結局手紙にカミソリいれた犯人は他のストーン家の人くらいしかわからなかったはずなの。」
「そうか、、。それが分かると警戒も楽なんだがな。」
「うん。多分内容は変わってきてるけど、イベント自体は起こってるから婚約披露の席で何かは起こると思う。
だけど今の感じだといつになるかわからないよね。」
「で、その後学園に入学してヒロインが登場するってわけか。でもハロルド達が学園に行くまであと半年しかないだろ?」
「まぁヒロインは王子の一つ下でクリスティーナの一つ上なの。だから悪役令嬢クリスティーナが入学するまでの一年間がゲームでの攻略で大切な時期なんだけど、、。どうなるのかな?」
「そうなのか?じゃあクリスティーナが入学した時には既に王子は攻略済みになってる可能性もあるのか?」
「そうよ。二人でいるのを見て嫉妬したクリスティーナの妨害が入るからそれまでの攻略具合によっては危機になったり、愛が深まったりするわけなの。」
「王子以外の攻略対象は?」
「王子に近づく為に使われて終わりかな。後は二人の応援に回ったり、婚約破棄イベントの賢者の石探しのサポートで出てくる感じかな。」
「そうそう、その賢者の石ってなんだよ。」
「王族に愛されるものが見つけられる宝石で普段は学園の地下に封印されているんだけど、王族に真に愛される存在だけが封印を解くことが出来て取り出せるの。それが愛の証となって二人はハッピーエンドになるのよ。」
「愛の証が賢者の石ねぇ。くだらねぇゲーム。アカネもよくそんなゲームやったな?」
「いいでしょ?王子のスチル格好よかったんだもん。妬いてる?」
「バッ、違うって。」
「ふーん、まぁいいでしょ。ゲームの内容はこんな感じかな。」
アカネはふぅと息を吐くとセイジのチェストにストンと腰を下ろした。
セイジはそんなアカネを見つつこの世界とゲームの違いを考えていた。
セイジには確かにゲームと似たような世界ではあるが今のところそのストーリーから逸脱しても別に強制的に戻される訳でもリロードされる訳でもないからゲームの世界とは思えなかった。
どちらかというとゲームベースの異世界ってことだ。
自分達が干渉可能ということは爆弾魔にとっても同じように干渉出来る世界って事だな。もちろん俺たちと同じ幽霊であった場合だか、バス事故をバスジャックと考えると同じように幽霊である可能性が高いな。
セイジは当初自分が抱えていたどす黒い怒りがぶり返すのを感じていたが、今自我を失ってまた黒い塊になるのはごめんだと何とか冷静を保っていた。
ただその心の奥底には《復讐》の二文字が浮かぶのを止める事は出来なかった。
そうして再開したアカネとセイジの話は状況確認で終わったのだった。
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