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ポンコツなおっさんに召喚されてしまった。

38話 転生したら魔女を狩ってた件 2

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「我はな自身の能力に溺れて大きな街や、国を作っていた転生者を何十人も見てきたのじゃ、中には王女と結婚して国を引き継いだ者もいたがな。 
 まぁ別にそれ自体は良い、強大な力を持てば国の一つくらいは統治したいと思う気持ちも分からんでは無いしな。 
 じゃがその殆どが転生者の寿命と共に滅んでいくのはどう言う事なんじゃ?? 

 結局彼奴らにとっては自分が生きている時間のみが大事で死んだ後の世界などどうでも良いのか? 
 なら最初から国など作るべきでは無いと思わぬか? 全員とは言わんが、責任感の無い奴が多すぎじゃ」
 
 想像通りの転生者批判をリアは語り始めた。

 ま、まぁそれは確かにね。 ってか滅んでる国多いんだ……なんかショックだな。
 
「せめて後継者くらい作っておけと言いたくなるな。 まぁクソ転生者に子育てが出来るとは思えんが。 
 ぷぷっ、子供が子供を育てるなんて不可能じゃもんな。 
 子供が無理と言うならならせめて信頼出来る者に自身のチート能力を今後の国の為に譲れば良いのにそれもしないからな、あいつらは。 
 チートで栄えた国がその力を失えば滅ぶのは明白じゃろうに!

 なぁ信じられるかお主達?? この我でも目を疑う程の信じられないチート持ちばかりの癖にその力を誰かに渡す能力を持っている者は一人も居なかったのじゃぞ? 
 いや、渡したく無かっただけかもな! 
 死ぬギリギリまで自分が一番じゃ無いと気が済まぬ連中じゃもんな!! 

 くくっ、ヨボヨボのじじぃがベットの上で戦闘スキルを誇示してどうするつもりなんじゃか、全くもって滑稽じゃな」
 
 ……な、何も言えねぇ。 
 
「決して自分に反論しない女共とその女共より女々しい男共、植物の如く口を開かん民達を囲んで国ごっこして楽しいのか? 
 もしかしてあいつらは承認欲求の権化なのか?? 
 人間の欲望には際限がないと言うが、一体あいつらは今までどれだけ満たされない生活を過ごしてきたのか我は逆に不安になったぞ、何故わざわざ転生してまで国に縛られようとするのじゃ? 

 大勢の人間に認められないと満足出来ない程に心が弱っているのか??」
 
 あっ、リアさん、もうその辺で十分です。 それ以上はさ、ほらわかるでしょ?? もう勘弁して下さい。

「……まぁ国が滅びるなど珍しくも無いし、全て転生者が悪い訳では無いのじゃが、いくら何でも滅びすぎじゃ。 
 だからこそ我はもう少し上手くやれと言ってやりたかったのじゃよ」
 
 俺の心の声が聞こえたのか、リアは急に声のトーンを下げた。 
 いや、まぁ絶対違うだろうけど、そう言う事にしておこう。 
 俺がリアの転生者に対する悪口を止めた所に意義がある気がするし。 繰り返すけどこれはリアの思いだからね? 
 
 俺は関係無いからね……関係無いけどもし転生した時は大人しくしていようと思うけど。
 
「なるほど、そう言う事だったのね」
 
 え? 青蜜なんかわかったの? 
 
「これは結構酷いですね」
 
 え? 結衣ちゃんも何かを悟ったの?? 
 
 やばい、他の事に気を使い過ぎてて本題の考察を怠ってたな、二人が何でこんな悲しい顔してるのか全然わからん、リア悪口しか言ってなかったと思うんだけど。
 
「……リアも辛かったんだな」
 
 と、とりあえずそれっぽい事言っておこう。 こう言う時だけは頼りになる人がこの場には居るし。
 
「いや、この魔女悪口しか言っとらんではないか? つまりどう言う事なんじゃ? 悪口ばっかり言う魔女だから転生者に封印されたって事か??」
 
 はい、流石おっさん。 俺が空気を読んで聞けなかった事を平気で聞いていく! やっぱ第一号の称号は伊達じゃないよ。
 
「あんた馬鹿なの? 今の話聞いてたら封印された理由なんてすぐわかるじゃない」
 
 ……おっさん言われてるぞ。
 
「『言ってやりたかっただけ』 つまり、魔女さんは転生者が統治する国に行き、そこでさっきの台詞を直接転生者に言った。 これからの国の事を思うならもう少し考えろ的な助言を。 そうですね??」
 
 結衣ちゃんの言葉にリアは悔しそうに頷いた。 

「「な、なるほど」」
 
 俺はおっさんと共に感心する。
 
「まどかちゃんも分かって無かったの?? 本当男ってこう言う所鈍感なのよね」
 
 皆さん! 処女っちが男を語ってますよ!! 
 ぷぷっ、あのドヤ顔どんな気持ちでしてるんだろうな。

「……何よ??」
 
「え? 何でも無いけど?? えーと、じゃあリアはその転生者に助言を言いに行った時に封印されたって事か??」
 
 あれ? 自分で言ってて思ったけど、リア悪い所ないんじゃ??
 
「そ、そうじゃ! 今思い出しても忌々しい、あのクソ転生者めっ!! 自身を神か何かだと勘違いしておったんじゃろう、我の助言をただ生意気な魔女の戯言だと一蹴したうえに、我は王に不埒な意見する不届き者とか言って拘束されたのじゃ! 
 お前ら、そう言う権力の塊の様な王が一番嫌いだったんでは無いのかと耳を疑ったわ!! 少なくとも話の通じる連中だと思ってた我が阿呆じゃったわ」

 まさにミイラ取りがミイラになるだな、ってかそいつクソ野郎過ぎないか? 

 それともチートとか持つと将来みんなそんな感じになっちゃうの? 本当なら悲しいぞ、英雄達よ。
 
「それからは悲惨なものじゃった。 我の財産とも言える知識のほぼ全てを盗み取られ、身体を執拗に痛めつけられた後、我が反撃できない様に全く魔素が存在しない世界、地球にて封印された。
 簡単に言えばこれが今の我の状況じゃな」 
 
 リアは目を伏せて小さな声で続きを呟いた。
 
 お、重いなぁ。 リアの自己紹介だけ以上に重い気がするんだけど。 ハーレム作りたいとか今更ながら恥ずかしいわ、俺。

 青道も結衣ちゃんも俺と同じ気持ちなのか、二人とも神妙な顔を浮かべて口を閉じていた。
 
 もしかしなくてもリアって唯の被害者だよな、こんな事があったなら、リアの性格が歪むのも納得できるわ。
 
 ……愉悦の魔女よりも数倍、いや数百倍、異世界転生者の方がクソじゃねぇーか!!


 あっ、勿論リアを封印した奴の話だよ? 他は良い人多いと信じてます。
 
 
 最後まで誰かに言い訳しながら俺はこの重たい空気が消えるのをじっと待つ事にした。
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