少年館

華岡光

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ジョセフとアドン少佐の2人の生活71

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・・アンボワーズ近郊・・

 アドンとジョセフが乗る車は、ひたすら道を走っていた。あてがあるわけでもなく、ただひたすら走っていた。追われる身となったアドンは全てを捨て、ジョセフを守るため、そしてジョセフもまた唯一の大切な家族を失い、アドンと共に生きるために2人の乗る車はひたすら希望を抱きながら走っていた。

 「ジョフ!お腹空いてないか?」

    「うん。」

母親を失ったショックから少しずつ話すようになったジョセフはアドンの手を握りしめながらうなずく。

 「そうか!俺もお腹の虫が鳴くほど腹が減ったよ。」

 アドンのお腹から"グググー"と音が鳴るとジョセフは笑顔を見せた。

 「笑ったな!こいつ!!」

 アドンはジョセフの頭を優しく撫でた。
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