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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》
91話 港街とわたし
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空の旅を続けること数日、わたし達の目にミルガンの街が見えて来ました。
「おお、こんなに早く帰って来る事が出来るとは!」
「森や湖なんかを直進して来ましたからね」
わたしは、ラクガン子爵に笑い掛けながらオリオンに街の前に降りる様に指示を出します。
「な、なんだ!」
「魔物だ!」
「た、助けてくれ!」
下がパニックになっています。
門のすぐ近くに降りようとしたのは間違えでした。
ガストの街では、始めは門の衛兵さんに怒られましたが、最近はみんな、慣れて来たのか何も言われなくなりました。
オリオンが着地すると、たちまち槍を構えた衛兵さんに囲まれてしまいました。
「ユウ殿……」
ラクガン子爵と騎士達がジトッとした目でわたしを見つめます。
「…………ゆ、優秀な衛兵さん達ですね」
「「「「………………」」」」
ラクガン子爵様の取りなしで事無きを得たわたし達は、用意された馬車に乗ってラクガン子爵の邸宅に向かっています。
馬車に乗っているのは、わたしとラクガン子爵だけで、騎士の3人とは門の所で別れました。
ミルガンの街は海に向かって階段状になっている土地に白い石造りの家が立ち並ぶ、どこか地中海をイメージする街並みです。
地中海に行った事は有りませんが、多分こんな感じです。
美しい街並みを眺めながら領主邸に着きました。
領主邸は白く大きな屋敷です。
門を抜け、屋敷に向かい、馬車を走らせて行くと屋敷の玄関の前に執事服を着た紳士が1人わたし達の到着を待っていました。
年齢はラクガン子爵と同じくらいに見えます。
馬車が玄関の前に止まるとドアを開けてくれます。
執事さんは、わたしが馬車から降りると不思議そうな顔をします。
「おかえりなさいませ、旦那様。
随分とお早いおかえりでごさいますが如何されたのですか?
まだガストに着いたばかりぐらいだろうと思っていたのですが、それに、そちらの少女は?」
「ああ、こちらは例の薬師のユウ殿だ。
帰りはユウ殿の従魔のサンダーバードに乗せて貰ったのだ。
彼女はおさ……若く見えるが16歳で成人されている。
失礼の無いように」
「なんと!
これは失礼いたしました。
私はミルガン子爵家にお仕えしております、執事のシムと申します」
「ユウ殿、滞在中、何かあればシムに言ってくれ」
「はい、ありがとうございます」
「では、早速息子の容態を見てくれ」
わたしはラクガン子爵に連れられて、ミルガン子爵家の長男、フレッドさんの容体を確認します。
薬で進行を抑えていたため、容体は安定しています。
早速、部屋を借りて守護者の雫を調合します。
材料は既に集まっていたようで、直ぐに調合を始める事ができました。
「ユウ殿、こちらの薬草はどうしましょうか?」
「あ、薬鉢で潰して下さい」
この人は子爵家のお抱えのお医者さんだそうです。
どうか調合を見せてくれないかと頼まれたので、手伝ってくれるならとOKしました。
なんだかハイテンションな人です。
「ふぅ」
一通りの作業は終わりました。
後は、薬の抽出が終わるまで待つだけです。
守護者の雫が一滴、一滴、抽出されるのを見守っている必要もありません。
市場にでも行ってみましょうか?
わたしはシムさんに一言伝えると市場を目指してミルガンの街に繰り出しました。
ミルガンの街の市場はとても活気が有ります。
港街らしく、多くの魚が売っていて、見た事がある魚もいれば、見た事のない魚もいます。
中には角の生えた魚やヒレが刃物の様に鋭い魚もいます。
多分魔物です。
「お! お嬢ちゃん、お使いか?
ウチの魚を見て行きな!
