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第十四話 登校中に遭遇!
しおりを挟む現在、お隣の田中と合流し、一緒に通学している。
が。
「ふ、ふあぁぁぁぁぁぁ……」
「でっけぇあくびしてるなぁ、家入」
結局絵理奈の通話の後、ぱっちり目が覚めてしまって一切眠れなかった。
だってだよ? 惚れた女から「格好良かった」って言われたんだ、眠れる訳ないじゃん!
今思えば犬の時は基本的に事務的だったんだよなぁ、交尾。
「あなたは強くて逞しい雄ね。子種を頂戴」
「構わないぞ」
ってやり取りだったからなぁ。群れのボスをやっていたから、雌は向こうからすり寄って来たから俺からアクションを起こした事ないし。
そもそも犬同士だと恋とかそんなのはほとんどない。人間で例えるならワンナイトラブに近い。
いや、まだ人間でもワンナイトラブに持ち込むにしても、多少なりとも駆け引きがあるんだけどさ。
ちなみに十二歳の俺が何でワンナイトラブをご存じかって?
英語の勉強にと思って買ったアメリカの小説が、実は官能小説だったんだ。主人公の男はひたすら女をとっかえひっかえしていたけど、とある少女と出会って真実の愛に目覚めるって話。
その時に俺はその単語を知った訳だ。
「しっかし、家入の恋のお相手があのお姉さんかぁ……。ハードルめっちゃ高くね? しかも高校生でしょ?」
「まぁね。でも今彼氏いないみたいだし、十分に勝機はあるとは思ってる」
「お前、結構グイグイ行くなぁ」
「いや、絵理奈はちょっと男性不信の部分があるから、控えめにはしてるさ。でもそれなりにアピールしないと、他の男に取られる可能性があるだろ? だったら様子を見つつ俺の方からアクションを起こさないとなって思ってる」
「成る程なぁ。俺も見習わないと」
「そうだな、是非とも田中の相手も見てみたいもんだ」
「多分三時限目、お前のクラスと合同の体育の授業だから、そん時に見れると思うぞ」
「じゃあ是非その子を拝ませてもらおう」
どんな子を好きになったんだろうか。
あまり友達と恋バナとかした事ないから、ちょっと楽しかったりする。
俺も頑張るけど、田中にも頑張って欲しいなと心から思っている。
だが俺の場合、歳の差もあるから一筋縄ではいかなそうだけど。
それでも諦めるつもりはない。
俺は前世から欲しいものはしっかり自分の力で得てきた。人間になった今世でもそうするつもりだ。でも人間社会は複雑だから、間違う事もあるだろうけどね。
田中と他愛のない話をしながら歩いていると、田中が俺の二の腕辺りを突っついてきた。
「どうした?」
「家入、あれ、昨日のお姉さんじゃね?」
「えっ!?」
話に夢中で気が付かなかったけど、塀に寄り掛かって誰かを待っている絵理奈がいた。
本当にただ寄り掛かって立っているだけなのに、容姿が整っていて綺麗な絵理奈の姿に目を奪われる男女が多く、男子は鼻の下を伸ばして、女子は羨望の眼差しを向けて絵理奈を見ていた。
ブレザーを着ていて少し胸のボリュームがわかりにくくなっているが、それでもスタイルが良いのはわかる。
スカートから覗く健康的な脚は、肌白だという事もあってか美しく見える。
本当に好きがない美人だ。
すると、何かに気付いたように顔を上げ、俺の方を見た。
途端に凛々しかった顔がふにゃりとした笑顔に変わり、俺に向けて手を振っている。
「玲音くーんっ!」
どうやら俺を待っていたようだ。
何で?
メッセージアプリで待ち合わせをする予定とかも別になかった筈だけど!?
俺が小さく手を上げると、一気に周囲の視線が俺に集まった。
……あまり気持ちの良い視線じゃないな。
隣でニヤニヤしながら俺を見ている田中も、その視線の一つだ。
気に食わなかったので、軽く頭を叩いといた。
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