少年館

華岡光

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その意思を受け継いで25

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 「わしらが何をしたと言うんじゃ!!お前らに何の権利があってこんなことをするのじゃ、離せ!!」

 抵抗する老夫妻にドイツ兵は短機関銃を構えた。

 「抵抗するならやむ得ない、ここで処刑をする。」

 ドイツ兵は短機関銃を構えて射とうとした瞬間に検問所の中から1人の男が出てきた。

 「やめなさい!!その老夫婦から離れてください。」

   慌ててほかの検問所施設の係員がその男を制止しに駆け寄ってきた。

 「ここはドイツ兵に任せて、我々は政府の指示通り国境から人を入れないためだけに仕事をすれば良いんですよ。ポール署長。」

 その男の名前はポール・グリニュンガー、この辺りの国境近くの町ザンクトガレンの警察署長であり、この検問所でスイス入国審査の査察官長として赴任していた。

 「いや、今まで私は目をつむって我慢をしてきましたが、もうこれ以上罪のない助けを乞う人々への人道的入国許可を出さないのは私の良心が許さない。」

 ポール署長はそう言うと国境警備兵らを呼び老夫婦を引き取らせた。
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