少年館

ジョセフとアドン少佐の2人の生活44

　「逃してくれ？ですと、アドン少佐ともあろうお方がそんな冗談を言ってはいけませんよ。」

     「冗談ではない！頼む、何んでもする。今基地に連れ戻されれば俺は即刻不名誉除隊になり、刑務所に送り込まれるだろう。」

 懇願するアドンに取り調べ官は言った。

　「あなたが犯した罪は何が理由であれ、償わなければならない。ここから逃したところでその犯した罪は決して消える事はないのですよ。それに、逃げても必ず追われる事になりましょう。その時再び捕まれば今よりさらに重い罪を受ける事になる。」

 アドンは椅子から立ち上がり、取り調べ官の前に両膝を地につけながらなおも懇願した。部屋の隅にいる警官が慌ててアドンを椅子に戻そうとする。

　「いいんだ。手を離してやりなさい。」

 取り調べ官は警官にそう言うとアドンの好きなように喋らせた。

　「お願いだ、逃してくれ。ある人を守る事ができたら必ず頃合いを見計らい出頭する。今刑務所にいけば、その人はあのマリオットに殺される。だからお願いだ・・」