神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

文字の大きさ
21 / 418
神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》

20話 奇襲とわたし

しおりを挟む
襲撃予定日です。
 現在は前線基地となる拠点を設営しています。
 拠点と言っても今回の作戦中使うだけです。
 怪我人を手当てする場所を確保し、水瓶に魔法で水を出します。
 今朝のミーティングで決まった配置はリサーナさんが率いるチームが東側、クルツさん率いるチームが西側から同時に攻め込みゴブリンの戦力を東西に分断し、手薄になった北側からアルザックさん達《導きの焔》を《青き翼》が援護して、一気に屋敷のゴブリンキングを討伐すると言う作戦です。
 そして、襲撃の混乱に乗じて女性冒険者を中心に編成された救出班が捕らわれている人達を助けに向かいます。
 この救出班にわたしのハクも同行して、先導する事になっています。
 わたしは拠点で指揮を取るギルドマスターと一緒に怪我人が運ばれて来るまで待機です。

明け方、空に打ち上がったファイアーボールを合図に東西から冒険者が攻め込みます。
 ゴブリンは完全に不意をつかれたようで混乱いるところを次々と討伐されて行きます。

「報告!東西からの奇襲に成功!ゴブリンは東西に分かれて防戦しています」

「よし!アルザックに30分後に作戦開始だと伝えろ!」

「了解」

 伝令役の身軽な冒険者が第一報を伝えて来ました。まずは奇襲が成功したようです。

 それから10分程したから次々と怪我人が運ばれて来ました。怪我人をアリーさんとティナさんに任せてわたしは毒を受けた人達を治療していきます。

「がぁ……た…す……け…」

《診断》スキルを使い毒を特定して、ポーションを飲ませましょう。
 あ~彼は麻痺毒ですね。わたしは痺れて動けない冒険者の口に飴状の薬を捻じ込みます。

「!?……ん!!……があぁあ!」

何やら苦しんでいますが問題有りません。
 麻痺しているから速攻性のあるポーションを飲ませられないのです。しかし、この薬は10分程舐めるだけで身体の痺れが治ります。
 値段も安価で効果も高い、素晴らしい薬です。味以外は何の問題も有りません。

「はい、次の方。」

わたしはどんどん治療して行きました。
 時折、逃げてきたゴブリンが現れますが拠点を防衛している冒険者に討ち取られていきます。
 わたしが怪我人の口に薬を捻じ込んでいると、ハクが帰って来ました。
 ハクの足には青い布が巻かれています。 これは事前に決めていた「救出成功」の印です。
 わたしの報告にギルドマスターも安堵します。
 救出班はこのまま助けた女性達を護衛しながらガナの街に帰還します。

「報告!《導きの焔》、《青き翼》戦闘開始しました。現在、屋敷を守るゴブリンジェネラル、ゴブリンナイトと交戦中です」

「ご苦労!戦況に変化が有ったらすぐに知らせろ」

「了解!」

アルザックさん達が戦闘を始めた様です。
 まぁゴブリンキングはCランク上位、Bランクパーティのアルザックさん達がそう簡単にやられるとは思いません。
 それにアルザックさんのバスターソードは身体硬化の効果を持つマジックアイテムだそうです。…羨ましいです。
 やはり、マジックアイテムの武器はあこがれますね。

「誰か!頼む!マークを助けてくれ!」

!!

グッタリとした冒険者が運ばれて来ました。わたしとアリーさんが駆け寄ります。

「頼む!マークを!」

仲間の冒険者が涙を流しながら嘆願します。しかしこれはもう……。

「マークはもう死んでいる。済まない。私たちにはもう治せない。……済まない」

「うあぁぁあ!」

アリーさんがマークさんが既に死んでいる事を告げます。
 やはり、犠牲者無しで終わらせるのは無理でしたか。いえ、そんな事は皆んな分かっています。
 この依頼を受ける事を決めた時点で覚悟していた筈です。
 冒険者は自己責任なのです。

わたしは治療に戻ります。
マークさんの仲間の冒険者はマークさんの亡骸に敵討ちを誓って戦場に駆けていきました。
しばらくして、治療を受けに来る怪我人も少しづつ増えて来たとき、報告がはいりました。

「報告!《導きの焔》が屋敷の前でゴブリンキングと交戦、討伐に成功しました!」

「よし!後は雑魚どもの掃除だ!最後まで気を抜くな!」

「はい!」

とうやらもう直ぐ終わりそうですね。
それから20分程経ち、新しくやって来る怪我人も減って来ました。

わたしの《マッピング》の地図にこちらに向かって来る人間が表示されます。
 恐らく伝令の冒険者でしょう。しかし、かなりなはれていますが背後から5匹のゴブリンが接近しています。
 気づいてないようですが伝令の冒険者が拠点に合流するほうが早いので大丈夫ですね。
 ところが、前方の藪から飛び出して来た伝令の冒険者は全身から血を流しています。

「どうした!」

ギルドマスターが立ち上がり、冒険者に駆け寄ります。

「屋敷から帝王小鬼ゴブリンロードとゴブリンキングが2匹出現!《導きの焔》と《青き翼》は……全滅しました!」

「なんだと!?」

伝令の冒険者はそれだけ伝えると気を失いました。

「ユウ!」

「はい!」

ギルドマスターの意図はわかります。わたしはハクを飛ばしゴブリンロードの現在地を探ります。

「くそ!最悪だ!ゴブリンロードだと!直ぐに伝令をだせ!撤退だ!ガナの街に籠城して援軍を待つ!」

ギルドマスターが指示を出している時、わたしはゴブリンロードを発見しました。

「ギルドマスター、不味いです」

「どうした!」

「わたし達は奇襲を受けています」

伝令の冒険者が出て来た前方の藪から2匹のゴブリンナイトと2匹のゴブリンキング、そしてアルザックさんのバスターソードを手にしたゴブリンロードが姿を現しました。
しおりを挟む
感想 890

あなたにおすすめの小説

不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。 強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。 死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。 再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。 ※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。 ※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜

あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。 その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!? チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双! ※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中

処理中です...