奥様は大剣豪

はぐれメタボ

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騎士様は援軍

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「今回の隣国の侵攻は、サマンサ達のお陰で何とか防ぐ事が出来たが、こちらの損害も大きくなってしまったな」

  ようやく屋敷に戻って来たダーリンは、サマンサと共にテラスでお茶を飲みながら深いため息を吐いた。
  兵はタダでは無い。
  当然だ。
  一人前の兵士を育成するには時間も金も掛かる。
  人1人が生活できるだけの給金、訓練の道具や教官の賃金、行軍中の糧秣、支給する装備品など、兎に角金が掛かるのだ。
  そうしてようやく一人前になった新兵の半数近くを殺されたのだ。
  そして、兵士とは死んでそれで終わりでは無い。
  死体を放置しては疫病の温床となってしまう為、回収し埋葬しなければならない。
  更に戦死者の家族に見舞金も必要だ。
  まだ若い新兵達の家族の気持ちを思うと気が重くなってしまう。

「兵の不足という事ですか?」

「ああ、負傷者も多く出たからな。
  しかし、兵の育成には時間が掛かる。
  しばらくは傭兵団でも雇うしか無いか……」

  サマンサはポンと手を打つと、悩むダーリンに提案する。

「それでしたら、モンゴメリー伯爵家に協力を求めてはいかがでしょう?」

 「成る程、それは名案だ。
  早速、義父上に手紙を書くとしよう」




  それから半月後、ダーリンとサマンサは辺境伯領の領都の前でモンゴメリー伯爵家からの援軍を出迎えていた。
  整列した騎士団から1人の若い将が歩み出る。

「モーリス伯爵閣下の命により、騎兵100騎、歩兵500名を率いて参上致しました。
  騎士アーサーと申します」

「おお、貴公が鬼神アーサーか!」

  ダーリンは予想外の大者に驚きの声を上げる。
  鬼神アーサー。
  モンゴメリー伯爵家の精兵中の精兵の1人であり、既にいくつもの戦場を戦い抜いた猛者だ。
  まだ24歳と若いが、その武勇はこの辺境の地まで聞こえている。
  曰く、例え苦しい状況だろうとも恍惚の表情で剣を振るい、その身に数多の傷を受けようとも笑み浮かべる。
  戦いと武勇を愛し、血と義を報じる鬼神……と言う噂だ。

「貴公程の手練れを送ってくれるとは……義父上には感謝せねばな」

  ダーリンはアーサーとガッシリと握手を交わす。

「お久しぶりね、アーサー」

「おお、お嬢様。
  お元気そうで何よりです!」

「ふふ、アーサーは変わっていないわね。
  それと、もうお嬢様は止めてちょうだい」

「おっと、これは失礼しました。
  サマンサ辺境伯夫人」 

  改まって慇懃に礼をとるアーサーにダーリンとサマンサは声を上げて笑った。
  そこにタバサがやって来る。

「旦那様、奥様、兵舎の用意が整いました」

「ああ、済まないな。
  サマンサ付きの君に雑務を頼んでしまって……」

「いえ、この程度大した事は有りません」

  ダーリンとサマンサに軽く頭を下げるタバサに、アーサーが話を振る。

「久しぶりだな、タバサ殿」

「…………蛆虫の分際で人間様に馴れ馴れしく声を掛けないで下さいまし。
  貴方と知り合いだと思われたら生きて行く事が出来ないではないですか」
  
「なぜに⁉︎」

  ダーリンは思わず声が出てしまった。  
  辛辣すぎるタバサの言葉に驚きが隠せない。
  それに遠方からわざわざ援軍に来てくれたアーサー殿に対してあまりにも礼を失した態度だ。
  彼女の現在の主人として此処は注意しなければならないだろう。
  ダーリンがタバサの態度を咎めようとした時、アーサーが口を開いた。

「ありがとうございます!」

「何を礼など言っているのですか?
  頭沸いているのですか?
  アルパカの方が貴方より数倍は賢いですよ?」

「ありがとうございます!」
  
  アーサー殿は何故か少し顔を赤くし、息が荒くなっている。

「興奮しているのですか?
  メイドに罵倒されて喜ぶなんて…………この変態!」

「あざっす!!」

  アーサーは恍惚の笑みを浮かべながら礼を述べる。

「ふふふ、相変わらずタバサとアーサーは仲が良いのですね」

「…………………」

  喉から出掛かった言葉を飲み込んだ。
  最近はスルースキルがかなり高まって来ている気がするダーリンだった。
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