神々の間では異世界転移がブームらしいです。《サイドストーリー》

はぐれメタボ

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1人と1振り

血飛沫に笑う男

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  ヴァインは必死に抵抗しているが数の不利は覆す事が出来ず、ジリジリと押されて来ている。
  
「クソ、ここまでか……」

  盗賊の猛攻撃にヴァインが諦めかけた時だった。
  盗賊の背後から1人の男が現れた。

「いひひひ」

  その男は先程の冒険者だった。
  しかし、様子がおかしい。
  赤く染め抜いた革鎧などの身に付けている物は同じだが、先程まで太陽の様な金髪だったはずだが、今は病気的な白髪である。
  そして、その顔にはニタニタとした笑みが貼り付けられている。

「ああん?
  なんだぁさっきの雑魚じゃねぇか、まだ生きてやがったのか」

「はん、大人しく死んだフリをしてりゃいい物をわざわざ死にに来るとはな」

  冒険者を小馬鹿にした様に盗賊は剣を振り上げる。

「いひ、うるせぇヨ」

  冒険者が手にしていた細身の剣を軽く振るう。
  腕が霞む程の剣速で振るわれた細剣は甲高い風切り音を引き連れて盗賊の命を刈り取る。

「な、なんだこいつ!」

「てめぇ!」

「いひひひ」

  冒険者が不気味な笑い声を上げながら盗賊の間をすり抜ける様に走り抜けると、盗賊が次々と血を吹き出し倒れて行く。

「な、なんなんだ⁉︎」
  
  ヴァインは目の前の光景に驚愕する。
  彼はついさっきまでの盗賊に手も足も出なかった男と同一人物なのか?
  白髪の冒険者は次々に盗賊を殺し周囲を血で染めて行く。

「この野郎!」

  先程、冒険者を吹き飛ばした盗賊の頭目が再び戦鎚を振り下ろす。

ガシッ!

「いひ」

「な、な、馬鹿な⁉︎」

  何と、白髪の冒険者は頭目の戦鎚を片手で受け止めて見せた。
  
バキッ!

  白髪の冒険者は片手で掴んでいた戦鎚の頭を素手で握り潰す。

「そ、そんな、ありえねぇ!」

「かははは!」

  驚愕する頭目の腕が一瞬で切り飛ばされた。
  
「ひっ、や、やめ、があぁぁあ!」

  白髪の冒険者は盗賊の頭目をじわじわと嬲り殺す。
  やがて頭目が死に動かず、悲鳴を上げなくなった頃、白髪の冒険者は頭目への興味を無くしヴァインの方へと歩いて来る。
  一瞬、白髪の冒険者の身体が沈む。

「 ⁉︎ 」

  ヴァインは咄嗟にサークルシールドを構える。

  ギギギ!

「ほう、俺様の剣を止めるとはやるナ」

「な、何なんだお前は!
  加勢に来てくれた冒険者じゃないのか⁉︎」

「冒険者?
  ああ、この身体の持ち主の馬鹿の事カ。
  奴なら俺様の奥で眠っているゾ。
  もっとも、二度と表に出てくる事は無いだろうがナ」

「ぐっ!」

「ははは!」

  高速で繰り出される剣をギリギリの所でガードする。

「いひひ、楽しいじゃねぇカ」

「ぐぁ!」

  荒々しいが確かな剣技によってヴァインの剣を弾き飛ばした。

「いひひひ、あばヨ」

  ヴァインは自らに迫る刃に死を覚悟する。
  しかし、ヴァインに死が訪れる事は無かった。

「うぅ、ぐっがぁぁ」

  剣はヴァインの目の前で止められた。
  そして、白髪の冒険者は急に苦しみだす。

「ぐっ、馬鹿ナ、何だてめぇが、クソ大人しく、がぁ、いいから僕に代われ!
  ぎぃ、大人しくしろ!話なら後で聞いてやる!」

  冒険者が1人で騒いでいると段々と髪の色も元の金髪に戻る。

「ふぅ、まったく、このアークの身体を乗っ取るとはなんて奴だ!」(額に手を当て片足立ちになる)

「お、おい、どうした?」

  ヴァインは素早く剣を拾うと警戒しながら話しかける。

「ああ、すまない。
  どうやらあの遺跡で見つけた剣が呪われていたみたいでね。
  ちょっと身体を乗っ取られていたんだよ。
  はっはっはっ!」

「はぁ?」

  ヴァインはこの訳のわからない男を不思議な物を見る目で見つめるのだった。
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