少年館

華岡光

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その意思を受け継いで3

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・・ヴォージュ山脈・・

 アルザス、ロレーヌ地方にまたがる自然美しい山の中の小さな掘っ立て小屋を綺麗に掃除し、アドンとジョセフは第二住処として暮らし始めていた。

 「見ろこの新鮮なキノコ類を今夜はこれと残りの干し肉を煮込んでシチューを作ってやるからな。ジョフの大好物のシチューだぞ!!」

    「うん!!キノコ大好きだよ。でも毒キノコだったりして。」


    「ばーか。大丈夫だよ!!ちゃんと毒味もしたからな。はっはっは!!」

アドンとジョセフは楽しみながらこの雄大な自然の中にとけこみ幸せな日々を送っていた。

 しかし・・

 「今日だけで500人もユダヤ人が送られてきたな。森を開拓して収容所を拡張するから大丈夫だとヨーゼフクラマー所長は平気だと言うが、囚人ならともかく俺達警備兵にも仕事させるんだから参るよな。」

 アドン達が住んでるヴォージュ山脈から数キロ離れた所にはナチスドイツが収容所を作り始めていた。美しい花崗岩が大量に採れるこの山脈に目をつけたアルベルトシュペーアというヒトラーお気に入りの建築家がナチス親衛隊指導者ヒムラーにお願いをし、そしてヒムラーのユダヤ人解決問題の場所としても使えると判断し、ここに悪魔の収容所 "ナッツヴァイラー強制収容所"  を建設したのだった・・
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