神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第3部《交錯する戦場》

20話 魔王シルバリエ配下 極光のザジ

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「なにか変ですね?」

  ユウは空中から戦場を見下ろし違和感を覚えた。

「これは……」

  違和感の正体は魔族軍の後方に配置された魔法使いらしき集団だった。
  その集団は先鋒の集団を支援する訳でもなく、ただその場に留まって、時折申し訳程度の支援を行うだけだったのだ。

「魔力を温存でもしているのでしょうか?」

  そう考えれば説明出来なくも無いが、その為に先鋒が全滅しては意味がない。
  むしろ、今こそ温存していた魔力の使い所だろう。

「よく分かりませんが、魔法使いは潰せる内に潰しておくべきですね」

  ユウはオリオンから飛び降りると戦斧を振り上げて魔法使いの集団に飛びかかった。

  キィイ!

  しかし、その一撃は1人の魔族の命も奪うことは出来なかった。
  魔法使いをかばう様に飛び出した魔族が、ユウのピリオドを受け止めたからだ。
  
「おや、ザジさんではないですか。
  お久しぶりですね」

「久しぶりだな。
  しかし、とんでもない戦斧ヤツを手に入れたな」

「ふふふ、ザジさんも遠慮なくこのピリオドの錆になって良いのですよ?」

「ぬかせ」

  軽口を交わしながら2人は無事武器を振り続ける。
  死を凝縮した様なユウの戦斧を、ザジは針の穴を落とす様な精密な剣さばきで受け流す。
  ザジの剣も遺物級アンティークの名剣ではあるが、それでも僅かにでも加減を間違えると剣ごと叩き斬られるだろう。
  ザジは、それを理解した上で剣を振り、ギリギリの死の淵を歩き切る。

「やりますね、ですが此処からが本番ですよ」

  ユウは恐ろしくも美しい戦斧を軽々と振り回しザジから少し距離を取る。

「黒燐」

  ユウの周囲に黒く染まった鱗の様な物が生み出される。
  ザジは、以前目にした彼女の技の更に先にある技なのだと直感した。

「魔力の凝縮に属性変換か……流石だな。
  だが!」

  ザジはユウと同様に魔力を凝縮して行く。

聖光球ホーリースフィア

「あ、またわたしの真似を!」

「コレは俺のオリジナルさ」

  ザジは、文句を言うユウを飄々とあしらう。

「魔装『黒龍戦斧』」

「魔技『極光聖剣』」

「はっ!」

「ふっ!」

  ギィイイ!!!

  魔力を凝縮し武装した2人の武器が打ち合った時、物質化するまで圧縮され魔力によって発生した衝撃波が周囲にいた者を人間、魔族問わずに襲いかかる。
  お互いに地形が変わるほどの攻撃を繰り出す内に、周囲に居た者達は距離を置く様になり、次第にこの戦場で3目の大きな円を作り出していった。


「遍断ち!」

  ユウはもう幾度目かもわからない必殺の一撃を放つ。

「烈光!」

  ザジも対抗して攻撃を受け止める。
  すでにどちらかが死んでもおかしくない激突を何度もこなした2人の顔にはかなりの疲労が浮かんでいた。

「はぁ、はぁ、ず、随分と辛そうですね。
  そろそろギブアップしても、良いんですよ。
  そうすれば、命だけは、助けてあげましょう」

「ぜぃ、ぜぃ、馬鹿を言うな。
  そう言うユウこそ、もう限界だろ?
  はぁ、降参しても良いんだぞ?」

「わ、わたしはまだまだ余裕ですよ」

「はは、お、俺など、まだ半分の力しか出していないからな」

  ザジとユウは睨み合い、言葉を交わしながらお互いの僅かな隙を探る。
  
「変身をあと2回もわたしは残しています。
  その意味が分かりますね?」

「…………いや、いきなり何をいってんだ?」

「ふふふ、つまりわたしの女子力は53万だと言うことです!」

「いや、何のことかはよくわからんが、それは多分違う気がするぞ?」

  2人が武器に魔力を追加し、同時に踏み込もうとした時、戦場に高らかに笛の音が響いた。

「撤退か」

「命拾いしましたね……ザジさんが」

「こっちのセリフだ」

  ユウとザジは、すっぱりと戦闘態勢を解除してお互いの陣地へと帰って行くのだった。

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