・・その狂気は伝染する・・

第三章 狂気と共に明ける明治維新

15代将軍徳川慶喜の決断119

　「馬鹿野郎、だれいが降参なんぞ・・俺は泣く子も黙る元新撰組、副ちょううう、ひじかたとしぞうだぁぁああ！！！」

 土方はそう言うと最後の力を振り絞って桃井に斬りかかる。

　次の瞬間。

　「せいやぁーーー！」

 地面に鈍い音がした。"ぼとん"
首のない土方の首元から鮮やかな血が吹き出しながらその体は崩れ落ちるように倒れた。

　そして、落ちた土方の頭部がごろりと吉村貫一郎達の前に転がる。その頭部の目は見開いたまま吉村貫一郎達を静視していた。

　「ひええええ！！！先生いい！！！！
」

 動揺する隊士達に吉村貫一郎は激を飛ばした。

　「真剣勝負で先生は負けたのだ。さ、早く土方先生の亡骸を運べ。」

 桃井の後ろで見守る浪花隊の隊員らは歓声の声を上げていた。

　桃井は刀の血と脂を拭き取った後その場を引き返そうとした。

　その時。

　「待たれよ。大将の首とってただで帰らせては武士の名がすたるというもの。この吉村貫一郎お相手いたす。」

 そう言うと吉村貫一郎は刀を抜いた。