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第五章 日常
双子の旅芸人
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その日、城下はとても賑わっていた。旅芸人が広場で見世物をしているらしい。
「さあさあ!よってらっしゃいみてらっしゃい!我ら双子の以心伝心、侮るなかれ!」
声を大きくあげる少女は黒髪を揺らしながら跳ね回る。どこにでもいる可愛らしく元気な少女。その両目を包帯で覆っていること以外は。
その後には声を発さず、微笑む少女。手前の黒の少女とは対照的な白。白い髪、色素の薄い青い目。その口元はマスクを着用していた。
「世にも奇妙な私たち双子。私はセレイナ、彼女はユウリ。片割れはアルビノ。それだけでも珍しい。親も身内もいない私たち。見世物小屋で飼われるのは簡単だった。けれど、私たちは自分たちだけで生きると決めた。しかし、それにはお金が必要だった。」
黒髪の少女、セレイナが話し始めるとざわつきは消え、見物客は皆、少女たちに注目し、耳をすませた。
「だから私たちは決意した。片方は目を潰し、片方は喉を潰した。これで本当に私たちは二人で一つ。どちらが欠けても生きていけない体になった。」
セレイナの言葉からイメージしたのか、顔を歪める人がちらほら。それを見やりなが彼女は続けた。
「しかし、私たちに不安は無かった!私たちはお互いの思っていることがわかる!私はユウリの口に、ユウリは私の目になった。私たちは二人で1人の人間、今日はそれを証明して見せよう!」
セレイナが天を指さすと、観衆が湧き上がる。小さな旅芸人たちの見世物は、大きな空間を作り出していた。
「ではそこのお嬢ちゃん、ユウリの持っているカードを一枚引いて、ユウリにだけ見せてご覧。私は目を潰してあるから見えないが、それは嘘でこの包帯に穴でも開けてあるのだと思われてもいけない…しかし、潰した目を見せるのは流石に良くないからね、後ろを向いておくよ」
セレイナは大袈裟な動きを見せながら後ろを向く。指名された少女は言われた通り、ユウリのカードを引いて、ユウリに見せた。その瞬間だった。
「♡のエース」
後ろを向いたままのセレイナの声に観衆がまたざわめき始める。少女が引いたカード。それはまさしく、♡のA。後ろを向いたまま、セレイナは見事当ててしまったのだ。
その後も見世物は続き、最後にはたくさんの拍手と共に幕を閉じた。
「いや~ほんと、沢山貰っちゃったねえ」
今日の見世物で稼いだ金額を数え終わると、2人は今日の晩ご飯はどこで食べようか、宿はどうしようかなどと相談しているところだった。すると背後から突然声をかけられた。
「やあ、素敵なショーをありがとう」
「うるさいリック」
「相変わらずつれないなあ、兄に向かってなんて口を聞くんだろうね」
現れたのは城の兵士をしているリックこと、リクシュアーレ。彼は彼女らの兄であった。
「よくもまああんな嘘をペラペラと」
「いいじゃない、喜んでもらえてんだし」
「親も身内もいない、ねえ。こんなイケメンなお兄ちゃんがいるというのに」
「もうほんと黙って」
そんなやりとりをしているとくすくすと声が聞こえた。声の方を振り向くと、そこには1人の青年が立っていた。
「誰よあんた」
「馬鹿!ミヤ様だよ、この国の有力貴族の息子の」
「あはは、父は偉いのかも知れませんけど、僕は普通の人間ですから、どうか、気を使わずに…」
ミヤはそう言って、笑った。
「旅芸人さん、どうか僕と少しお話して頂けませんか?そのお礼に、今日はうちの家に泊まっていってください」
その後、何故かリクシュアーレまでもがミヤの家に泊まり、話は尽きることなく楽しい時間は過ぎたのだった。
「さあさあ!よってらっしゃいみてらっしゃい!我ら双子の以心伝心、侮るなかれ!」
声を大きくあげる少女は黒髪を揺らしながら跳ね回る。どこにでもいる可愛らしく元気な少女。その両目を包帯で覆っていること以外は。
その後には声を発さず、微笑む少女。手前の黒の少女とは対照的な白。白い髪、色素の薄い青い目。その口元はマスクを着用していた。
「世にも奇妙な私たち双子。私はセレイナ、彼女はユウリ。片割れはアルビノ。それだけでも珍しい。親も身内もいない私たち。見世物小屋で飼われるのは簡単だった。けれど、私たちは自分たちだけで生きると決めた。しかし、それにはお金が必要だった。」
黒髪の少女、セレイナが話し始めるとざわつきは消え、見物客は皆、少女たちに注目し、耳をすませた。
「だから私たちは決意した。片方は目を潰し、片方は喉を潰した。これで本当に私たちは二人で一つ。どちらが欠けても生きていけない体になった。」
セレイナの言葉からイメージしたのか、顔を歪める人がちらほら。それを見やりなが彼女は続けた。
「しかし、私たちに不安は無かった!私たちはお互いの思っていることがわかる!私はユウリの口に、ユウリは私の目になった。私たちは二人で1人の人間、今日はそれを証明して見せよう!」
セレイナが天を指さすと、観衆が湧き上がる。小さな旅芸人たちの見世物は、大きな空間を作り出していた。
「ではそこのお嬢ちゃん、ユウリの持っているカードを一枚引いて、ユウリにだけ見せてご覧。私は目を潰してあるから見えないが、それは嘘でこの包帯に穴でも開けてあるのだと思われてもいけない…しかし、潰した目を見せるのは流石に良くないからね、後ろを向いておくよ」
セレイナは大袈裟な動きを見せながら後ろを向く。指名された少女は言われた通り、ユウリのカードを引いて、ユウリに見せた。その瞬間だった。
「♡のエース」
後ろを向いたままのセレイナの声に観衆がまたざわめき始める。少女が引いたカード。それはまさしく、♡のA。後ろを向いたまま、セレイナは見事当ててしまったのだ。
その後も見世物は続き、最後にはたくさんの拍手と共に幕を閉じた。
「いや~ほんと、沢山貰っちゃったねえ」
今日の見世物で稼いだ金額を数え終わると、2人は今日の晩ご飯はどこで食べようか、宿はどうしようかなどと相談しているところだった。すると背後から突然声をかけられた。
「やあ、素敵なショーをありがとう」
「うるさいリック」
「相変わらずつれないなあ、兄に向かってなんて口を聞くんだろうね」
現れたのは城の兵士をしているリックこと、リクシュアーレ。彼は彼女らの兄であった。
「よくもまああんな嘘をペラペラと」
「いいじゃない、喜んでもらえてんだし」
「親も身内もいない、ねえ。こんなイケメンなお兄ちゃんがいるというのに」
「もうほんと黙って」
そんなやりとりをしているとくすくすと声が聞こえた。声の方を振り向くと、そこには1人の青年が立っていた。
「誰よあんた」
「馬鹿!ミヤ様だよ、この国の有力貴族の息子の」
「あはは、父は偉いのかも知れませんけど、僕は普通の人間ですから、どうか、気を使わずに…」
ミヤはそう言って、笑った。
「旅芸人さん、どうか僕と少しお話して頂けませんか?そのお礼に、今日はうちの家に泊まっていってください」
その後、何故かリクシュアーレまでもがミヤの家に泊まり、話は尽きることなく楽しい時間は過ぎたのだった。
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