最大の敵は作者でした

はぐれメタボ

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主人公、作者と出会う

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  ある雪の降る夜。
  バス停でバスを待っていた俺は、特にすることもなかったので何となくスマホに目をやった。
  すると暇つぶしによく読んでいる小説投稿サイト『アルファポリス』のアイコンにNのマークが付いていた。
  俺は特に考える事もなくそのアイコンをタップする。
  しょうがないさ、暇だったんだ。
  1番右下の『その他』をタップし『お知らせ』を確認する。
  すると、しばらく前に完結したはずの作品が更新されていた。
  はぐれメタボと言う作者の『神々の間では異世界転移がブームらしいです。《サイドストーリー》』と言う作品だ。
  どうやら後日談が追加されたらしい。
  バスが来るまでにはまだまだじかんがある。
  俺はその作品を読み始めた。
  
「ふぅ」

  そう長くはない作品だ。
  物の数分で読み終わる。
  
「異世界……行きたいな……」

  つまらない学校やバイトを放り捨てて冒険の旅に…………なんてな、高校生にもなってかなり恥ずかしい事を呟いてしまった。
  今のを誰かに聞かれていたら憤死物だ。

「ほう、君は異世界に行きたいのか?」

「ぶほっ!」

  いつのまにか俺が座っていたベンチに小太りの男が座っていた。
  この流れなら普通は美少女だろ!
  なんで、小太りのおっさんなんだよ!

「おっさんでは無い、俺はまだ29だ!」

「29はおっさんだよ!
  ってなんで……今声に出して無かったのに……」

「そんな事はどうでも良い。
  君は異世界に行きたいのか?」

「え、そ、そりゃ行きたい……けど……」

「そうか、そうか。
  いや実はさ、俺、アルファポリスって言う小説投稿サイトではぐれメタボって名前で小説を書いているんだよね」

「え、あ、俺読んでますよ。
  神々の間では異世界転移がブームらしいです。と元英雄エルクの罪状」

「おお、ホント?
  いやーありがとね。
  それでさ、物は相談なんだけど」

  小太りのおっさん……はぐれメタボは、ぐふふ……と笑う。

「俺は思ったんだよね。
  新しい異世界転移物を書けるいい方法は無いものかなって」

「いや、そんなに簡単な方法があれば誰も苦労はしないでしょう?」

「いやいや、それがいい方法があるんだよ」

  はぐれメタボはグググっと寄ってくる。
  近いぞ!寄るな!

「実際に人間を異世界に転移させてその行動を小説にすれば良いんだよ!」

「………………は?」

  うっわーマジでやばい奴だ!
  電波ビンビンじゃん。
  やっべ~、帰りて~。

「ははは、そうっすね~。
  いい考えだと思います。
  じゃあ、俺はコレで~」

  俺はベンチから腰を上げて戦線離脱を試みた。

「まぁ、待ちたまえよ」

  おっさんは俺の袖を摘んで止めた。
  Shit!
  離せ、俺の袖を摘んで止めて良いのは血の繋がらない義妹か幼馴染の美少女だけなんだよ!
  一人っ子だし、幼馴染はヤローしかいないけど……

「…………何ですか?」

「君、異世界に行ってくれる?」

「は?」

「そうか!行ってくれるのか!」

「何にも言ってねぇだろ!」

  俺は振り切って駆け出そうとした。

「ありがとう!感謝するよ!」

  しかし回り込まれてしまった!
  
パス
「じゃ、宜しく」

  はぐれメタボが指を鳴らした。
  しかし、響いた音は『パチッ!』ではなく『パス』だった。
  出来ねぇなら指パッチンすんじゃねえよ!

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