今朝、とれたばかりでどれも新鮮だぞ」
上半身裸でねじり鉢巻と言うザ・魚屋スタイルのおじさんがわたしに声を掛けて来ました。
確かにおじさんの店の魚は活きが良さそうです。
「そうですね~では、この魚とあの貝と……あとエビを3匹下さい」
「ありがとよ、たくさん買ってくれたからこの貝をおまけしてやろう!」
「ありがとうございます」
得しましたね。
お使いだと思われているのはもう仕方ないです。
わたしが小さいのでは無く向こうが大きいのです。
「ん?」
わたしは店の隅に隠す様に置かれた樽の桶の中にある物を見つけました。
「おじさん、これは売らないのですか?」
「ん?ああ、コレは網に混ざってたんだ。
こんなのはとても売れねぇからよ、後で海に返すのさ」
「売れないのですか?」
「ああ、嬢ちゃん、海に来たのは初めてか?」
「(この世界では)初めてです」
「そうか、じゃあしらねぇのも無理じゃない。
こいつは誰も欲しがらないし、他の魚を食っちまうから漁師にとっちゃ厄介者だよ」
「そうですか……では、わたしに売って下さい」
「え、コレを買うのか?」
「はい、おいくらですか?」
「もともと逃がすつもりだったから金はいいよ、そんなに欲しいなら持ってきな」
「ありがとうございます」
港街に来た初日に良いものを手に入れることが出来ました。
子爵邸に帰って厨房を借りましょう。
わたしは生きている為、マジックバック(アイテムボックス)にいれられなかったソレが入った桶をかかえ(桶のお金は払いましたよ)、子爵邸に戻るのでした。
「おお、こんなに早く帰って来る事が出来るとは!」
「森や湖なんかを直進して来ましたからね」
わたしは、ラクガン子爵に笑い掛けながらオリオンに街の前に降りる様に指示を出します。
「な、なんだ!」
「魔物だ!」
「た、助けてくれ!」
下がパニックになっています。
門のすぐ近くに降りようとしたのは間違えでした。
ガストの街では、始めは門の衛兵さんに怒られましたが、最近はみんな、慣れて来たのか何も言われなくなりました。
オリオンが着地すると、たちまち槍を構えた衛兵さんに囲まれてしまいました。
「ユウ殿……」
ラクガン子爵と騎士達がジトッとした目でわたしを見つめます。
「…………ゆ、優秀な衛兵さん達ですね」
「「「「………………」」」」
ラクガン子爵様の取りなしで事無きを得たわたし達は、用意された馬車に乗ってラクガン子爵の邸宅に向かっています。
馬車に乗っているのは、わたしとラクガン子爵だけで、騎士の3人とは門の所で別れました。
ミルガンの街は海に向かって階段状になっている土地に白い石造りの家が立ち並ぶ、どこか地中海をイメージする街並みです。
地中海に行った事は有りませんが、多分こんな感じです。
美しい街並みを眺めながら領主邸に着きました。
領主邸は白く大きな屋敷です。
門を抜け、屋敷に向かい、馬車を走らせて行くと屋敷の玄関の前に執事服を着た紳士が1人わたし達の到着を待っていました。
年齢はラクガン子爵と同じくらいに見えます。
馬車が玄関の前に止まるとドアを開けてくれます。
執事さんは、わたしが馬車から降りると不思議そうな顔をします。
「おかえりなさいませ、旦那様。
随分とお早いおかえりでごさいますが如何されたのですか?
まだガストに着いたばかりぐらいだろうと思っていたのですが、それに、そちらの少女は?」
「ああ、こちらは例の薬師のユウ殿だ。
帰りはユウ殿の従魔のサンダーバードに乗せて貰ったのだ。
彼女はおさ……若く見えるが16歳で成人されている。
失礼の無いように」
「なんと!
これは失礼いたしました。
私はミルガン子爵家にお仕えしております、執事のシムと申します」
「ユウ殿、滞在中、何かあればシムに言ってくれ」
「はい、ありがとうございます」
「では、早速息子の容態を見てくれ」
わたしはラクガン子爵に連れられて、ミルガン子爵家の長男、フレッドさんの容体を確認します。
薬で進行を抑えていたため、容体は安定しています。
早速、部屋を借りて守護者の雫を調合します。
材料は既に集まっていたようで、直ぐに調合を始める事ができました。
「ユウ殿、こちらの薬草はどうしましょうか?」
「あ、薬鉢で潰して下さい」
この人は子爵家のお抱えのお医者さんだそうです。
どうか調合を見せてくれないかと頼まれたので、手伝ってくれるならとOKしました。
なんだかハイテンションな人です。
「ふぅ」
一通りの作業は終わりました。
後は、薬の抽出が終わるまで待つだけです。
守護者の雫が一滴、一滴、抽出されるのを見守っている必要もありません。
市場にでも行ってみましょうか?
わたしはシムさんに一言伝えると市場を目指してミルガンの街に繰り出しました。
ミルガンの街の市場はとても活気が有ります。
港街らしく、多くの魚が売っていて、見た事がある魚もいれば、見た事のない魚もいます。
中には角の生えた魚やヒレが刃物の様に鋭い魚もいます。
多分魔物です。
「お! お嬢ちゃん、お使いか?
ウチの魚を見て行きな!
今朝、とれたばかりでどれも新鮮だぞ」
上半身裸でねじり鉢巻と言うザ・魚屋スタイルのおじさんがわたしに声を掛けて来ました。
確かにおじさんの店の魚は活きが良さそうです。
「そうですね~では、この魚とあの貝と……あとエビを3匹下さい」
「ありがとよ、たくさん買ってくれたからこの貝をおまけしてやろう!」
「ありがとうございます」
得しましたね。
お使いだと思われているのはもう仕方ないです。
わたしが小さいのでは無く向こうが大きいのです。
「ん?」
わたしは店の隅に隠す様に置かれた樽の桶の中にある物を見つけました。
「おじさん、これは売らないのですか?」
「ん?ああ、コレは網に混ざってたんだ。
こんなのはとても売れねぇからよ、後で海に返すのさ」
「売れないのですか?」
「ああ、嬢ちゃん、海に来たのは初めてか?」
「(この世界では)初めてです」
「そうか、じゃあしらねぇのも無理じゃない。
こいつは誰も欲しがらないし、他の魚を食っちまうから漁師にとっちゃ厄介者だよ」
「そうですか……では、わたしに売って下さい」
「え、コレを買うのか?」
「はい、おいくらですか?」
「もともと逃がすつもりだったから金はいいよ、そんなに欲しいなら持ってきな」
「ありがとうございます」
港街に来た初日に良いものを手に入れることが出来ました。
子爵邸に帰って厨房を借りましょう。
わたしは生きている為、マジックバック(アイテムボックス)にいれられなかったソレが入った桶をかかえ(桶のお金は払いましたよ)、子爵邸に戻るのでした。
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